不動産売却の資金難につなぎ融資!
メリットやデメリット・注意点を解説2025.04.02
● 住み替えを検討中で売却と購入のタイミングが合わず資金繰りに困っている
● 新居の購入資金が足りないが、現在の家の売却代金が入るまで待てない
● ダブルローンは審査が厳しく、仮住まい費用もかさんで住み替えが思うように進まない
不動産の住み替えでは、売却と購入のタイミングのズレによる資金不足が大きな課題となります。
こうした資金の空白期間を埋める解決策として注目されているのが、つなぎ融資です。
この記事は、つなぎ融資のメリットやデメリット、申し込みの際の注意点などを解説します。
この記事でわかること
● つなぎ融資の基本的な仕組みと特徴
● 住み替え時の資金ショートを回避する方法
● つなぎ融資のメリットやデメリットと注意すべきポイント
不動産売却と住み替えにおける資金繰りの課題
不動産の住み替えでは、売却と購入のタイミングが合わず資金不足に陥るケースが多発しています。
ここでは住み替え時の資金面の課題について解説します。
売却と購入タイミングのズレによる資金ショート問題
不動産の住み替えでは、売却と購入のタイミングが合わないと資金ショートが起こりやすくなります。
「買い先行」で新居を先に購入する場合、現住居の売却代金が入る前にまとまった資金が必要となり、自己資金が不足すれば希望物件を逃すリスクがあるでしょう。
一方「売り先行」で進めると、仮住まい費用や二度の引っ越し費用がかさんでしまいます。
こうした問題を解決するのが「つなぎ融資」の役割です。
売却予定の不動産を担保に短期資金を借り入れ、売却代金で一括返済する仕組みです。
これにより売却を急いで安値で手放す必要がなくなり、納得のいく価格での売却と希望物件の確保ができます。
住み替えで困りやすい具体的なケース
資金不足が発生しやすい状況は、以下のようなパターンです。
・住宅ローン残債が多いまま売却に着手
状況 | 説明 |
オーバーローン状態 | 売却価格が住宅ローンの残高を下回り、売却してもローンを完済できない状態。 |
必要な資金 | 抵当権を抹消するための不足資金。 |
主な資金調達手段の例 | 自己資金、買い替えローン、つなぎ融資 |
・空き家再生や底地整理に時間がかかる
状況 | 説明 |
売却までの期間 | 老朽化した空き家の場合、買い手が見つかるまでに半年から1年ほどかかる場合がある。 |
必要な資金 | 売却までの期間にかかるリフォーム準備費用や固定資産税などの短期資金。 |
主な資金調達手段の例 | つなぎ融資 |
・任意売却で債権者との交渉が長期化
状況 | 説明 |
交渉の長期化 | 住宅ローンの返済が困難になり任意売却を選択すると、金融機関との条件交渉や買い手探しに時間がかかる。 |
必要な資金 | 交渉が長引いている間の引っ越し費用や生活費など、売却が完了するまでの「橋渡し」となる資金。 |
主な資金調達手段の例 | ブリッジローン |
・買い先行で仮住まいを避けたいがダブルローンが難しい
状況 | 説明 |
ダブルローン審査の難しさ | 新しい住まいを先に購入したい場合でも、現在の住宅ローンがあるために、新しい住宅ローン(ダブルローン)の審査が通らない場合がある。 |
必要な資金 | 新居の決済を先行させるための資金。 |
主な資金調達手段の例 | 現在の自宅の予想売却額の60〜80%程度をつなぎ融資で確保する方法。 |
これらのケースでは 「短期間だけ、まとまった資金を安全に確保する手段」 があるかどうかで住み替えの成否が決まります。
不動産売却のつなぎ融資とは?
住み替えや不動産売却時の一時的な資金不足を補う手段として、つなぎ融資が注目されています。
ここでは、つなぎ融資の仕組みや特徴、またどのような方が利用しているのかについて解説します。
つなぎ融資の仕組みと基本知識
つなぎ融資とは、不動産の売却代金が入金されるまでの間、新たな物件購入や住み替えの資金を一時的に調達できる短期融資です。
主に「売却→購入」する住み替え時の資金の谷間を埋める役割を担っています。
つなぎ融資はあくまで橋渡しとしての短期間利用を前提としており、売却資金が入るタイミングで一括返済するのが一般的です。
・短期限定の一時借入
売却完了や住宅ローン実行までの“数か月〜1年程度”を上限とする短期融資
元金は売却代金で一括返済し、期間中は利息のみ支払うのが一般的
・担保は売却予定不動産
不動産を担保にするため無担保ローンより金利は低め
ただし通常の住宅ローンよりは高金利で、取り扱い金融機関も限られる
住宅ローンは通常、購入した住宅を担保として長期間(10年以上)借り入れをおこなうものですが、つなぎ融資は「売却完了までのつなぎ」として利用期間が非常に短いのが最大の違いです。
ブリッジローン(Bridge Loan)も同様の意味合いで使われる場合が多く、金融機関によって呼び方が異なる場合があります。
ただし、つなぎ融資は購入資金だけでなく、場合によっては住宅ローン残債の一時的な肩代わりや、仮住まい費用など多目的に活用できる柔軟性が特徴です。
つなぎ融資が向いている方
つなぎ融資は、とくに「住み替え」を検討している方や、「売却益で新居を購入したい」スタイルを希望する方に多く利用されています。
以下のような方が代表的です。
● 現住居の売却が完了する前に、新居の購入手続きを進めたい方
● 仮住まいを避けて、スムーズな引っ越しを希望する方
● ダブルローンが難しいが、資金ギャップを埋めたい方
● 一時的にまとまった資金を調達したい方
つなぎ融資は一般的な住み替えだけでなく、空き家再生・任意売却・底地整理などの特殊なケースでも活用されています。
例えば、相続などで発生した空き家を売却する場合、リフォーム費用や維持管理費など一時的な出費が発生します。
売却資金が入るまでの間、つなぎ融資で必要資金を確保すると、無理なく再生・売却を進められます。
また、任意売却や借地・底地整理などの複雑な案件では、売却成立までに時間を要するケースが多いのが実情です。
その間の生活資金や仮住まい費用の捻出、あるいはローン残債の返済などにも、つなぎ融資が役立ちます。
こうした多様な利用シーンに対応できるのは、つなぎ融資が「柔軟な資金使途」と「短期一括返済」を前提としているためです。
資金調達手段 | メリット | デメリット | 向いてる方 |
つなぎ融資 | 資金ショートを回避できる 短期でリスク管理が可能 | 金利・手数料がかかる 売却長期化時にリスクがある | 資金のタイミング調整が必要な方 |
ダブルローン | 購入タイミングを自由に調整できる | 家計負担が増える 審査が厳格 | 安定収入や高与信枠(信用力)がある方 |
リースバック | 売却後も今の家に住み続けられる 資金化が早い | 家賃が発生する 所有権が移転する | 今の家に住み続けたい人 即座に資金化したい方 |
つなぎ融資は、売却と購入のズレによる「資金ショート」を防ぐ現実的な解決策として、多くの方に選ばれています。
住み替えの不安を解消するつなぎ融資のメリット
つなぎ融資は、不動産の売却と新居購入の間に発生しやすい「資金の空白」を埋めるための短期ローンです。
ここではつなぎ融資の代表的なメリットについて解説します。
住み替え時の資金ショート回避
住み替えでは、現住宅を売却して得た代金を新居の購入費用に充てるケースが多いですが、売却と購入のタイミングがズレると一時的な資金ショートが起こりやすくなります。
つなぎ融資を利用すれば、売却代金が入金されるまでの必要な資金を確保でき「手付金が支払えず新居を逃す」「売却を急いで安く手放してしまう」などのリスクを回避しやすくなります。
安心して計画的な住み替えを実現できるのが最大の魅力です。
新居購入のタイミング調整が可能
希望条件に合った物件は、売却のタイミングを待ってくれません。
つなぎ融資を活用すると、現住宅の売却を待たずに新居の購入手続きを進められ、人気物件も逃さずスムーズに住み替えが可能です。
売却と購入の進行を柔軟に調整できるため、余計な仮住まいや二重の引っ越し費用も発生しにくくなります。
結果として納得のいく物件選びと、無理のない新生活のスタートが実現しやすくなります。
一時的な利用で済むためリスク管理がしやすい
つなぎ融資は、原則として「売却完了後に一括返済する短期間限定の借入」が特徴です。
そのため、住宅ローンのような長期的な金利負担や返済リスクが少なく、家計への影響も最小限で済みます。
将来のライフプランを大きく圧迫する心配もないため、必要なときだけ無理なく利用できる点は、多くの方にとって大きな安心材料となるでしょう。
短期的な資金ニーズを安全にカバーしたい方に向いています。
契約前に確認したいつなぎ融資のデメリット
つなぎ融資は便利な一方で、費用や手続き面での注意も必要です。
利用時に想定外の負担が発生しないよう、事前にリスクやデメリットをしっかり把握するのが大切です。
こちらでは主なデメリットを解説します。
金利・手数料など費用負担
つなぎ融資は、通常の住宅ローンよりも金利が高く設定されてるケースが多く、さらに融資実行時には事務手数料や印紙代などの諸費用も発生します。
利用期間が短期であっても、数万円から十数万円のコストがかかる場合もあり、売却額や手取り額に影響します。
資金計画時には、実際にいくらの費用が発生するかを金融機関にシミュレーションしてもらい、総返済額を把握しておくのが失敗しないポイントです。
審査・手続きのハードル
つなぎ融資は誰でも簡単に利用できるものではなく、金融機関による収入や信用情報、売却予定の物件評価など厳格な審査があります。
売買契約書や本人確認書類など提出書類も多く、融資実行までに時間がかかるケースも珍しくありません。
売却や購入の決済スケジュールに余裕を持ち、できれば複数の金融機関に事前相談して比較検討すれば、計画的な住み替えが実現できます。
売却が長引いた場合のリスク
不動産市況の悪化や買主都合などで旧居の売却が長期化した場合、つなぎ融資の返済期限に間に合わなくなるリスクがあります。
返済期間を延長できない場合は、自己資金や新たな借入で返済を補う必要が出てきたり、追加費用が発生する場合もあります。
こうした万が一の事態に備え、買取保証や価格見直しなどリスクヘッジ策も併せて検討しておくと安心です。
つなぎ融資を利用する際の注意点
つなぎ融資を安全に活用するには、審査や費用、万が一のリスクに十分備えておくのが大切です。
ここからは、利用前に押さえておきたい具体的な注意点を解説します。
審査基準・必要書類
つなぎ融資の審査では、収入や雇用形態、既存ローンの有無、売却予定物件の評価額などが重要視されます。
特に売却が確実かどうかが重視され、売買契約書や登記簿謄本、本人確認書類、所得証明書など多くの書類提出が求められます。
また、金融機関によっては新居購入に関する契約書や住宅ローンの仮審査承認書なども必要です。
事前に必要書類を確認し、不備なく揃えておくと、スムーズに審査を通過しやすくなります。
書類の用意や記載内容にも十分注意しましょう。
金利・費用・返済計画
つなぎ融資は住宅ローンより金利が高めに設定される場合が多く、事務手数料や印紙代、繰上げ返済手数料なども発生します。
借入期間が短期でも費用が想定以上にかかる場合もあるため、利用前に必ず金融機関でシミュレーションして総額を把握しましょう。
返済は売却代金をもとに一括返済するのが基本ですが、万が一売却が長引いた場合の資金計画も重要です。
自分の収支状況や売却見込みをふまえ、無理のない返済スケジュールを立てるのが失敗を防ぐポイントです。
売却が長引く場合の対策
不動産市況の変化や買主都合で売却が長期化した場合、つなぎ融資の返済期限に間に合わないリスクがあります。
返済期間延長ができない場合は、自己資金や追加融資、場合によっては親族からの借入で対応しなければならないケースもあります。
こうした事態を想定し、あらかじめ買取保証を付けておく、複数の売却ルートを確保するなどの対策が有効です。
また、最初から余裕を持った売却スケジュールを組み、トラブルを最小限に抑えられます。
まとめ
不動産の住み替えでは、売却と購入のタイミングのズレによる資金ショートが課題となります。
つなぎ融資は売却予定の不動産を担保に、売却代金が入るまでの短期資金を調達する仕組みです。
新居の手付金支払いや仮住まいの回避に活用でき、希望物件を逃すリスクを軽減できるでしょう。
ただし高金利や厳格な審査、売却の長期化リスクもあるため、慎重な検討が必要となります。