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空き家の名義変更が義務化!
方法や費用と注意点を解説
2025.06.03

● 空き家の名義変更が義務化されたらどうなるの?
● 相続登記ってお金がかかるのでは?
● 名義変更をしないと何が問題?

不動産を相続したあとは、速やかに相続登記を済ませなければなりません。

しかし、「住まないから」「遠方で手続きができないから」といった理由で、未登記や昔の所有者のままで空き家となっている物件が増えています。
相続登記は2024年4月1日に義務化されて罰則対象となり、名義変更をしていない空き家は売却が困難になりました。

本記事では、空き家の名義変更の方法や費用、スムーズに手続きするための注意点を詳しく解説します。

この記事でわかること

● 空き家の名義変更が必要な理由
● 名義変更にかかる費用や税金
● 空き家の名義変更をスムーズにおこなうための注意点

空き家の名義変更はなぜ必要なのか?名義変更しないと起こる問題と合わせて紹介

不動産の名義を変更せずに放置しておくと、後々思わぬトラブルや金銭的負担に発展する場合があります。
ここでは、空き家の名義変更がなぜ必要なのかをわかりやすく解説し、さらに名義を変更せずに放置した場合に起こりうる問題点も紹介します。

所有者を明確にするため

正式な所有者がはっきりしていないと、物件に何か問題があった場合にすぐに連絡ができません。
災害時や建物の倒壊・火災などのトラブルが発生した際には、所有者が不明なままだと対応が遅れ、被害が拡大するリスクもあります。

このようなトラブルを防ぐためにも、空き家の登記は速やかにおこない、活用や処分の準備をスムーズにおこなえるようにしておきましょう。

空き家の管理責任をはっきりさせるため

登記に登録された人には、空き家を適切に管理する義務があり、草木の手入れや定期的なメンテナンスによって老朽化を食い止めなければなりません。

また、名義が故人のまま放置された状態では、空き巣や不法侵入といった問題が起きた際に、責任の対象がいなくなってしまいます。
登記が義務化された現在では、市区町村から特定空き家に指定され、修繕や解体の命令が出される可能性もあります。
命令に応じない場合には、行政代執行によって費用が請求されるケースもあるため注意が必要です。

名義を明確にし所有者の立場をはっきりさせるのは、周囲への配慮や資産としての維持管理のために不可欠です。

不動産の活用・売却が困難になる

名義変更が正しくおこなわれていないと、賃貸としての活用はもちろん、売却や解体も困難になります。
相続した不動産であっても、登記簿上の所有者が故人のままになっていると、法的に処分する権限が与えられません。

売却を希望しても契約はできず、住宅ローンの担保にもなりません。
法的な権限がないので、補助金や空き家活用制度の対象からも外れます。
名義変更されていない空き家は活用も売却もできず、資産価値が低下し負担だけが残されます。

税金負担が増える可能性がある

空き家問題で一番大きな負担となるのが、税金問題です。
管理状態の悪い空き家は、行政から特定空き家に指定される可能性があり、固定資産税の優遇措置が解除されます。
一般的な住宅は、軽減措置により課税額が大幅に抑えられていますが、解除されれば最大で6倍近い税額が請求される可能性があります。

また、名義が故人のまま変更されていないと、納税通知書が届かず、納税が滞るなどのトラブルにもつながりかねません。
名義を適切に変更し、責任ある所有者として登記しておけば、余計な税負担やトラブルを未然に防げます。

次世代への相続が複雑化する

名義変更がされないまま次の相続が発生すると、相続が複雑化します。
新たに相続した人が登記をおこなうには、すべての相続人を調査し、関係者全員の合意が必要です。
疎遠になっている親族への連絡や協議は困難で、相続人が多くなると、法的な調停や争いに発展するケースもあります。

手続きの負担が重くなると、相続放棄や空き家放置の原因にもなりかねません。
資産として次世代に受け継いでもらうためにも、速やかに名義変更をおこないましょう。

近隣トラブルへ発展する

空き家の手入れをせずに庭の草木が伸び放題になっていたり、害虫や野生動物が発生し糞尿をまき散らしたりするケースがよくあります。

また、空き家への不法投棄や浮浪者が住み着き、防犯面での不安が大きくなると近隣トラブルに発展する場合もあります。
老朽化した建物が倒壊して隣家に損害を与えてしまうと、損害賠償請求されるだけでなく、管理不全な空き家として行政の指導や改善命令の対象となるでしょう。

名義変更されていないと所有者を特定できず、対応が遅れたり、責任の所在が曖昧になったりして、近隣住民との関係に悪影響を与えかねません。

空き家の名義変更が必要なケース

ここでは、空き家の名義変更が必要になる具体的なケースについてわかりやすく解説します。

相続によって取得したとき

不動産を相続した場合、登記簿上の名義人を変更する相続登記が必要です。
相続登記を放置すると売却や活用ができなくなるうえに、次世代への相続手続きが複雑化します。

2024年4月からは、相続を知った日から3年以内の登記が義務化されており、正当な理由なく期限を過ぎると10万円以下の過料を科される可能性もあります。

贈与による所有権の移転

生前贈与された場合は、贈与による所有権移転登記を法務局に申請します。
当事者間で合意があっても登記がおこなわれなければ、他の相続人に対して所有権を主張できず、売却や担保設定もできません。

トラブルを避けるためにも、贈与を受けたら速やかに登記をおこない、法的な所有権を確定させましょう。

離婚にともなう財産分与での名義変更

離婚によって不動産を一方の名義に変更する場合は、財産分与による所有権移転登記が必要です。
離婚協議や調停の取り決めだけでは、法的な所有権移転にはなりません。

不動産の売却や利用に制限が残るため、離婚協議書や調停調書、双方の印鑑証明書などを用意して早期に登記を済ませましょう。

所有者の住所・氏名が変わった場合(2026年4月~義務化)

引っ越しや結婚・離婚などで住所や氏名が変わった場合も、登記の変更が必要です。
2026年4月からは住所・氏名変更登記が義務化され、変更から2年以内に申請しないと5万円以下の過料を科される場合があります。

特定空き家にしないためにも、住所や氏名が変わった場合には速やかに変更しましょう。

名義変更の手続きの流れ

ここからは、相続した空き家の名義変更の流れを説明します。

ステップ1:登記内容と権利関係を確認

不動産の登記事項証明書を取得し、名義人や現況を確認します。
登記事項証明書は法務局で発行でき、不動産の現在の所有者の住所や氏名の他、土地の大きさや地目なども確認可能です。

遺言書がある場合には、遺言書に沿って遺産が分割されるため、弁護士などに依頼し内容を把握してもらいます。

ステップ2:必要書類の準備

被相続人の戸籍謄本と住民票除票、相続人の戸籍謄本や印鑑証明書、固定資産評価証明書など、必要な書類を集めます。
相続人全員の実印の押印がある遺産分割協議書も用意しておきましょう。

ステップ3:法務局へ申請(登記申請)

被相続人の住所地を管轄する法務局へ、所有権移転登記を提出します。
法務局のホームページで、申請方法が調べられるので、そちらを参考に作成してください。
審査が終われば、新しい名義人で登記され、登記完了証が交付されます。

空き家の名義変更にかかる費用と税金

相続人全員の書類取得が必要になるため、費用が高くなるケースがあります。
必要な金額を把握しておけばスムーズに名義変更が進みます。

戸籍謄本 450円
除籍謄本 750円
住民票 200~400円
除票 200円~400円
登記事項証明書 450円~600円
固定資産税評価証明書 200円~400円

司法書士に依頼した場合には、不動産1件につき3万円から7万円が必要です。

名義変更に必要な税金

名義変更には、登録免許税が必要で評価額×0.4%が目安となり、たとえば評価額1,000万円の土地では約4万円です。

ただし、贈与登記の場合は評価額×2%と税負担が大幅に増えるため、評価額1,000万円の土地では約20万円の税額になります。
贈与の場合は、不動産取得税や贈与税も発生するため、事前の税負担シミュレーションが重要です。

費用を抑えるコツ

相続登記の費用を抑えるためには、免税措置などの制度を活用しましょう。
評価額が100万円以下の土地は、登録免許税が免除される特例もあり、自分で法務局に申請すれば、司法書士への依頼費用を節約できます。

贈与よりも相続のほうが税負担が軽くなるため、相続を前提に遺言書を残すなどもコスト削減につながります。

空き家の名義変更前の注意点

空き家の名義変更は、法律上の義務や税金、将来のトラブル防止に直結する重要な作業です。
登記前には確認すべきポイントが多く、見落とすと余計な費用や管理リスクが発生する可能性もあります。

相続関係を確認する

名義変更には被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍や遺産分割協議書などが必要です。

相続人が複数いる場合には、全員の同意が必要となるため、早めに協議をおこない、必要書類を整えておきましょう。
話し合いがまとまらないと名義変更ができず、手続きが長期化する可能性もあります。

不動産の評価額を把握する

名義変更には登録免許税や不動産取得税、贈与税などの費用がかかり、不動産の評価額に基づいて計算されます。
評価額によっては、高額な税負担が発生する場合もあるため、市区町村の固定資産税評価証明書などで確認しておきましょう。

必要書類を揃える

登記申請に必要な書類は以下です。

● 戸籍謄本
● 印鑑証明書
● 遺産分割協議書
● 登記識別情報など

自分で名義変更する場合には、税務署に足を運ぶ必要がありますが、書類に不備があれば受理されず、何度も通わなければなりません。
税務署は平日しか開いていないため、平日忙しい方はとくに注意が必要です。

空き家の名義変更後の注意点

空き家の名義を変更後は、以下の3つに注意しましょう。

住所や氏名の更新

名義変更後、所有者の住所や氏名が変更された際には、登記の更新が義務付けられます。(2026年4月から)

2年以内に登記しないと5万円以下の過料を科される可能性があるため、速やかに名義変更をおこないましょう。
所有者情報を適切に管理すれば、税や連絡に関わるトラブルを防止できます。

固定資産税の支払い

名義変更後は、空き家の固定資産税の納税義務が正式に新所有者へ移ります。
毎年4〜6月に市町村から納税通知書が届くため、忘れずに支払い準備をしてください。
名義変更前の未納税がある場合は、名義変更だけでは免除されず、まとめて支払う必要があります。

共有名義の場合は、代表者に納税証明書が届くため、税負担の割合や支払方法について相続人同士で取り決めをしておく必要があります。
きちんと話し合いをしておかないと、代表者だけが税金を負担するようになり、処分する際に揉める原因となるので注意が必要です。

空き家管理

空き家の管理責任が新たな所有者に移るので、定期的なメンテナンスをおこないましょう。
管理がしっかりされていない空き家は、行政から指導や勧告を受ける可能性があります。
特定空き家に指定されると、固定資産税の優遇がなくなり税負担が増えてしまいます。
防犯や防災の観点からも、定期的な点検による管理が重要です。

不法投棄されないよう掃除をおこない、庭の雑草などもきれいにしましょう。
郵便物などは必ず住所変更をおこない、ポストがあるとチラシなどを入れられてしまうため、空き家のポストは撤去するのがおすすめです。

まとめ

空き家を有効活用するためにも、相続や贈与、離婚などにより所有権が移った場合には、速やかな名義変更を進めてください。
空き家を放置せず、早めに名義変更をおこなえば、資産としての活用や売却もしやすくなります。

名義変更が義務化されただけでなく、住所・氏名変更についても罰則が設けられ、空き家は適切に管理する必要があります。
将来の相続や資産管理を円滑にするためにも、早めに名義変更を済ませ、正しい登記情報を保つのが重要です。



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