空き家の維持費はどのくらい?
費用の内訳や節約方法をわかりやすく解説2024.03.04
●空き家の維持費は、何にどのくらいかかる?
●空き家の維持費の節約は可能?
●空き家を維持する以外の選択肢は?
この記事では、空き家の維持費がどのくらいかかるのか心配な方に向けて、空き家の維持費の内訳や節約方法、維持以外の選択肢をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
●空き家の維持費の内訳
●空き家の維持費を節約する方法
●空き家を維持する以外の選択肢
1.空き家の維持費はどのくらい?内訳を解説
一戸建てのメンテナンスには何かと費用がかかり、住んでいる家に限った話ではありません。
誰も住んでいない空き家でも、ある程度の維持費が必要です。
空き家や土地の価値にもよりますが、年間で10万円以上かかってしまうケースも珍しくありません。
具体的には、以下のような維持費が発生します。
● 固定資産税・都市計画税
● 水道光熱費
● 火災保険料
● 修繕費用
● 交通費
● その他の管理・維持費用
それぞれ詳しくみていきましょう。
1-1.固定資産税・都市計画税
所持している土地と建物、それぞれにかかる税金です。
住んでいる家はもちろん、空き家であっても所持していれば支払う必要があります。
都市計画税は、特定の地域(都市計画区域)内に家や土地がある場合に課される税金です。
納税額は、どちらも市町村が決めた課税標準(不動産の価値)に基づいて決定され、登記の有無は関係ありません。
計算式は以下のとおりです。
税金の種類 | 納税額 |
---|---|
固定資産税 | 課税標準額(固定資産税評価額)の1.4% |
都市計画税 | 課税標準額(固定資産税評価額)の最大0.3%(自治体による) |
住宅用の土地に家が建っている場合、固定資産税が最大で1/6に、都市計画税が最大1/3に減額される特例措置(住宅用地の特例)が適用され、空き家も対象です。
区分 | 土地の利用状況と 面積区分 |
固定資産税 課税標準額 |
都市計画税 課税標準額 |
---|---|---|---|
小規模住宅用地 | 住宅やアパート等の敷地の200㎡以下の部分 | 6分の1 | 3分の1 |
一般住宅用地 | 住宅やアパート等の敷地の200㎡を超える部分 | 3分の1 | 3分の2 |
空き家を解体した場合は住宅用地の特例の対象外となり、固定資産税と都市計画税が減額されなくなる点に注意してください。
1-2.水道光熱費
電気や水道の契約が続いている場合、毎月それぞれ基本料金を支払う必要があります。
以下は、東京電力(従量電灯B)の基本料金です。
アンペア数 | 基本料金 |
---|---|
30A | 約885円 |
40A | 約1,180円 |
電気は電力会社、水道は自治体で値段が変わるため確認してください。
空き家であっても掃除やメンテナンスで水や電気が必要なため、維持を続ける場合は解約せずにおきましょう。
1-3.火災保険料
火事や災害のリスクがあるのは、空き家も同じです。
また、空き家は人の目が行き届きにくく、放火されやすいリスクもあります。
火災保険の契約を続けている方も多いのではないでしょうか。
火災保険料は内容によって変わるものの、一戸建ての保険料は年間3〜10万円程度が相場です。
なお、空き家になってから加入できる火災保険は少ないため注意しましょう。
住んでいたときから契約を続けている火災保険であっても、空き家を対象外としている可能性もあります。
その場合は、たとえ火事になっても保険金が支払われない可能性があるので、保険会社に確認しておきましょう。
1-4.修繕費用
家は人が住まなくなると劣化が早くなるため、空き家は傷みが早く、修繕が必要になる頻度が増えます。
修繕せず放置してしまうと、雨漏りや外壁の剥がれ、カビやコケの繁殖など、外見的・衛生的にも周囲に悪影響を与えてしまいかねません。
倒壊の危険も高まるので、しっかり対応する必要があります。
費用は修繕内容にもよりますが、簡易なものなら数万円、リフォームなどの大がかりな工事であれば数百万円が必要です。
1-5.交通費
空き家が遠方にある場合は、交通費も必要です。
移動手段により費用は変わりますが、同時に時間も消費する点は悩みどころではないでしょうか。
たとえ1回の負担は小さくとも、こまめに空き家の管理をしようとするほど負担が大きくなります。
合計したら意外と大きな金額になる場合もあるため注意が必要です。
1-6.その他の管理・維持費用
他にも空き家の状況に応じて、さまざまな費用がかかります。
例えば、庭がある場合は、草木が荒れ放題にならないよう定期的な手入れが必要です。
造園業者などに依頼すれば費用がかかり、自身で手入れをする場合には時間と手間がかかります。
敷地内が荒れていたり汚れていたりすると、不法投棄の対象にされやすいため、しっかりと手入れや掃除をしましょう。
不法投棄に関しては警察や自治体に相談できますが、投棄されたゴミの処理は家の所有者がおこなう必要があります。
ゴミは悪臭や害虫の発生源となるだけでなく、火災のリスクも引き上げるため周囲に大きな影響をおよぼしかねません。
ゴミの量が多いほど処分費用もかかるため、特に注意が必要です。
雪が多い地方では落雪事故や積雪による家の倒壊を防ぐため、雪下ろしなどの作業も必要で、業者に依頼をすれば数万円が必要です。
2.空き家の維持費を節約する方法
空き家の維持にかかる費用を少しでも節約する方法はあるのでしょうか。
ここからは、空き家の維持費を節約する方法を2つ紹介します。
2-1.定期的にメンテナンスする
維持費を抑えるためには、定期的に空き家の掃除やメンテナンスをおこない、大きな問題に発展する前に対処するのが効果的です。
特に人が住まない空き家はホコリや湿気が溜まりやすく、カビや害虫が増えやすいため、劣化も早まります。
月に1、2回程度を目安に換気と掃除をするだけでも、家の修繕頻度は抑えられます。
同時に、水道管の通水や庭の手入れ、外観の確認などを一通りおこない、問題があれば小さいうちに対処するのがおすすめです。
空き家が遠方にあるなどの理由で定期的な管理が難しい場合は、代わりに換気や点検などをおこなってくれる、空き家管理サービスの利用を検討しましょう。
料金はサービス内容によってさまざまですが、月1回の訪問で5,000円〜1万円程度が相場です。
2-2.不要な水道光熱費が発生しないようにする
家電製品の電源がコンセントに刺さったままの状態だと、待機電力と呼ばれる僅かな電力消費が発生するため、空き家に置きっぱなしの家具の電源は抜いておきましょう。
必要のない部分のブレーカーを落としておくのも効果的です。
また、契約している電気のアンペア数も確認しておきましょう。
電気の基本料金は、アンペア数が高くなるほど上がります。
掃除機を使う程度であれば、10〜15Aでも十分です。
水道を使わないでいると水道管が錆びて破損しやすくなるため注意が必要です。
定期的な換気や掃除のタイミングで、通水(蛇口から水を出す)しましょう。
水漏れが発生すると高額になった水道代を減免してもらえるケースもありますが、敷地内の修理費用は家の所有者の負担のため注意してください。
空き家でガスを使用するケースはほとんどなく、早いうちの解約がおすすめです。
3.空き家を維持する以外の選択肢
空き家の維持には意外と費用がかかり、節約の手段も決して多くはありません。
維持費がかからなくなる方法がないか、気になる方も多いのではないでしょうか。
ここからは、空き家を維持する以外の選択肢を紹介します。
3-1.売却する
空き家を維持しないのであれば、売却するのが基本的な選択肢です。
建物は劣化するほど価値が下がるため、手放すのであればできるだけ早いほうがよいでしょう。
空き家の売却は不動産会社に依頼し仲介してもらう他、買い取ってもらう方法もあります。
市場価格よりも売値が低くなりがちですが、建物の劣化など買い主に敬遠されやすいケースにおすすめです。
3-2.賃貸にする
賃貸といえばマンションやアパートを連想しがちですが、近年は戸建ての賃貸(戸建賃貸)にも需要があります。
基本的にはリフォームやリノベーションが必要になるものの、借り手さえ見つかれば安定した収入源として活用できるのは大きな魅力です。
賃貸物件としての需要は、不動産会社と相談しながら確認しましょう。
実際に貸し出す場合も、手続きなどのノウハウがある不動産会社に仲介してもらう形が一般的です。
空き家バンクに登録するのも、方法の1つです。
空き家バンクとは、空き家や空き地の貸し手と借り手をつなげる自治体による取り組みで、条件を満たしていれば無料で物件情報を掲載できます。
ただし空き家バンクが関わるのはマッチングまでで、取引自体は不動産会社などに引き継がれる点に、注意してください。
3-3.マイホーム借り上げ制度を利用する
マイホーム借り上げ制度とは、50歳以上の方が所有する家を借り上げ、安定的な賃料収入を保証する公的な制度で、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)がおこなっています。
家を借り上げたJTIが、その家を転貸(サブリース)する仕組みのため、賃料収入自体は少なめです。
しかし1度でも入居者が決まれば、そのあとに空室となっても毎月の賃料が保証されるのが最大の特徴です。
国がサポートしている事業のため、民間のサブリース会社と比較した際、長期間の安定した収入が期待できます。
年齢や耐震性などの条件を満たしていれば空き家であっても利用可能です。
3-4.解体する
空き家を解体してしまえば、管理・維持する手間も負担もなくなります。
解体費用に対し補助金を用意している自治体もあるので、うまく活用すれば負担を抑えられます。
ただし家を壊してしまうと、固定資産税の減額措置から外れてしまうため、納税額が3倍程度に増えてしまう点に注意してください。
4.まとめ
空き家の維持費は、年間で10万円以上かかってしまうケースもあります。
維持費の内訳は、固定資産税や修繕費用などさまざまですが、節約は基本的に難しく、定期的なメンテナンスがかかせません。
維持費の負担を減らしたい場合は、売却や賃貸に出すなど、別の選択肢も検討してみましょう。