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差し押さえでも競売回避は可能?
任意売却のメリットやデメリットなども解説
2025.07.02

● 住宅ローンを滞納すると差し押さえになるって本当?
● 差し押さえになると自宅はどうなるの?
● 差し押さえになったときの競売以外の売却方法は?

なんらかの事情により住宅ローンなど借り入れの返済が滞ってしまうと、差し押さえの処分がくだされる可能性があります。
差し押さえは、債務者の財産以外に妻や子ども・親族などの財産も対象となるのでしょうか。

また差し押さえ後の競売を回避するために任意売却は可能なのか、可能な場合のメリットやデメリットも含めて解説していきます。

この記事でわかること

● 差し押さえが実施される理由
● 差し押さえとなる財産
● 任意売却のメリットとデメリット

はじめに

住宅ローンの返済が困難になってもすぐに差し押さえが実施されるわけではありません。
数回にわたって督促や催告がおこなわれても返済がなされない場合に、差し押さえの手続きに入っていく手順となっています。

差し押さえ後は競売にかけられて自宅が売却されますが、場合によっては任意売却の手段も可能です。
住宅ローンの返済が難しくこの先どうしたらいいのか悩んでいる方は、この記事を差し押さえとその後の対処法の参考としてください。

不動産の「差し押さえ」とは?

住宅ローンなどの返済が滞った場合に、差し押さえとなる可能性が生じるのは、多くの方が知るところでしょう。
ただどういった流れでおこなわれるのか、また差し押さえとなる財産はどういったものなのか、そこまで深く知っている方は多くありません。

ここでは差し押さえの基本的な知識を解説していきます。

差し押さえとは

差し押さえとは、お金の返済義務を負う債務者に対して、お金を貸している債権者が借金を回収するためにおこなう手段の1つです。
一般的には債権者が裁判所へ差し押さえの申立てをし、裁判所が認めると、債務者は自身が持っている財産や権利を勝手に処分できなくなります。

差し押さえにより財産の処分を制限した後、財産は法的な手続きを経てお金へと換えられていき、最終的に債権者への支払いにあてられます。

差し押さえの流れ

では差し押さえの流れをもう少しくわしくみていきましょう。
まず上記のとおり債権者の申立てから始まりますが、そのとき債権者は申立書や債務名義などの必要書類を管轄の裁判所へ提出します。
申立てを受けると裁判所は審査に入り、要件を満たしていると確認が取れれば差し押さえが執行される流れです。

差し押さえは不動産の場合は強制競売開始決定か強制管理開始決定が、給料や年金・売掛金などの債権の場合は差押命令がそれぞれ出され、貴金属は執行官が占有します。
こうして差し押さえられた財産は換金され返済にあてられますが、不動産は強制競売の手続きがとられ、落札者が代金を納付した時点で所有権が移転します。

賃貸物件の場合は、売却ではなく強制管理の手続きが取られるケースもあり、家賃などの収入が債権者へ支払われる仕組みです。
所有権が移転するとすぐに家を明け渡さなければなりませんが、拒んだ場合は裁判所が強制執行の許可を出し、家財などを強制的に運び出されてしまいます。

差し押さえされる財産

差し押さえが可能な財産は、原則として債務者と連帯保証人名義の財産です。
そのため債務者と連帯保証人の妻や子ども、親族などの財産が差し押さえとなる心配はありません。

しかし債務者と連帯保証人が自身の財産の差し押さえを逃れる目的で、妻や子どもなどへ意図的な名義変更をおこなった場合は差し押さえの可能性がでてきます。
また形式だけの法人を設立し、そこへ財産を移転した場合も同じで、差し押さえを回避するのは難しいでしょう。

差し押さえは事前連絡があるのか

裁判所や債権者が、これから差し押さえに入りますと債務者に連絡をするケースはありません。
連絡をすると、債務者が財産を処分したり移動したりして差し押さえから逃れようとする可能性があるからです。

不動産の場合は抵当権があるため不都合はありませんが、その他の不動産や財産は差し押さえの前に第三者へ売却されると、差し押さえが不可能となってしまいます。
ただ債務不履行になると、債権者から督促が届いたり裁判所から通知がきたりするため、差し押さえの前兆は感じられるでしょう。

不動産が差し押さえられる原因は?

差し押さえは意味もなくおこなわれるわけではなく、正当な理由が存在します。
ここでは差し押さえがおこなわれるときの、おもな理由をいくつか挙げてみていきましょう。

借金の滞納

住宅ローンはもちろん、クレジットカードの支払いや消費者金融からの借り入れの返済など、借金が支払えないまま放置しておくと差し押さえの理由になります。

滞納も、つい忘れていたケースもあるため、一度返済が滞っただけでは大きな問題とならない場合がほとんどで、すぐに返済をすれば差し押さえられる心配はありません。
滞納が発生するとまず郵便や電話による督促があり、この時点では支払う日を約束するか、振込用紙ですぐに支払えば督促は止まります。

ただ返済が2か月以上遅れてくると、遅延情報がいわゆるブラックリストに記録され、あらたにローンを組んだり、カードを作ったりするのが難しくなります。
そして滞納が3か月を超えると裁判所から督促や訴状が届きますが、この状態が差し押さえの一歩前の段階です。

婚姻費用や養育費の未払い

婚姻中の生活費となる婚姻費用や、離婚後の養育費に未払いがある場合も差し押さえの対象となります。
とくに養育費は離婚の際に取り決めをしているにも関わらず、元配偶者が支払いを拒むケースも多く、この場合は給与の差し押さえとなるのが一般的です。

養育費と婚姻費用の強制執行により給与が差し押さえとなる場合、基本的に手取り額の2分の1までが対象となります。
具体的には手取り額が月66万円以下では2分の1で、66万円を超えると手取り額から33万円を差し引いた額が上限です。

差し押さえには、裁判所での調停や審判を経る必要がありますが、養育費支払いの取り決めが強制執行認諾文言付公正証書などでおこなわれていれば、調停なしでも差し押さえが可能です。

税金の滞納

差し押さえの対象となる税金の種類は所得税・住民税・固定資産税や自動車税などがあります。
税金は納付期限を過ぎると税務署や管轄の自治体から督促状が送られてきますが、それでも放置しておくと、次の段階である催告書の送付となります。

催告書は、法的措置を取る用意があると予告するもので、催告書を発送した日から10日を過ぎると差し押さえが可能になるため、なんらかの回答をしなければいけません。
その後も滞納が続けば、予告通知書の送付があり財産の調査がおこなわれたうえで、最終的に差し押さえとなります。

国民健康保険の滞納

国民健康保険料を滞納しても、すぐに差し押さえがおこなわれるケースはありません。
滞納があるとまず、納付期限から20日以内に自治体から督促状が送られてきて、それでも支払いをしなければ電話での督促と催告書の送付となるのが一般的です。

半年以上滞納が続くと国民健康保険証が短期被保険者証へと切り替えられ、さらに資格証明書の交付となり、それでも支払いがなければ資格を失います。
そして資格を失っても支払いの意思が見られない場合は差し押さえが実施されます。

差し押さえが入った場合でも、任意売却はできるのか?

今住んでいる家が差し押さえされると、次の流れは競売への手続きです。
ただ競売は売却価格が低く、代金をすべて残債の整理にあてても完済は難しいでしょう。
任意売却であれば、高値で売れる可能性もありますが、差し押さえ後に競売は回避できるのでしょうか。

競売で売却すると、市場価格よりも価格が大幅に安くなるうえ、代金はすべて返済へとあてられ手元にお金は残りません。
返済が多く残っている方は少しでも高く売れる任意売却も視野に入れて検討する必要があります。
ただ差し押さえされた物件はすでに自分の所有物ではないため、勝手に売却はできません。

任意売却するためには差し押さえの解除が必要で、そのためには借り入れ先の金融機関へ全額弁済をおこなう必要があります。
ただ差し押さえがおこなわれるほど、経済的に苦しい立場の方が全額弁済するのは難しいのが現状です。
そのため無理を承知で金融機関に任意売却の許可をもらう必要がありますが、許可を得ても債務が減額されるわけではありません。

債権者となる金融機関も競売よりは任意売却のほうが回収できる額が多いため、交渉次第では承諾を得られる可能性があります。
任意売却により全額弁済が可能であれば問題ありませんが、残債がある場合は一括返済か金融機関と相談のうえなんらかの返済方法で返していくしかありません。

任意売却のメリットとデメリット

任意売却のメリットやデメリットを紹介していきます。

任意売却するメリット

差し押さえの実施が決まっても、金融機関が承諾すれば任意売却の手段がとれます。
ここでは任意売却のメリットを3つ紹介していきます。

競売よりも高値で売れる

先述のとおり競売は市場価格よりも安値で取引されるケースが多く、債権者もできれば回避したい売却方法でしょう。
競売の売却価格が低くなる理由は、原則として一般の入札希望者の内覧はできず、落札までの期間も短いため、買い手が付きにくくなるためです。

一方の任意売却は通常の不動産と同じように物件を市場に出して売却する方法のため、競売よりも高値で売れる可能性が高くなります。
少しでも高く売れると、それだけ残債が少なくなり、売却後の返済の負担も軽くなるでしょう。

売却の事情を隠せる

競売にかけられると入札者の公募があり、新聞やインターネットで情報が広く公開されてしまいます。
その結果、住宅ローンを滞納していた事実を近隣住民だけでなく、知り合いやその他の人々に知られてしまうかもしれません。

しかし任意売却であれば、通常どおりに市場に出すため、借金の返済が滞ったなどの事情を知られずに売却ができます。
住宅ローンの滞納を知られたくない方にとっては、プライバシーを守れ、いらないストレスやプレッシャーを負わずに売却できるのは大きなメリットです。

全額返済できない場合は分割返済も可能

家を売却しても住宅ローンが完済できない状態をオーバーローンといい、通常は残債の一括払いが求められます。
毎月の住宅ローンの返済ができない状態で、残債の一括返済ができるケースはほぼありません。

しかし任意売却の手段をとった場合、金融機関の承諾が得られれば、残債の分割払いが可能となります。
競売後に残債がある場合は一括返済を求められ、それに応じられなければ自己破産となるケースもあります。

オーバーローン状態の方でも任意売却を選択すれば、返済は続くとしても、精神的・経済的な負担は大きく軽減されるでしょう。

任意売却のデメリット

任意売却は高値で売れるなどメリットがあり、魅力的な売却方法です。
一方でデメリットもあるため、双方を把握したうえで、慎重に検討していきましょう。

対応できる不動産会社を探す手間がある

任意売却は通常の不動産売却と同じ手続きを踏むため、不動産会社と媒介契約を結ばなければいけません。
そのため不動産会社を探す手間がかかり、さらに任意売却に対応する不動産会社が少ない点もネックとなります。

たとえ見つかっても金融機関との交渉が必要なため、通常の不動産売却よりも労力がかかってしまう点もデメリットでしょう。

時間制限がある

任意売却は通常の不動産売却よりも手続きに時間がかかるため、競売にかけられるまでの時間がタイトになってしまいます。
一般的には任意売却に与えられた期間は半年から1年までが目安で、期間内に売却できなければ、金融機関が裁判所に申立てをおこない競売の手続きが開始されます。

競売になると任意売却はできなくなるため、急いで買い手を探す必要があり、そのため値引き交渉にも応じなければいけない場面もでてくるかもしれません。

まとめ

差し押さえになると競売への手続きが始まりますが、一方で任意売却の手段もあります。
任意売却であれば通常の市場に物件を出せるため、市場価格での取引が可能で返済できる金額も大きくなります。

また売却後に残債があっても、月々のローン返済の道も残されているため、自己破産を逃れるためにもオーバーローン状態の方は任意売却を検討するのもいいでしょう。



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