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不動産の相続税評価価格の計算方法は?土地と建物に分けて減額要素を解説2024.11.08

相続した不動産はどうやって評価されるの?
土地と建物の評価を把握するための計算方法は?
評価額を抑えるためのポイントは?

ここでは不動産を相続する予定のある方へ、相続税を把握するために必要な評価価格の仕組みと計算方法、減額要素について解説します。

この記事でわかること

相続したときに計算する評価価格とはなにか
土地と建物の評価額の算出方法
土地と建物の評価額を減額する要素

相続時の不動産の評価価格は?

不動産の相続税評価価格は、相続税や贈与税を計算するときに基準になる数字です。
土地や建物などの不動産を相続すると、不動産の評価価格に応じて相続税が発生します。
相続した不動産は、評価価格から「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」の基礎控除額が差し引かれるため、必ずしも相続税が発生するとは限りません。
不動産評価価格から基礎控除額を差し引いて、プラスになった分に対して相続税が発生し、マイナスになれば相続税は発生しない仕組みです。

一概に不動産といっても土地と建物で評価価格の計算方法は異なります。
土地と建物を同時に相続したとしても、分けて評価価格の計算をする必要があるので気を付けましょう。

土地評価額の計算方法

土地の評価額の計算方法は2種類あり、路線価方式と倍率方式です。
それぞれの計算方法と用意するべき書類について解説します。

路線価方式

相続税評価額の路線価方式とは、国税庁が公表する路線価を基準にして相続した土地の評価を計算する方式です。

計算式は「路線価×土地の面積×持ち分」となります。
路線価は、土地が面している道路の1㎡あたりの価格を指しており、毎年7月に国税庁がホームページにてアップデートしているので確認してみてください。

たとえば、路線価10万円・土地の面積100㎡の場合、所有者が1名のときは「10万円×100㎡×1/1=1,000万円」とシミュレーションできます。
共有名義にしているときは持分割合も乗じるため、2分の1場合は「10万円×100㎡×1/2=500万円」です。

日本全国すべての土地に対して路線価が定められているとは限りませんので、記載がないエリアに対しては倍率方式を利用します。

倍率方式

相続評価額の倍率方式とは、国税庁が公表する評価倍率表を基準にして相続した土地の評価を計算する方式です。

計算式は「固定資産税の評価額×評価倍率」となります。
固定資産税評価額は、自治体によって異なるものの、4〜6月中に送付される納税通知書に同封されているか別途で送付される固定資産税課税明細書に記載してある数値です。
固定資産税課税明細書は再発行できない書類なので、送付されたら大切に保管するようにしてください。

評価倍率は、土地によって異なるものの、毎年7月に国税庁がホームページにアップロードしているので確認してみてください。

たとえば、固定資産税評価額1,000万円・評価倍率1.1倍・名義が1名の場合は「1,000万円×1.1倍×1/1=1,100万円」とシミュレーションできます。
倍率方式を当てはめるときも、持分割合を乗じるのを忘れないようにしましょう。

基本的には路線価方式で計算しますが、路線価が公表されていない土地に対しては倍率方式を用いて計算するのが一般的です。

計算で必要な書類

路線価方式と倍率方式で共通して必要な書類は、固定資産税納税通知書と登記簿謄本です。
固定資産税納税通知書は、毎年4〜5月頃に送付される書類で、土地の面積・地積が確認できます。

登記簿謄本は、土地を共有名義で登記している場合に確認が必要です。
固定資産税納税通知書に土地の持分は記載されないので、登記簿謄本(登記事項証明書)に記載されている共有名義の名前と持分割合を確認します。
最寄りの法務局に固定資産税納税通知書を持っていくと、簡単に取得できます。

路線価方式の場合は、追加で路線価図が必要です。
インターネット上で「路線価」と検索すれば国税庁のホームページで確認でき、所有している土地の路線価が数字とアルファベットで表記されます。
数字は千単位が追加されてアルファベットは借地権割合を意味するので「170D」と記載されていれば170,000円=17万円と評価されていると判断します。

倍率方式の場合は、追加で倍率表が必要です。
国税庁のホームページから「路線価図」「この市区町村の評価倍率表を見る」を選択すると「1.1」「2.5」などの倍率がまとめて確認できます。

土地税評価額の減額要素

相続税評価額の計算方法はシンプルですが、不動産の活用方法・契約関係・土地の地型などの条件に応じて減額が認められる可能性があります。
専門的な知識のない方が相続税評価額の計算をすると減額要素を見落としてしまい、本来は支払う必要のない相続税を納付する事態に陥ります。

ここでは、税務署が認めている減額要素を5つ紹介するので、確認してみてください。

借地権が設定されている土地

借地権が設定されている土地の場合、「自用地の価額×(1−借地権割合)」で求められるので30〜90%ほど相続税評価額が低くなります。

借地権とは、第三者に土地を借りて建物を建てられる権利で、自用地とは自分が所有権を持つ土地です。
「第三者に借りている土地は相続対象になるの?」と疑問を持つ方もいますが、被相続人が購入した建物と一緒に借地権として相続権が引き継がれます。
借地権割合は地域ごとに異なるので、国税庁のホームページに記載されている路線価図から確認してみてください。
路線価図内の「A=90%」「B=80%」とアルファベットが進むにつれて10%ずつ借地権割合が下がり、一番小さい割合はGの30%です。
計算方法はシンプルなので、自分でもシミュレーションできます。

貸家建付地

第三者に貸すために所有している自用地を貸家建付地(かしやたてつけち)と呼び、自由に売却したり更地にしたりできないため相続税評価額が20%ほど低くなります。

相続税評価額の計算方法は「自用地の価額−(自用地の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」です。
借地権割合や借家権割合は、地域ごとに異なるので、国税庁が公表している路線価図や評価倍率表から確認してみてください。

賃貸割合の計算方法は「賃貸にされている部屋の専有面積の合計÷賃貸物件の専有面積の合計」です。
たくさんの数字を用いて複雑な計算が必要になるので、むずかしい場合は専門家に相談して評価してもらいましょう。

広い土地

相続した土地が広い場合、一定要件を満たすと地積規模の大きな宅地として相続税評価額が低くなる可能性があります。

地積規模の大きな宅地の条件は、三大都市圏の場合は500㎡以上の地積の宅地で、三大都市圏以外の場合は1,000㎡以上の地積の宅地となります。
三大都市圏に該当するかどうかは、首都圏整備法第2条第3項・近畿圏整備法第2条3項・中部開発整備法第2条3項の規定を確認してみてください。
それぞれの整備法の規定を満たしていても、市街化調整区域・都市計画法の工業専用地域や、容積率400%以上(東京の特別区は300%)の地域は対象外です。
整備法があてはまるかどうかの判断や地域の特性を確認するのが困難な場合は、専門家に相談して評価してもらいましょう。

土地条件が悪い

相続した土地の形状がいびつだったり奥行きが極端に狭くて長かったりする土地は、条件の悪さを理由に相続税評価額が低くなります。

本来であれば土地評価額は「路線価×地積」で計算しますが、条件の悪い土地と認められた場合は、路線価に補正率をかけて計算しなおします。

補正率は、土地の悪い条件や地域ごとの定める地区区分に応じて国税局が指定する決まりですが、非常に判断がむずかしいです。
土地や相続税を専門的に取り扱っている専門家に相談して、補正率が適用される条件に該当するのか、補正率はどれほどになるのかを確認してもらいましょう。

小規模宅地等の特例が利用できる

相続した土地が小規模宅地等の特例の条件に適用されるのであれば、相続税評価額を最大80%まで減額できる可能性があります。
相続税評価額を大幅に減額できる特例ですが、適用要件は非常に厳しいです。
相続した不動産に対して「被相続人が居住用として住んでいた」「事業用として活用していた」「賃貸として収益化していた」などの活用方法によって適用要件が異なるからです。
国税庁のホームページから適用要件は確認できるものの、利用区分や限界面積など専門用語を理解できない場合は、専門家に相談して判断してもらいましょう。

建物評価額の算出方法

建物は、被相続人が居住もしくは事業用に利用していたときは固定資産税評価額がそのまま相続税評価額として扱われます。
固定資産税評価額は、毎年4〜6月頃に自治体から送付される納税通知書もしくは固定資産税明細書に記載されています。
土地の評価額のように、国税庁の公表するデータを用いて計算する必要はありません。

とはいえ、離れて暮らしている方など、納税通知書や課税明細書がどこにあるのか把握できないときもあります。
探してもわからないときや紛失した場合は、市町村役場で固定資産税評価証明書を発行してもらうか、名寄帳で確認しましょう。

また、共有名義の場合は土地と同様、計算する際の持分割合を乗じるのがポイントです。

建物税評価額の減額要素

相続物件の建物の減額要素は、親族以外の第三者に貸していたときの借家権と賃貸経営に利用していた物件が対象です。
借家権割合は全国一律30%になっており、計算する際は「第三者に貸していた建物の固定資産税評価額×(1-0.3)」の式に当てはめます。

また、賃貸事業を営んでいたときは、マンションやアパート・一戸建て住宅など、物件の形態は問いません。
賃貸事業に利用している延べ床面積の割合「賃貸割合」を借家権に乗じる計算式になります。
このときの延べ床面積の割合(賃貸割合)とは、満室のときが100%です。
賃貸住宅の延べ床面積ではなく、実際に契約している部分の面積で算出する点がポイントになります。

計算式は、賃貸事業用建物の固定資産税評価額×(1-0.3×賃貸割合)です。
延べ床面積で算出したときの入居率が60%のときの賃貸割合は0.6、満室の場合は1となり、賃貸割合が大きくなるにつれて相続税評価額は下がります。

相続した不動産の評価は専門家に相談するのがおすすめ

ここまで土地と建物の評価額を計算する方法と評価額を減額できる要素についてお伝えしましたが、無駄な相続税の支払いを避けるなら専門家に依頼するのがおすすめです。

なぜなら相続人が自分で土地や建物の評価をすると、適切な財産評価ができずに納める必要のない相続税まで納税してしまう可能性があるからです。
専門家に評価してもらえれば、細かい部分まで考慮して適正な財産評価をしたうえで、控除や特例を適用してもらえます。

結果的に無駄な相続税の支払いをゼロに抑えられる可能性が高いです。
相続税の申告と納税の期間は限られているからこそ、短期間で間違った計算をしないためにも、必要に応じて専門家に頼りましょう。

まとめ

不動産を相続したときは、土地と建物別に相続税評価額を計算し、基礎控除を差し引いてから納税義務が生まれるのかを確認します。
建物は固定資産税評価額がそのまま相続税評価額になりますが、土地は路線価方式と倍率方式があるので、国税庁のホームページを見ながらシミュレーションをします。
相続税評価額を大幅に減額できる特例もあるので適用要件を調べてみて、わからないときは専門家に相談しながら節税効果を高めましょう。



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