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任意売却の残債に時効はある?支払いできない場合の対処法と注意点2024.08.02

●任意売却後に残った債務に時効があるって本当?
●残債が支払えない場合はどうすればいい?
●任意売却後の負担を軽くする方法が知りたい

住宅ローンの支払いが困難になって滞納を続けると競売にかけられるため、任意売却を検討する必要があります。
しかし、任意売却後に債務が残ってしまい、どのように支払うのか困っている方もいるでしょう。
任意売却をする際は、残債をどのようにするのか、あらかじめ考えておかなければなりません。
この記事では、任意売却後に債務が残った場合の対処方法や注意点を解説します。

この記事でわかること

●任意売却後の残債の消滅時効の概要
●残債を支払えない場合の対処方法
●任意売却後の残債で注意すべき点

任意売却後の残債に時効はあるのか

任意売却とは、住宅ローンの支払いができなくなったとき、債権者の同意を得て不動産を売却し、売却額を返済にあてる方法です。
しかし、ローン残債より売却額が少ないオーバーローンであれば債務が残り、任意売却後も支払いを続けなければなりません。
残債には消滅時効があるものの、実際に成立するケースは少ないため、時効を待つ前に仕組みを理解しておきましょう。

債権者により5年か10年の時効がある

任意売却後の残債には5年か10年の時効があり、期限は債権者によって異なります。
普通銀行のような民間の住宅ローンであれば5年、住宅金融支援機構や信用金庫、農協など特別法の規定で設立されている金融機関は10年です。
民間ローンには商法が適用され、住宅金融支援機構などには民法が適用されるため、残債の時効が異なります。
時効までの期間に一切の返済をしなければ、債権消滅時効が成立したあとの返済は不要です。
しかし、時効成立には条件があり、リスクもともなうため時効を待つかどうかは慎重に検討しなければなりません。

時効成立には条件がある

任意売却の残債の時効を成立させるには、債権者が銀行なら5年、住宅金融支援機構などであれば10年以上返済をしていない状況が条件です。
また、「時効の援用」をしなければ、時効となる年数が経過していても残債はなくなりません。
民法145条に定められた時効の援用とは、時効の制度を利用する意志を債権者に伝える手続きで、配達証明付きの内容証明郵便で郵送します。
債務者本人だけでなく、時効が成立すると利益を得られる保証人や連帯保証人も時効の援用ができます。
たとえ時効の期限を過ぎていても、時効の援用をしなければ返済義務は消滅しないので注意しましょう。

時効が成立するケースは少ない

残債の時効期限を待ち、時効の援用をすれば返済義務が簡単になくなると考える方もいるのではないでしょうか。
しかし、時効の期限までの期間、債権者が何もしないわけではありません。
例えば、一切の返済をせずに時効の期限が近づいていても、訴訟を起こされるなど時効中断理由が発生すると、時効は中断から5年あるいは10年に延期されます。
期限が来る前に訴訟を起こされるケースが多く、時効が成立しないばかりかその時点から時効期間が計算されるため、問題が長引くだけです。
時効期間を過ぎているケースでは少額の支払いを求められる場合もあり、支払った事実があれば時効は成立しません。

時効を待つリスク

時効を待っていても成立するのは困難なばかりか、大きなリスクをともないます。
債権者からの催告を無視したり、残債の返済を拒否し続けたりした場合、時効の成立を防ぐために時効を更新する仕組みがあるからです。
債権者が法的手続きによって請求や支払い督促をおこなうと、時効はリセットされるばかりか、給与や預金口座を差し押さえられる可能性があります。
また、債務者が残債の存在を認める「承認」をした場合も、時効期間が新たに始まります。
承認をしてしまうと、たとえ時効期間が過ぎていても時効の援用は認められません。
先に述べた少額の支払いをすると時効が成立されない理由は、その行為が承認とみなされるからです。

任意売却後の残債支払いができない場合の対処法

任意売却後に債務が残った場合は、早めに対処方法を検討しましょう。
競売を避けられても、残債があるために以後の生活が困難な状況に陥ってしまえば任意売却の意味がありません。
残債の支払いが困難な場合の対処法を紹介するので、任意売却を検討する際の参考にしてください。

分割払い

任意売却後の残債を一括で払えない場合は、金融機関やサービサー(債権回収会社)に分割払いの相談をしましょう。
サービサーとは、金融機関などから債権を買い取る業者です。
分割払いが可能であれば、月々の返済額を減らして負担を軽減できるほか、保証人への影響を最小限に抑えられます。
任意売却時点で保有している車などの資産を手放す必要もなく、残債が高額でない方におすすめの方法です。
金融機関によっては収入や家計の状況を考慮してくれるため、月5000円程度の返済額が認められるケースもあります。
ただし、条件設定は金融機関によって異なり、分割払いを拒否されるケースもあるので任意売却前に確認しておきましょう。

個人再生

任意売却後の残債が高額など、どうしても支払いができない場合は個人再生や自己破産などの対処法があります。
個人再生とは、裁判所を通じて5分の1程度まで債務額を引き下げ、原則3年、最大5年かけて返済する制度です。
住宅ローンの残債だけでなく、車のローンや教育ローンなど、ほかの債務を合算できるメリットがあります。
ローンの残っていない車や預金などの資産を保有し続けられるため、月3万円程度の支払いが継続できる方におすすめの方法です。
税金の滞納がなく安定した収入が必要など、個人再生には条件が設けられているので、ハードルが高い場合は自己破産を検討する必要があります。

自己破産

裁判所を通じて自己破産すると、任意売却の残債以外の債務も支払い義務がなくなります。
ギャンブルや浪費が原因の借金でなければ認められ、毎月の返済が困難な方に向いている方法です。
ただし、債務は免責となりますが、税金は免責にならず支払い義務は残ります。
また、たとえローンが残っていなくても、保有する車は引き上げられるため生活に影響がある場合は慎重に検討しなければなりません。
自己破産をおこなうと、99万円を超える現金や20万円以上の価値がある財産が没収されます。
残債の支払いが困難でも、返済しなければ財産が差し押さえられたり社会的信用を失ったりするため、どうしても支払えない場合は自己破産も検討しましょう。

リースバック

任意売却後に残債が残っても分割払いができる場合は、リースバックを利用する選択肢もあります。
リースバックとは、自宅を任意売却したあと、家賃を払いながら住み続ける方法です。
家賃と残債の支払いをしなければなりませんが、固定資産税の支払いが必要ないため負担を軽減できます。
しかし、ローン残高より売却価格が低いオーバーローンでは、基本的にリースバックを利用できません。
リースバックを検討する際は、任意売却物件を取り扱っているリースバック会社を探す必要があります。

任意売却後の残債に関する注意点

任意売却後の残債にどのように対処するか、今後の負担を軽減する方法などをあらかじめ検討しておかなければなりません。
計画を立てる際は、いくつか注意すべきポイントがあります。
残債に関する注意点を理解し、慎重に対処方法を検討しましょう。

連帯保証人にも影響がある

任意売却の残債は、対処方法次第で連帯保証人に迷惑をかける可能性があります。
なぜなら、連帯保証人にも返済義務があるからです。
個人再生をした場合、連帯保証人が残債の支払い請求をされたり資産を差し押さえられたりします。
自己破産も同様に、連帯保証人への請求や差し押さえは免れません。
分割払いをする場合も注意しましょう。
債権者によっては本人が分割で返済している限りは連帯保証人に請求しませんが、本人と連帯保証人の割合を決めて両方に請求するケースがほとんどです。
連帯保証人がいる場合は、任意売却前に十分に話し合っておきましょう。

残債は減額されない

任意売却後の残債支払いに関して債権者と話し合い、利息を軽減あるいはカットしてもらえるのが一般的です。
しかし、元本の減額はできないため、任意売却以前に発生した利息や遅延損害金はカットされません。
任意売却の仲介業者のなかには、残債を減額できるとホームページなどに記載しているところもあるので注意しましょう。
ただし、債権がサービサーに移動している場合は、交渉次第で残債が減らせる可能性はあります。
サービサーは、本来より安い価格で債権を買っているケースが多いからです。

分割払いができないケースもある

残債の分割払いを希望しても、必ず認められるとは限りません。
任意売却や残債の分割払いには債権者の同意を必要とし、なかには同意を得られないケースもあるからです。
例えば、債権者によっては「100万円を一括で支払った残りを分割払い」のような要求をされる場合もあります。
ほとんどの方が分割払いに応じてもらえますが、収入が多い方やほかの資産を保有している方、連帯保証人に支払い能力があるケースでは無理な要求をされる傾向です。

交渉のうまい不動産会社を選ぶ

任意売却後の残債額は、売却額によって異なります。
残債を少しでも少なくするには、任意売却経験が豊富で交渉のうまい不動産会社選びと、高額売却できるような不動産の状態が重要です。
分割払いを選択する場合、任意売却をおこなう不動産会社は、売却価格の分配案や生活状況表を作成して債権者と交渉します。
生活状況表に債務者の収入や出費などの情報を記載し、返済計画の提案をしてくれるため、交渉がうまい不動産会社に依頼すれば無理なく返済ができるでしょう。

債務整理にはリスクがある

残債が高額で支払えない場合、個人再生や自己破産を選択する方もいるでしょう。
しかし、個人再生は条件がありハードルが高く、自己破産にはいくつかのリスクがあります。
特に、自己破産をすると信用がなくなり、5年から10年はローンを組んだりクレジットカードを作ったりできません。
また、不動産や車の保有が認められない点にも注意が必要です。
債権者にとって、自己破産で残債を回収できないより少しでも支払ってもらうほうがよいため、交渉に応じてもらえる可能性があります。
自己破産を検討する際は、ほかの解決策がないかも考慮してみましょう。

まとめ

住宅ローンの支払いができなくなったら、競売を回避する方法に任意売却があります。
オーバーローンであれば任意売却後も債務は残るため返済は続くうえ、条件が整わなければ時効は成立しません。
残債の一括返済できない場合は分割払いの交渉をしますが、それでも支払いが困難であれば個人再生や自己破産などの検討が必要です。
個人再生や自己破産にはリスクがあるため、慎重に検討して対処してください。



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