税金滞納が任意売却に与える影響とは?税金と住宅ローン滞納の関係を解説2024.06.03
●任意売却はしたいけど税金滞納しているとどうなるのか
●住宅ローンが残っていて税金滞納もしている場合の差し押さえはどうなるのか
●税金滞納した場合の対処方法はどのようなものがあるのか
こちらの記事では、税金を滞納していても任意売却が可能かどうか、住宅ローンの返済中でも差し押さえはされるのかどうかについて解説いたします。
税金を滞納している場合の適切な対処方法も解説します。
この記事でわかること
●税金滞納をしてしまった場合のリスク
●税金滞納をしている場合の任意売却
●税金滞納した場合の支払い方法
税金滞納のリスクとは
税金は1日でも納付の期限を過ぎてしまうと、税金の滞納です。
住民税や健康保険、自営業をされている方は消費税や法人税などが税金ごとに納付の期限が定められており、税金の種類によって期日が異なるため期日の確認をしましょう。
また、納付期限内に税金を支払えない場合、所有する財産が差し押さえられる可能性があるため、注意が必要です。
税金滞納をしているときに発生する可能性があるリスクを解説します。
税金滞納で自宅が差し押さえられる
税金滞納を続けると、財産である自宅が差し押さえとなる可能性があります。
また、住宅ローンの返済を続けている場合でも、税金を滞納していると自宅が差し押さえられるケースがあるため、注意が必要です。
自宅が差し押さえられてしまうと、居住が難しくなるだけではなく、最悪の場合は自宅を売却しなければならない可能性もあります。
住宅ローンを支払っているからと安心せず、税金を滞納している場合は役所で支払いの猶予をしてもらいましょう。
延滞税が発生する
税金の納付期限から1日でも遅れてしまうと、翌日から延滞税が発生します。
税金滞納をした人は、本来支払うはずの税金に加え、延滞税も納付する必要があるため納付する額に注意が必要です。
延滞税は、税金を全額納めるまで支払う必要があるため、早めの納付が望ましいです。
延滞税の計算式は、本来納付するべき税金×延滞税の税率×税金の延滞期間=延滞税額となっています。
税金の金額が10,000円未満の端数は切り捨てて計算されるため、税金が10,000円未満の場合は、延滞税がかかりません。
また、延滞税の税率は、納付期限から2ヶ月を過ぎると税率が高くなります。
納付期限から2ヵ月以内の場合の税率は、年7.3%で収まりますが、2ヶ月を超えると年14.6%の税率が適用されます。
税金を滞納した場合は、余計な支払いが増えるため、税金滞納後は早めに税金を納付しましょう。
税金滞納が続くと自宅に督促状が送付される
税金滞納が続くと、自宅に督促状が送付されるため、注意が必要です。
国税を滞納している場合、納付期限から50日以内に督促状が送付され、地方税の場合は、納付期限から20日以内に税金滞納者に督促状が送付されます。
督促状を受け取ってから税金を納付しない場合、財産の差し押さえを予告する書類が届く可能性もあります。
また、地域によっては、担当の職員が自宅まで押しかけてきたり電話での支払いの督促があったりするため、注意が必要です。
任意売却と税金滞納について
税金を滞納していると、不動産を差し押さえられ、競売にかけられるケースがあります。
しかし、任意売却を選択すると、不動産が高く売れて滞納している税金を支払ったあとでも、手元にお金が残る可能性があるでしょう。
税金滞納をしているときに任意売却をおこなう際の参考にしてください。
税金滞納をしていて不動産を差し押さえられていない場合の任意売却
税金滞納による不動産の差し押さえが行われていない場合、任意売却の手続きが可能です。
しかし、税金滞納を続けると、不動産が差し押さえられる可能性が高いため、役所に税金の相談をする必要があります。
また、毎月少しずつでも、税金の支払いをおこなうと不動産の差し押さえを避けられる可能性があります。
ただし、税金滞納をしているときに任意売却を知られてしまうと、役所はすぐに不動産を差し押さえようとするため、注意が必要です。
税金滞納で不動産が差し押さえられた場合の任意売却
税金の滞納で不動産を差し押さえされている場合でも、任意売却は可能ですが、任意売却をおこなうためには不動産の差し押さえを解除する必要があります。
差し押さえの解除条件は、役所と話し合いをおこない、全額納付で解除となる場合や解除費用を支払うと解除が認められる可能性があります。
しかし、税金滞納額があまりにも高額な場合、役所が話し合いに応じてくれない可能性もあるため、注意が必要です。
また、役所に対して誠実な対応をしなかった場合も、話し合いに応じてくれない可能性があります。
税金滞納者には、役所からの電話や書類の送付がおこなわれますが、無視して対応をしなかった場合、悪質な滞納者と捉えられても仕方がありません。
役所に対して、横柄な態度で対応するなども悪質と捉えられるため、役所の担当者にはご自身の経済状況を説明して誠意をもった対応をしましょう。
税金滞納と住宅ローンの滞納について
住宅ローンを返済中の方が税金を滞納してしまうと、所有する不動産に影響が出る可能性があります。
最悪の場合、自宅として利用できなくなる場合もあるため、注意が必要です。
税金滞納と住宅ローンの滞納について解説します。
住宅ローンを支払っていても自宅が差し押さえられる可能性はある
住宅ローンを滞納せずに支払っていても、納付すべき税金を滞納していると、自宅が差し押さえられる可能性があります。
さらに、このケースは任意売却ができないまま、自宅が競売にかけられてしまう原因でもあります。
競売となった場合は、得られる売却額が任意売却で得られる売却より低くなる傾向にあるため、注意が必要です。
とくに、固定資産税などの税金を滞納している方は、住宅ローンを支払っているからといって安心できません。
住宅ローンを滞納している場合
住宅ローンの返済日に返済口座から引き落とせなかった場合、住宅ローンを契約している金融機関から電話やメールで、催促をされるのが一般的です。
本来は金融機関が指定する日までに返済する必要はありますが、1ヵ月程度の滞納なら、残高不足や家庭の事情で支払いが遅れる可能性もあるため、問題はありません。
しかし、厳しい金融機関もあり、数日遅れただけでも遅れた日数分の延滞利息や、遅延損害金を請求される可能性もあるため注意が必要です。
税金滞納における住宅ローンへの影響とは
税金を滞納している方のなかには、自宅を守りたい思いから、住宅ローンの返済を優先する傾向にあります。
消費者金融の借り入れで住宅ローンを返済して多重債務となったり、銀行のカードローンを利用したりなど、税金より住宅ローンの返済を優先する方が多いです。
固定資産税を滞納している方も多く、住宅ローンの返済を優先するあまり租税をおろそかにする方がいます。
実は、生活費の次に支払い優先度が高いものは、租税の支払いです。
近年、国税や地方税の税収が下落傾向にあるため、国や市町村はさまざまな手段をとって税金の徴収をしています。
そのため、住宅ローンの返済をしていても税金を滞納していると、自宅が差し押さえの対象となります。
自宅の売却で税金滞納が解消される可能性もある
住宅ローンの貸し出しをしている金融機関の多くは、任意売却の代金からマンションの管理費用などの滞納分の配分が可能です。
配分の範囲は金融機関によって違いはありますが、10万円か滞納している税金の1割のいずれか低い額としています。
残った滞納分の税金は分配の交渉をする必要がありますが、任意売却で税金滞納が解消できる可能性はあります。
しかし、自宅の差し押さえを受けている方の税金滞納額は、延滞税も含めると、数十万円に上るケースも珍しくありません。
事業を営んでいる方の場合、数百万円の税金滞納もあり、数年間税金の滞納を放置してしまうと元本を上回る滞納額になるケースも考えられます。
税金の滞納が高額すぎると任意売却ができず競売となる可能性があるため、注意が必要です。
税金滞納額が多い場合、自宅の差し押さえ解除は難しく、任意売却ができずに競売となる可能性が高くなります。
税金滞納の対処法
経済的な事情から、税金を滞納してしまって、税金滞納時の対処法が知りたい方も多いでしょう。
税金を納付できない場合は、いくつかの対処法があり、対処法を実践すると税金滞納時の助けになります。
税金をどうしても納付できない方は、税金の納付が難しい場合の対処法を確認しましょう。
税金の分割納付を利用する
税金の納付は一括払いが原則ですが、支払いが困難な事情がある場合、役所と相談すると分割納付にしてくれるケースもあります。
分割納付が認められた場合、分割納付中の期間は、財産が差し押さえられるリスクが低くなるでしょう。
一括で税金の納付が難しくても、分割納付なら滞納している税金を納付できる方は、分割納付の利用がおすすめです。
税金支払いの猶予制度を利用する
分割納付が難しいほど経済的にお悩みの方は、納付の猶予制度を利用すると、滞納している税金の納付が猶予される制度があります。
猶予制度とは、特別な事情がある場合、1年以内で納付ができるような計画を作成するものです。
猶予が認められた期間は、延滞税の一部または全額が免除されますが、以下の事情がある場合に限られます。
- 納税者本人が財産について、災害などを受けた
- 納税者本人が財産の盗難に遭った
- 納税者本人が営む事業がやむをえず休廃業をした
- 納税者本人が営む事業が利益の減少などによって著しい損失を受けた
- 納税者本人または生計をともにする家族が病気にかかった
上記の理由で一時的に納付が難しい場合に、猶予の申請をすると納税の猶予が与えられる可能性がありますが、担保の提供が必要です。
しかし、猶予を受ける税額が100万円以下の場合や猶予を受ける期間が3ヵ月以内の場合、提供できる担保がない場合は、担保は不要です。
税務署や市町村に相談する
税金の滞納をして督促状が自宅に届いた場合、財産を差し押さえられるリスクが発生します。
督促状が届いた場合、放置せずに税務署や市町村の窓口に相談しましょう。
税金滞納をしていると負い目を感じてしまい、相談をためらってしまう方が多いですが、対応をしない場合は支払いの意思がないとみなされる可能性があります。
そのため、督促状が届いた場合だけではなく、税金の滞納が発覚した場合は、早めに税務署や市町村へ相談するのがおすすめです。
相談をするときは、現在の経済状況を説明して、税金を支払う意思を示しましょう。
まとめ
税金を滞納して自宅が差し押さえられた場合でも、任意売却は可能です。
税金の納付は国民の義務ですが、経済状況によって支払いが難しい方は、役所へ相談するのがおすすめです。
税金を滞納してしまった場合は、分割納付や猶予制度などを活用しましょう。