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任意売却で使う配分表とは何?
書式の内容や作成目的を解説!
2024.10.03

任意売却で使う配分表とは何なのかわからない
任意売却で配分表が必要になったけれど書式はどうなっているの?
配分表の金額はどのように決めればいいのかわからない

このような悩みはありませんか。

任意売却に配分表は重要な役割があるため、書式内容や配当額について知っておかなくてはいけません。

今回は、配分表や配当額がわからない方へ、書式の内容や配当額を解説していきます。
債権者に了承してもらえない場合の対処法も解説するので、任意売却の際の参考にしてみてください。

この記事でわかること

任意売却の配分表と書式
配当額以外で必要になるハンコ代
配分表の作成目的と活用法

1. 任意売却の配分表とは?

任意売却で使う配分表とは、物件を売却した際の代金を、どの債権者にどの程度配分するのかを明らかにした表です。
債権者に対して、物件がいくらで売れるのか、それぞれの抵当権者が代金をどの程度回収できるのかを明らかにします。

このような配分になったので、抵当権抹消や差し押さえの解消に応じてくださいと、債権者に提出するのです。
債権者全員に配分してもあまりがあれば、債務者自身にも取り分が発生する可能性があります。

配分表が必要になるのは、売買契約が締結されたあとです。
買主が見つかり、売買条件に了承してくれたあとに、債権者に購入申込書と配分表を提出します。

配分表の書式の内容

配分表の書式内容は、とくに決まってはいません。

基本的に、売主の氏名・土地と建物の所在地・建物の名前・売却代金・売却費用・仮差押えの税金・引っ越し費用が記載されます。

また、後順位抵当権者への抹消同意費用・滞納管理費や滞納修繕積立金・第1抵当権者の回収見込み額も記載されるのを、覚えておいてください。

配分表に記載される売却費用とは、司法書士への依頼費用や、仲介手数料を指します。
物件を売るときは必ず発生するため、債権者も納得してくれるでしょう。

引っ越し代金などの債務者都合の費用は、債権者や売却代金によって対応が異なるため注意しなければいけません。
代金が高いのなら自分への配当額をもっと増やすべきだ、引っ越し費用が高いのではないかなどのように債権者が納得しない可能性があります。
その場合は、競売の入札がおこなわれる前に調整と交渉をおこないます。

また、第2抵当権者以降の配当額を、担保解除料として計上されるケースがある点も覚えておいてください。

配分表の配当額の決まり方

配分表の配当額は不動産会社が計算しますが、不動産会社が決めた配当はあくまでも原案にすぎません。
配当額の原案を債権者や関係者が見て検討して、承諾するかどうかを決めます。
配分の目安が決められているため、不動産会社はその目安に応じて配当額を調整します。
引っ越し費用が発生しないために配当を多く請求されたり、税金の差し押さえ解除のために売却代金から全部払ったりはできません。

各債権者への配当額は、抵当権の順位を基準に決められます。
第1順位の抵当権者の配当が最優先となり、第2順位、第3順位と優先度が下がるのを覚えておきましょう。
もし第1抵当権者の債権が1,500万円、第2抵当権者が800万円だとして、売却代金から配当できる金額が2,000万円だとします。

まず第1抵当権者が最優先であるため1,500万円をもらい、残金の500万円は第2抵当権者がもらいます。

配分表の結果任意売却を断られるケースも

必ずしも、第1抵当権者にとって任意売却のほうが、メリットが大きいとは限りません。
第1抵当権者が1,500万円、第2抵当権者が800万円、第3抵当権者が500万円とします。
競売でも1,500万円の代金を回収できる場合は、第1位の抵当権者は任意売却に応じる必要がなく債権回収が可能です。

さらに、管理費や修繕積立金も滞納していると、競売よりも任意売却のほうが回収金額が下がります。

このように配当が決まったあと、第1抵当権者から断られてしまう可能性がある点に注意してください。

了承してもらえない場合は配分案を練り直す

審査の結果すべての債権者が了承してくれた場合は、任意売却が進みます。
第1抵当権者など了承してくれない人がいる場合は、配分表を作り直さなくてはいけません。

債権者にも配分の一定のルールがあるため、不動産会社は債権者に決められたルールに基づいて配分を見直します。
見直した結果どうしても調整できない場合は、買値を高くしても大丈夫かどうかを買主と相談する必要があります。

税金の滞納が高額の場合は調整困難

滞納している固定資産税が高額である場合は、配分表の調整が難しくなる可能性があります。
任意売却の際には、滞納しているすべての税金を支払えるわけではないためです。
税金を払いきれない場合は、残った未納分の税金をどのように分割払いするのかを債務者が考えなくてはいけません。

どのように税金を支払うか、配分表をどのように調整するのか決まらなければ、差し押さえされてしまい競売となってしまいます。

2. 任意売却で配分表を作成する目的とは?

任意売却で、配分表を作成する目的があります。
ここでは2つの目的を解説するので、配分表を作成してもらうときのために覚えておいてください。

抵当権抹消のため

任意売却をおこなうには、設定されているすべての抵当権を消す必要があります。
複数の人間から抵当権を設定されているのであれば、当然すべての抵当権設定者から権利抹消の同意を得なければいけません。

ただし何も見返りがないのに、権利の抹消に同意をしてくれる設定者はいません。

そこで、権利者全員が配当金あるいはハンコ代のどちらかを受け取れるように、配分表を作成するわけです。
配分表を作成して、競売よりも任意売却のほうが利益になると認識してもらい、抵当権を自主的に抹消してもらえるようにします。

各抵当権設定者は、配分表が作られると会社に持ち帰り協議にかけ、任意売却に応じるか否かを決めます。
配分表に納得しない抵当権者がいた場合は、配分を調整しなければいけません。
債権者が納得してもらえるように、配分表を作成してもらう必要があります。

債権者が状況を把握するため

抵当権の抹消をするために配分表を記載しますが、もう1つ目的があります。

任意売却の物件について、すべての抵当権設定者に状況を理解してもらううえに、どの程度回収できるのかを把握してもらわなければいけません。
物件の状況と回収見込み金額が書かれた配分表を会社に持ち帰ってもらい、任意売却に応じるかどうかを審査してもらいます。
債権者に状況を理解してもらうためにも、配分表の作成は必要です。

3. 任意売却での配分表活用法

配分表がどのようなものかを知ったところで、どのように活用するのかがわからなければ意味がありません。
ここでは配分表の活用方法を紹介するので、任意売却の際の参考にしてみてください。

配分表は金融機関に提出する

配分表は、任意売却で使用する書類です。
買主が見つかったあとに、債権者である金融機関に対して、購入申込書と一緒に配分表を提出します。

配当には、仲介手数料や抵当権抹消登記に必要な費用、印紙代、管理費や税金など滞納している費用が差し引かれます。
上記費用を差し引いた配当金を債権者に提示して、同意してもらわなければいけません。
複数の債権者がいる場合は、その債権者全員に同意してもらいます。
とくに、第3順位以降の債権者には、配当金が残らない可能性があるため、ハンコ代を支払わなければいけません。

債権者全員から了承を得た場合は、購入希望者との合意のうえで売買契約を結びます。
そのあとは物件の引き渡しと登記をおこない、さまざまな手続きをおこなって終了です。

ちなみに、任意売却の際は、停止条件付不動産売買契約を結びます。
停止条件付不動産売買契約とは、抵当権が抹消されなかった際は、契約が撤回される契約です。
引き渡しまでの間に何かしらの事情があり、債権者の気が変わる可能性があるため、停止条件が付きます。

第2順位以降の抵当権者にハンコ代を払う

配分表を活用するためには、配当金だけではなく、ハンコ代を支払う意思を示さなければいけません。

各債権者への配当額は、第1、第2、第3などのように優先して受け取ります。
第1抵当権者が1,500万円、第2抵当権者が800万円、第3抵当権者が500万円、配当金合計が2,000万円だとします。
第1抵当権者は全額受け取り、第2抵当権者も500万円を受け取れますが、第3抵当権者は配当金がありません。

任意売却は、すべての抵当権者が合意しなければ成立せず、誰かが断ると任意売却はできなくなります。
とくに、第3抵当権者は債権をまったく回収できないため、抵当権抹消に応じるわけにはいきません。

ただし、競売になってしまうと売却代金は大きく下がってしまいます。
第2抵当権はおろか、第1抵当権者も1,500万円を回収できるかどうかも怪しくなります。
任意売却の売却代金は競売よりも高いため、第1抵当権者や第2抵当権者は任意売却のほうが、より多くの債権の回収が可能です。
配当がない第3抵当権者にも抵当権の抹消に協力してもらうために、多少の担保解除料を支払います。

担保解除のために支払う料金が、ハンコ代です。
ハンコ代を支払う旨を配分表に記載しておけば、第3抵当権者が納得できる可能性が高まります。

債権者が他の債権者に担保解除料を払う

すべての債権者が、配当金かハンコ代を得られるように、配分表を作成しなければいけません。
その際に、上位の抵当権者が後順位抵当権者に対して、担保解除料を支払うケースがあります。

担保解除料を支払う債権者は、任意売却によって配当金を得られるもっとも下位の抵当権者です。
競売になると配当金を得られなくなってしまう、あるいは配当金が下がってしまう場合は、担保解除料を支払います。

たとえば、第1抵当権者の債権額が1,800万円、第2抵当権者の債権額が1,200万円、第3抵当権者の債権額が800万円とします。
物件の売値が、競売だと2,000万円、任意売却だと2,600万円でした。
その場合、第1抵当権者は、任意売却でも競売でも関係なく1,800万円を回収できます。
そのため、任意売却に応じてもらうために、わざわざ自分の取り分を減らす必要はありません。

第3抵当権者は、任意売却に応じたところで自分の取り分はないため、抵当権抹消に応じる義理はありません。

第2抵当権者の場合は、任意売却に応じるメリットが大きくなります。
なぜなら、競売であれば200万円しか回収できず、任意売却であれば800万円も回収できるからです。
つまり、任意売却になれば競売よりも600万円も回収金額が多くなります。

第2抵当権者は、任意売却になると多く回収できる600万円のなかから、第3抵当権者に担保解除料を支払います。
第3抵当権者が、任意売却に応じるほうがメリットが大きいと認識してもらうのが重要です。

配分表を作成する際には、債権者が他の債権者に解除料を支払う調整もおこなわれます。

4. まとめ

任意売却で使う配分表とは、売却代金から債権者に対して、どの程度の金額が配当されるかを示した書類です。
決まった書式はありませんが、配当金や物件所在地、建物の名前や売却費用や引っ越し費用が記載されます。
配分表を活用するためには、後順位抵当権者にハンコ代を支払う旨も記載しなければいけません。
競売を避けるためにも、配分表の書式や注意点をよく理解しておきましょう。



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