空き家のネズミ対策とは?
想定される被害や駆除方法を徹底解説2025.06.20
● 空き家にネズミが住み着くのはなぜ?
● 空き家がネズミの住処にならないようにする方法はある?
● ネズミがでたときはどう対処するべき?
空き家にネズミが住み着くと建物の老朽化や火災、感染症など、さまざまな被害リスクが懸念されます。
人の出入りが少ない空き家は、ネズミの住処になりやすい条件が揃っているため、あっという間に被害が拡大します。
近隣トラブルやさまざまなリスクを防ぐためにも、ネズミを寄せつけない予防策や早期対処できる駆除方法などを把握しておきましょう。
この記事でわかること
● 空き家にネズミが住み着く理由
● 空き家にネズミを出さないための予防策
● 空き家に発生したネズミの駆除方法
空き家にネズミが住み着く理由と被害
空き家にネズミが住み着くと、建物の老朽化や火災、感染症など深刻な被害につながるおそれがあるため、決して軽視できません。
ここでは、空き家にネズミが住み着く理由とその被害について解説します。
躯体部分の老朽化
ネズミといえば、鋭い前歯でものをかじるイメージを持つ方も多いでしょう。
実際に、ネズミの歯は一生伸び続けるといわれており、歯の長さを調整するために何かをかじる習性があります。
空き家に住み着いたネズミにとって、柱や配線などの建材は最適なかじり場所です。
躯体部分の老朽化が進み、気付いたときには倒壊リスクが懸念されるほど耐久性が落ちているようなケースもあります。
見た目が悪くなるだけではなく、耐久性が低下すると資産価値にも悪影響が及ぶため、売却時の印象を損なう原因になります。
漏電による火災
ネズミが電気配線をかじると、火災リスクが高まります。
電気配線が損傷して、導線が露出した状態で放置されると、ショートしたときに火花がホコリやゴミに引火する危険性があります。
誰も住んでいない空き家では、ホコリやゴミなど引火しやすい可燃物が溜まりやすいため、火災リスクには警戒が必要です。
実際に、火災が発生した空き家ではネズミにかじられた形跡のある配線がみつかる事例も多く報告されています。
感染症や衛生面のリスク
ネズミは、下水道や換気扇など狭くて汚れた場所を好んで移動する生き物で、人間にとって危険な病原菌を保有しています。
たとえば、サルモネラ菌やパラチフス菌などの病原菌を保有している場合、ネズミから人間に感染すると腹痛や嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。
また、空き家を訪れた際にネズミに噛まれると、鼠咬症スピリルムに感染する可能性があり、発熱や傷口の化膿などを引き起こすため危険です。
さらに、ネズミの糞尿による悪臭やカビの発生、さらなる害獣の誘引など衛生面での懸念点も大きな課題です。
近隣住民からのクレーム
空き家にネズミが住み着くと、衛生面や悪臭、新たな害獣を寄せ付ける原因になるため、近隣住民からクレームが入る可能性があります。
ネズミは、餌を求めて空き家周辺を徘徊するため、食べ物のある隣家にも侵入します。
また、ネズミの糞尿などのニオイを嗅ぎつけて野良猫やハクビシン、カラス、たぬきなどの害獣が寄り付くケースも少なくありません。
害虫や害獣の溜まり場になると、縄張り争いでの騒音や景観悪化、糞尿や病原菌による健康被害など問題は膨れ上がり、近隣住民とのトラブルや行政指導の対象になります。
空き家の所有者には管理責任が課せられていますので、その責任を放棄しているとして、厳しい視線を向けられる要因になるので注意が必要です。
ネズミ被害を最小限に抑えるための予防策
定期的に空き家を訪れているとしても効果的な予防策が講じられていなければ、あっという間にネズミは住み着きます。
ここでは、ネズミ被害を最小限に抑えるための予防策を解説します。
不用品の処分
空き家に荷物や食材など不用品を置きっぱなしにしていると、ニオイや湿気につられてネズミが寄ってくる可能性があります。
また、荷物の多い空き家は、外から身を隠したいネズミにとって最適な隠れ場所として好まれています。
そのため、出入りの少ない空き家では、不用品を処分してすっきりとした状態にしておくと、ネズミが住み着く可能性が低いです。
どうしても荷物が多いままになってしまう場合、整理整頓を徹底するほか、定期的な室内の掃除や換気を心がけましょう。
侵入経路の遮断
ネズミは、狭い経路をみつけて住宅内に侵入します。
排水口や換気扇、エアコンの配管部など侵入経路になる箇所があれば、ホームセンターなどで購入できる専用パテや金網、防鼠ブラシなどで塞ぐようにしてください。
隙間が小さければ専用パテ、隙間が大きければ金網や防鼠ブラシがおすすめです。
なお、スポンジやゴムなどやわらかい素材を使用した場合、ネズミが簡単にかじってしまうので硬い素材を選ぶのがポイントです。
忌避剤の撒布
忌避剤(きひざい)とは、ネズミなどの害虫・害獣が嫌うニオイや成分を配合したアイテムで、固形タイプや粒状タイプ、スプレータイプなどさまざまな種類があります。
● 固形タイプ:雨に強いので野外に向いている
● 粒状タイプ:散布量を調整できるので庭など広い範囲に使用できる
● ゲルタイプ:持続性に優れているので倉庫や物置など密閉空間に向いている
● スプレータイプ:即効性が高く手の届かない場所に散布できる
どこに忌避剤を設置したいのかによって、最適な種類を選びましょう。
一箇所に置くよりは複数箇所に置いたほうが効果が高いです。
なお、同じ種類の忌避剤を使用し続けていると、ネズミに耐性がつき、効果が最大限に発揮されなくなる可能性があります。
こまめに忌避剤の種類を取り替えて、効果を持続させられるように工夫しましょう。
空き家のネズミ対策の注意点
空き家を管理するうえでネズミ対策は重要ですが、無闇に予防しようとすると思わぬトラブルや健康被害を招くおそれがあるので危険です。
ここでは、空き家のネズミ対策における注意点を解説します。
感染や怪我のリスクを理解する
ネズミには、人間の健康被害を脅かす病原菌や怪我のリスクがある点を理解しましょう。
サルモネラ菌やパラチフス菌、鼠咬症スピリルムなどの病原菌はネズミの糞尿や咬傷によって人間にも感染します。
なかでも鼠咬症スピリルムは、3〜25%のドブネズミが保有しているとされており、適切な治療を施さなければ死亡するケースが報告されているほど危険です。
放置していた空き家を訪れる際には、ネズミが住み着いている可能性が高く、清掃中に糞尿を触ったり物を動かしたときに噛みつかれたりして感染・怪我のリスクがあります。
マスクや手袋などネズミ対策をしたうえで、空き家の管理をおこないましょう。
根本原因を取り除かなければ再発する
空き家にいるネズミを駆除しても、侵入経路や餌などネズミを寄せ付ける原因を解決しなければ、時間の経過とともにネズミは同じ場所に戻ってきます。
狭くて汚れた場所も移動するネズミは、わずかな隙間や通気口までしっかりと塞がなければ、簡単に侵入できてしまいます。
また、食べ残しやゴミ、不用品などを乱雑に放置していると、ネズミにとって格好の住処として狙われやすいです。
一時的に駆除するのではなくネズミが寄り付きにくくなる対策を心がけましょう。
定期的に空き家を訪れて、ネズミの形跡がないか、原因になるかを特定すれば、最適な対策方法を模索できます。
空き家のネズミに対する有効な駆除方法
空き家にネズミが発生すると、建物の老朽化や感染症リスクなどさまざまな問題に発展するため、早急に駆除しなければなりません。
しかし、小さくてすばしっこいネズミを捕まえるのは簡単ではありませんので、安全かつ効果的な方法を選ぶようにしてください。
ここでは、空き家のネズミに対する有効な駆除方法を解説します。
殺鼠剤
殺鼠剤(さっそざい)とは、ネズミを駆除するために開発された専用アイテムです。
空き家にいるネズミに直接撒いて駆除できるタイプや、餌に混ぜてネズミの巣にもちらせて他のネズミと一緒に駆除できるタイプなど複数の種類があります。
比較的効果が高いとされていますが、ネズミがどこで死ぬかわからないため、死骸を探して処分しなければなりません。
処分する際も、死んでいるように見えても息を引き取っていない可能性もあるため、噛まれないように注意が必要です。
トラップ
トラップとは、ネズミ駆除専用に開発されたアイテムで、次のような種類があります。
● 粘着シート:厚紙についている粘着のりでネズミを捕獲する
● カゴ型:カゴの中に餌を置いて、中に入ったら扉を占めてネズミを捕獲する
● バネ式:餌に触るとバネが作動して、ネズミを捕獲する
殺鼠剤とは異なり、トラップを使えばネズミの死骸がどこにあるかが明確です。
ただし、トラップを使うだけではネズミが即死するわけではないため、生きたまま処分しなければならない場合もあります。
弱ったネズミは凶暴化する可能性もあるため、感染症や怪我のリスクを避けるためにも、慎重な対応が求められます。
LEDストロボライト
LEDストロボライトを使えば、ネズミを空き家から追い出せるとされています。
もともとネズミは、夜行性で視力が弱い特性を持っており、明るい場所を嫌います。
そのため、空き家の狭くて暗い場所にLEDストロボライトを設置して、定期的に点滅させれば、住み着いたネズミに不快感を与える可能性が高いです。
ただし、すべてのネズミがLEDストロボライトを嫌がるとは限らず、だんだんとライトの光に慣れてくるネズミもいるため、長期的な効果は期待できません。
あくまで一時的な効果がある駆除方法として、ご検討ください。
超音波発生装置
ネズミは、人間の耳には聞こえない超音波に対して強い不快感を持つとされており、超音波発生装置を設置するとネズミを空き家から追い出せるとされています。
超音波は、硬いものに反射する特性があるため、屋根裏や床下などを狭い空間に設置すると、建物全体に超音波が広がります。
殺傷力があるわけではないため、空き家にいるネズミを追い出す方法として有効です。
また、ネズミによっては超音波の音に慣れてしまう個体もいるため、LEDストロボライト同様に一時的な対策として、ご検討ください。
専門業者への依頼
殺鼠剤やトラップはネズミの死骸を自分で処分する必要があり、LEDストロボライトや超音波発生装置は一時的な効果しか期待できません。
安全かつ効果的なネズミ駆除をご希望であれば、専門業者に依頼するのが最も確実です。
ネズミ駆除の専門業者は、建物の構造やネズミの行動パターンに応じて、最適な殺鼠剤の選定や侵入経路の特定・密閉を一括でおこないます。
依頼費用はそれなりにかかりますが、怪我や感染症、再発リスクを考慮すれば有効な選択肢といえるでしょう。
空き家のネズミ対策が難しい場合の対処法
空き家のネズミ対策で効果がでなかったり再発を繰り返したりしている場合、近隣住民とのトラブルや管理負担が重くのしかかる原因になります。
もしも限界を感じているのであれば、空き家そのものを所有し続けるべきかを検討するタイミングかもしれません。
売却や解体など根本的な対処をおこなえば、管理負担は大幅に解消されます。
空き家の売却は難易度が高いとされていますが、実績豊富な不動産会社や買取専門業者を利用すると、スムーズな取引が期待できます。
まとめ
人の出入りが少なく、物であふれている空き家は、ネズミが住み着きやすく、建物の老朽化や火災、感染症などの懸念があります。
ネズミ対策として、侵入経路の密閉や整理整頓、専用の駆除グッズなどが効果的ですが、怪我・感染リスクがあるため、必要に応じて専門業者に駆除してもらう方法も有効です。
ネズミの発生している空き家は、売却が難しいとされていますが、信頼できる実績豊富な不動産会社を探して相談してみましょう。