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任意売却は住宅ローン滞納なしでもできる?
滞納前に手続きするメリット
2024.04.02

● 任意売却は住宅ローン滞納なしではできないか?
● 住宅ローンを滞納していないが、返済が苦しい状況を改善したい
● 任意売却を、銀行は認めたがらないと聞いたが、本当だろうか?

ここでは、住宅ローンを滞納なしで返済している方へ、任意売却を利用できるケースとはどのような場合なのか、滞納する前に任意売却するメリットも含めて解説します。

この記事でわかること
● 住宅ローン滞納なしで任意売却を利用できるケース
● 住宅ローンの滞納がなければ任意売却は選択できない理由
● 滞納前に任意売却するメリット

1.住宅ローン滞納なしでも任意売却が可能なケース

ローンの名義人や世帯収入が減少したときは、滞納していない場合でも任意売却しやすくなります。
病気やケガなどで長期的に入院や治療・リハビリしなければならないときは、職場復帰の目途が立ちません。
家族が仕事を辞めて介護するケースも多く、世帯収入の減少によりローンが返済できなくなります。
さらに、勤務先の倒産による失業や経営難に起因するリストラも、収入が減少する方が多いケースです。
転職しても今までと同レベルの収入を得るのは難しく、退職金が想定していた金額よりも少なくなってしまいます。
また、離婚により夫が出ていくと妻の収入だけではローンの支払いができなくなりがちです。
滞納していない事例は任意売却できないのが原則ですが、収入が減少したときは銀行に相談してみましょう。

2.ローンを滞納していない方が任意売却できない事例

滞納なしで任意売却できる条件を満たしていても、銀行が認めず、任意売却できないケースもあります。
転職や病気などで収入が減少しても計画どおりに返済を継続しており、支払能力があると思われるからです。
この他、連帯保証人や共有名義人が同意しないときも、任意売却はできません。

2-1.ローンを契約してから年数が経過していない

自宅を購入して間もない方が、銀行に任意売却の相談をしても、取り合ってもらえないのが実情です。
ローンを契約する際には、名義人と銀行の担当者で、何回も協議を重ねて返済計画を立案します。
購入したい物件の評価は妥当か、収入に対して無理のない返済計画になっているかがポイントです。
さらに、連帯保証人の返済能力に対する審査をおこなった後に融資は実行され、2〜3年間滞納なく返済すると銀行は返済能力を認めます。
返済を開始して間もないタイミングで任意売却の相談をしても、合意は得られません。

2-2.ローン申請書に虚偽記載があった

ローン審査を申し込む段階で、収入を水増しする、自己資金を多く申告するなどの虚偽記載があったときは、詐欺行為とみなされます。
高額な物件価格を提示する手口は、不動産会社や建築を請け負う会社と共謀しているケースです。
当初から多額の融資を引き出すのが目的だった場合は、銀行も刑事事件として対応します。
だます意図がなかったときでも、虚偽記載は信用を損ねるため、一切の話し合いに応じません。

2-3.任意売却を認めない契約だった

銀行によっては、当初から任意売却を認めない契約を導入しているケースもあります。
競売でも市場価格と遜色ない落札価格が期待できる物件では、銀行は任意売却を認めません。
保証協会や保証会社を利用せず、直接融資をおこなったときは代位弁済を受けないため、債権処理をかんたんに済ませるには競売が適しているのも理由です。
ご自身の契約が任意売却を認めているかは、金銭消費貸借契約書で確認できます。
銀行に相談する前に確かめておきましょう。

2-4.税金や修繕積立金を滞納している

住宅ローンを毎月返済している方が、固定資産税や都市計画税、不動産取得税を滞納しているときは、任意売却は認められません。
売却して得たお金を納税資金にしなければならないからです。
また、マンションの修繕積立金や管理費を滞納している場合は、引き渡しまでに滞納の解消が条件です。
売却したお金で返済すると銀行(債権者)が回収できる額が減るため、任意売却の相談をしても話し合いには応じてもらえません。

3.任意売却が住宅ローン滞納なしではできない理由

任意売却はローンの滞納が条件になっており、毎月返済している場合は、返済能力に問題がなく、計画どおりに実行できていると銀行は判断します。
この状況で相談を申し込んでも銀行は応じませんし、かといって、あえて滞納したときの影響ははかり知れません。
銀行が相談に応じない理由を把握し、今後の対策に役立てましょう。

3-1.銀行は計画どおりに返済して欲しい

銀行は、預かったお金を貸し出す際、上乗せした金利が収入になる仕組みです。
融資したお金が計画どおりに元本と金利を全額回収できなければ、経営に支障が生じます。
そのため、ローンの滞納を嫌いますし、返済を途中でやめる任意売却は避けたいのが本音です。
また、任意売却するには抵当権抹消登記をおこないますが、売却しても残債をすべて回収できるとは限りません。
返済できなかった債務は、分割して支払う契約を締結しても、担保物件がないため強制的に回収する手段のない契約になります。
回収できなければ不良債権化しやすく、銀行の経営を圧迫するだけです。
そのうえ、物件の売却価格の決定権は債権者にあります。
売主が値引き交渉に応じて安くすると、回収できる金額に影響を及ぼすからです。
しかし、値引きに応じてもらえない物件は売れにくいため交渉が成立しにくく、競売になる可能性が高まります。
競売になると市場価格よりも安値になるのが一般的であり、結局、残債を全額回収できません。
滞納履歴のない融資は任意売却せず、そのまま全額計画どおりに返済して欲しいと銀行は思っています。

3-2.任意売却の条件を満たしていない

任意売却には、滞納し始めてから約6か月経過したときに金融機関が伝える「期限の利益喪失」が、条件の1つです。
期限の利益とは、融資への返済を分割払いにより猶予が生まれる利益であり、約束を履行しないと喪失します。
その結果一括返済を求められますが、支払えないときは保証会社や債権回収会社が融資元に代位弁済するのが流れです。
代位弁済を受けると、銀行は残債を回収できるため、任意売却には応じません。
債権の移行にともない、任意売却の交渉相手は、保証会社や債権回収会社になります。
住宅ローンを滞納していない方は、任意売却の条件である「利益の期限の喪失」も「代位弁済」もおこなっていない状態になるからです。
また、保証会社や債権回収会社は、残債が多すぎるときは任意売却には応じません。
持ち家を売却しても残債が多いときは、回収できる見込みがないからです。
返済できなくなった債務者が自己破産を選択すると債権放棄に応じなければならず、債権者は多大な損失をこうむります。
ローンの滞納なしだけが、任意売却の条件ではない点に注意が必要です。

4.住宅ローンを滞納する前に任意売却をするメリット

返済が苦しい状況を脱するには、早期に対策を講じなければなりません。
任意売却の条件をクリアする目的で滞納するより、返済し続けながら債権者と交渉して持ち家を売却するメリットを確認しておきましょう。
同時にデメリットも把握しておくと、任意売却への理解が深まります。

4-1.銀行と相談する時間や選択肢を増やせる

滞納する前であれば、銀行に返済プランの変更を相談できるのがメリットです。
ローンを申し込んだときより世帯収入が減少した現状と、返済するのが厳しい状況を伝えます。
返済計画が実行できないときは、銀行も回収できなくなるおそれが高まるため、相談に応じてくれるでしょう。
毎月の返済額を少なくして支払い期間を延長する方法は、収入が回復した時点で再設計するか、繰り上げ返済を選べます。
銀行から提案を受けたときはシミュレーションを参考にして、返済計画に無理がないかをご自身で確かめるのも大切です。
別の銀行に相談して借り換える方法も相談する時間にゆとりがあるときしかできません。
いづれにしても、この段階で解決できれば、持ち家を売却せずに済み続けられるのもメリットです。

4-2.信用情報に記録が残らない

信用情報とは、ローンやクレジットカードの取引履歴の記録であり、返済をおこなわなかったときは金融事故の情報が登録されます。
信用情報に記録が残ると、いわゆる「ブラックリスト」に入りますが、情報を管理するのは国から指定を受けている機関です。
クレジットカードの発行やローン審査をおこなう際、信販会社や銀行が情報を確認する以外は閲覧できません。
3か月以上ローンを滞納すると記録が残り、一定期間新規のクレジットカードの発行やローン審査が通らなくなります。
任意売却をおこなっても信用情報に記録は残りませんし、滞納していないためブラックリストとは無縁です。
売却後の残債を完済するまで滞納しなければ、信用情報に記録は残りません。

4-3.競売による損失を回避できる

競売とは、融資したお金を回収したい債権者の申し立てにより、裁判所が主導して担保物件を売却する手続きです。
通常、利益の期限喪失と同時に競売を申し立てるため、ローンを滞納し始めてから6~10か月経過した頃が競売開始の目安になります。
競売では市場価格の5~7割で落札されるのが一般的であり、残債が多くなるのを回避できません。
そのうえ、官報に競売物件を掲載するため、親戚や勤務先、自宅周辺の方に競売になったことが知れ渡ってしまいます。
滞納なしの任意売却は、市場価格での取引が成立する見込みが高く、自宅の販売活動を周囲に知られる心配もありません。
また、落札後に所有権の移転手続きが完了すると引っ越ししなければなりません。
一方、任意売却の場合は、引っ越しの時期を買主と相談できるのもメリットです。

4-4.ローン滞納なしでの任意売却にはデメリットもある

滞納なしで任意売却をしたいときは、融資元の銀行にくわえ、共同名義人や連帯保証人の同意を得なければなりません。
収入が減少してローンの返済が困難な状況を説明しても、滞納していなければ同意を得られない可能性もあります。
仕方なく連帯保証人になった方や離婚した相手に連絡するのは負担に感じますし、入院中の方では連絡すらできません。
また、販売活動をおこなっても成立するまでには時間がかかります。
その間、返済を続けなければならず、売れなかったときも想定しておかなければなりません。
任意売却を認めてもらう目的でローンを滞納すると、信用情報に記録が残り、競売になるリスクも高まります。
メリットとデメリットのどちらも確認してから、任意売却すべきか判断しましょう。

5.まとめ

住宅ローン滞納なしでも任意売却を利用できるケースは、勤務先の倒産による失業やリストラ、病気やケガなどにより収入が減少した場合です。
ローンを返済して間もないときや税金などを滞納している方は、銀行が売却に同意するとは限りません。
ローン滞納前の任意売却は、銀行とプラン変更を相談する時間や選択肢を増やせるのがメリットです。
連帯保証人や共同名義人の同意がなければ売却できない点に注意しましょう。



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