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空き家を相続したらまずやるべきことは?
手続きの手順や注意点を解説
2024.03.04

●相続した実家は放置しても大丈夫?
●固定資産税が高くなるって本当?
●空き家を相続したらどうすればいい?

実家を相続したものの、住む予定がなければ空き家として放置していてもいいのか疑問を抱えている方は多いでしょう。
本記事では、空き家を相続した人に向けて、まずやるべき事項や手続きの手順などを解説します。

この記事でわかること

●相続した空き家が抱えるリスク
●相続した空き家への対策
●空き家を相続したときの手続き

1.日本国内での空き家事情

少子高齢化が進む日本国内では、空き家の数は増加傾向にあります。
2018年に総務省が公開した住宅・土地統計調査では、日本国内の空き家率が13.6%と過去最高の数字を記録しています。
近年では、外国人や労働の多様性による需要が増えているといわれているものの、根本的には空き家増加を止められていないのが現状です。
ただし、2014年11月に「空き家等対策特別措置法」が発足され、国が率先して空き家を減らす取り組み対策がおこなわれています。
相続などで突如空き家を所有する羽目になり困惑する方は多くいますが、正しい知識を身につければ資産運用などに結びつけられます。

2.空き家を相続するリスク

空き家を相続するリスクは、以下のとおりです。
● 固定資産税が高くなる
● 老朽化による資産価値の暴落
● 劣化による近隣住民からのクレーム
それぞれのリスクを解説します。

2-1.固定資産税が高くなる

住居用に建てられた空き家は、誰も使用していない状態であっても不動産価値に応じて固定資産税がかかります。
収益化したり個人で利用したりしていない建物に税金の支払い義務が生じれば、負担に感じる方は多いでしょう。
ただし国税庁の提示するメンテナンスをおこなっていれば、空き家の特別措置が適用されます。
特別措置では、固定資産税が小規模住宅用地は6分の1に減額され、一般住宅用地は3分の1に減額されます。

2-2.老朽化による資産価値の暴落

空き家を長期間放置すると老朽化が進み資産価値が下がるため、売却や賃貸に出したくても買手・借り手を見つけるのが困難です。
特に誰も住んでいない物件は、見た目だけで劣化の進行具合を判断するのが難しく、床や壁など建物を支える部分の管理には気を配る必要があります。
資産価値が下がると、売却・賃貸のために高額のリフォーム費用がかかったり、担保価値がなければ資産活用できなかったり不利益を被りかねません。

2-3.劣化による近隣住民からのクレーム

空き家を放置していると、建物の劣化による崩壊や庭などの植物が伸びきるなど近隣住民とトラブルになる事例が報告されています。
また、誰かが住んでいたあとの空き家を掃除せずに放置すると、ゴミの不法投棄・悪臭・不衛生などで近隣住民に迷惑をかけてしまいます。
空き家にするにしても、家の中はできるだけ物を片付けて腐敗するようなものや水回りは悪臭・不衛生にならないような対策が必要です。
築年数が古いものであれば定期的に劣化具合を確認しましょう。

3.空き家を相続したときの対処法

空き家を相続したときの対処法は、以下のとおりです。
● 売却
● 賃貸として出す
● 移住
● 寄付
● 解体
● 相続破棄
それぞれの対処法を解説します。

3-1.売却

空き家を相続したとき、利用する予定がなければ所有しているだけで多くの負担になるため、できるだけ早く売却手続きに進みましょう。
売却が成立すれば物件の状態によるものの、ある程度の資金を現金で受け取れます。
もし、物件の相続人が複数いるのであれば現金化したものを分割できるため、物件を所有し続けるよりも遺産の分配が簡単です。
売却して引き渡しが完了すれば、固定資産税や維持費も発生しないため、経済的な負担もなくなります。

3-2.賃貸として出す

空き家の状態がよくて長期的な視点で資産運用に使うのであれば、入居者を募集して賃貸にするのがおすすめです。
入居者が見つかれば毎月一定の収入が見込めるため、使っていない空き家を有効に利用できます。
ただし、賃貸として貸し出すためには物件の状態が重要視されるため、必要に応じてリフォームやクリーニングの費用がかかります。
また、お金をかけて賃貸向けの物件を用意しても、入居者が見つからなければ収入は得られず多少のリスクがともなう点を理解しておきましょう。

3-3.移住

空き家の状態や立地などの条件が優れているのであれば、相続人が移住して使うのがおすすめです。
すでに住宅ローンなどの返済が完済しているのであれば、固定資産税や管理費などの最小限の費用のみで住めるのが魅力です。
築年数や間取りや内装が気になるのであれば、リフォームをして理想的な空間に仕上げられます。
すでに持ち家のある方であれば、セカンドハウスや別荘として利用可能です。

3-4.寄付

空き家を手っ取り早く手放す方法として、自治体への寄付があります。
国・地方公共団体・公益法人が必要とする不動産であれば、寄付が受け入れられます。
すべての物件が該当するのではないため、自治体で確認しましょう。
個人や法人への寄付には税金がかかる場合もあるため、事前の確認をおすすめします。

3-5.解体

建物自体が古すぎて売却や賃貸にするのが難しいのであれば、一度解体して更地にして売却を検討するのがおすすめです。
古い建物があるよりも更地のほうが汎用性が高いと判断されれば、買い手が見つかりやすくなるのが魅力です。
ただし、解体作業の費用相場は100万円以上となっており、更地にするためには費用が高くつく点のみ理解しておきましょう。

3-6.相続放棄

相続した空き地が被相続人にとって不利益となるのであれば、相続放棄をする選択もあります。
相続放棄は、被相続人が持つすべての相続財産の所有権を破棄するもので、3ヵ月以内に申請をしなければ利用できない制度です。
相続放棄をすれば空き地の管理をする必要はなくなるものの、空き地以外のすべての相続財産を手放さなければならない決まりです。
空き地以外に資産があるのであれば、かえって損失につながる可能性があります。

4.空き家を相続するときの手続き

空き家を相続するときの手続きは、以下のとおりです。
● 被相続人が亡くなると相続発生
● 相続人の確定と相続財産調査
● 遺産分割協議書の作成・申請
● 相続財産の名義変更手続き・引き渡し
● 相続税の納付
それぞれの手続きを解説します。

4-1.被相続人が亡くなると相続発生

まず、相続人の死亡が確認されると、被相続人に相続の権利が発生します。
被相続人は、相続人の死亡届を7日以内に提出し、遺言書の有無を確認します。
遺言書の有無によって、相続人や相続時に必要になる書類の種類が変更されるため、手続きを始める前に入念に探しましょう。

4-2.相続人の確定と相続財産調査

遺書があれば記述のとおりに、遺書がなければ血縁の被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明などの必要書類を用意します。
書類の内容に不備がなければ、正式に相続人が確定し、被相続人の負債・資産の調査が始まります。
相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があり、空き家を含めて負債が多いと感じるのであれば相続放棄を選ぶケースがほとんどです。
相続の種類は原則3ヵ月以内に決定する決まりで、それ以降の変更はできません。

4-3.遺産分割協議書の作成・申請

続いて、相続人が複数いるケースでは被相続人の遺産をどのように分配するか相談をして、遺産分割協議書に記録します。
ただし、必ずしも遺産分割協議書が必要なわけではなく、遺言書がなく法定相続割合での分割をしない場合に限ります。
遺言書が残っていない限りは法律で定められた方法で分割するのが一般的ですが、絶対にそのとおりに分配しなければならないわけではありません。
被相続人が亡くなる前の介護などをした人に分配率を多くする方法もあるため、親族間で話し合って決めましょう。

4-4.相続財産の名義変更手続き・引き渡し

遺産相続の分配が決定したら、銀行の名義変更と不動産の相続登記を法務局で済ませます。
被相続人の所有していた不動産もこのタイミングで引き渡されるため、どのように活用するのか、もしくは売却や解体をするのか検討しましょう。
もしも売却するのであれば、登記手続きを早く済ませるとリフォームやハウスクリーニングの作業がスムーズに進められます。

4-5.相続税の納付

相続財産の引き渡しが完了したら、被相続人は資産価値に応じた相続税の支払いがあります。
ただし、相続税には基礎控除が含まれるため、相続財産が基礎控除額を下回っている場合に限り納付義務は生じません。
納付義務がない場合は確定申告の手間もかからないため、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の計算方法で基礎控除額を確認しましょう。
基礎控除額が相続財産を上回る場合、相続開始から10ヵ月以内に確定申告をして相続税を支払う必要があります。

5.空き家を相続するときの注意点

空き家を相続するときの注意点は、以下のとおりです。
● 特例が適用されるか確認
● 相続土地国庫帰属法を提要
それぞれの注意点を解説します。

5-1.特例が適用されるか確認

空き家を相続した場合は、「相続人の居住用財産を売ったときの特例」が適用されて、最大3,000万円の譲渡所得の控除が受けられる可能性があります。
特例の名前のとおり、相続人が居住用として使用していた物件である他、昭和56年5月31日以前に建築されているなどの一定の条件がつきです。
特例が適用されるのであれば、必ず申請をして譲渡所得の控除を受けましょう。

5-2.相続土地国庫帰属法を適用

令和5年4月27日より、相続財産に該当する土地を政府が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が始まりました。
法令規定に則り、管理や処分の費用や負担が重すぎないと判断された土地は、所有権を個人から国庫に帰属できる制度です。
近年では、土地そのものの需要が低下しており、土地を相続したものの、買手と借り手が見つからずに困っている人が多いのが現状です。
そのような人たちのニーズに寄り添った制度のため、空き家の手放す手段が見つからない方は、相続土地国庫帰属制度が利用できるか確認しましょう。

6.まとめ

少子高齢化によって日本国内では空き家が増え続けているため、相続した際にどのように取り扱えばよいのか悩む方もいますが、一般的には売却が多い傾向です。
近年では空き家に関する法律や特例も増えているため、条件を満たしているか確認して、最適な選択をしましょう。



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