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空き家の売却に関係する火災保険とは?
火災保険で見るべきポイントを解説
2024.02.02

●相続した空き家は火災保険に加入しなければならないのか?
●空き家でおすすめしたい火災保険の種類と特徴とは何か?
●空き家を管理するうえで火災保険の加入時に確認すべき内容とは?

相続した空き家を売却すべきか悩んでいる方は多いでしょう。
この記事では、空き家でも火災保険に入るメリットや解約のタイミング、居住者のいる建物と空き家で加入できる火災保険の違い、火災保険加入時のチェックポイントを解説します。

この記事でわかること

●空き家で火災保険に加入するメリット
●空き家でおすすめしたい特別な火災保険
●火災保険の加入時に見ておくべきポイント

1.空き家でも火災保険に加入すべき理由

相続した空き家は誰も住んでいないため、火災保険に加入する必要はないのではと考える方は多いですが、結論としては空き家だからこそ火災保険に加入するべきです。
空き家であっても火災保険に加入したほうが良い理由を3つ説明します。

1-1.火災後の補償が受けられるため

空き家は居住者がいる建物よりも犯罪の被害に遭いやすい傾向にあります。
なぜなら、放火による火災だけではなく、屋内の電気配線が動物にかじられて出火することがあるからです。
空き家では管理の目が届きにくいため、建物に異常があってもすぐに気づけない可能性が高く、もし火災で建物の被害が生じたら建て替えが必要になります。
建物として使う予定がなくても、解体や燃え跡の処分で数百万円の費用を捻出しなければなりません。
火災保険に加入していれば、建て替えや解体、燃え跡の処分費用を保険金である程度賄えます。

1-2.隣家からの火災時も補償の対象となるため

所有している空き家からの出火以外に、周囲からの延焼による火災も意識しなければなりません。
隣の家から延焼した火災の場合、失火責任法により火元へ損害賠償を請求できないため、被害にあった箇所は空き家の所有者で対処します。
たとえ人的被害がなくても、火災後の後始末の費用は個人で負担しなければならないのです。
火災保険に加入していれば、周囲からの延焼で火災の被害にあった物件に対して補償の対象となるため安心できます。

1-3.自然災害で空き家の資産価値が下がるのを防げるため

空き家の状態が長く続くと、建物の老朽化の進行は早くなります。
老朽化が進むと、台風などの自然災害があったときに外壁の損傷や建物の倒壊、雨漏りといった被害が出やすく、損傷箇所がある建物は資産価値が下がりやすいです。
もし損傷している箇所を放置してしまうと、周辺環境や治安、防犯の面で悪影響を及ぼすとして自治体から指摘を受ける可能性もあります。
さらに自治体から特定空き家に指定されると、固定資産税の特例が適用されず、50万円以下の過料が課される場合もあります。
したがって、損傷しているところがある場合は早めに修繕したほうがいいでしょう。
自然災害で空き家に被害があったときは、火災保険による補償の対象です。
今後空き家を売却するときに大規模な修繕が必要になっても、保険金があれば金銭的負担の軽減につながります。

2.空き家売却時の火災保険対策

相続した空き家を売却するとき、これまで加入していた火災保険をどうすればいいのか悩む方は多いでしょう。
空き家売却時には火災保険の解約手続きが必要なのか、解約の流れや時期など、よくある疑問を1つずつ解説します。

2-1.売却時は解約の手続きが必要

相続した空き家を売却する際は、所有者自身で解約の手続きをしなければなりません。
売却後に自動的に火災保険が解約されるわけではないため、解約手続きを忘れないように注意が必要です。
特に火災保険の契約内容を自動更新している方は気をつけましょう。
自動更新のままにしてしまうと、所有していない物件に対して保険料を支払うことになり余計な出費となります。
不動産会社から火災保険を解約するかどうか尋ねられることは基本的にないため、売却するときは必ず火災保険の解約をしてください。

2-2.火災保険の解約手続きの流れ

まずは、保険証券や保険会社から送られてきているお知らせを確認しましょう。
お知らせには現在加入している保険の内容が記載されており、どのプランに入っているかがわかります。
次に建物全体を見て修繕すべき箇所がないか調べ、修繕する箇所があれば火災保険の補償が受けられるかどうかをチェックしてください。
補償が受けられる場合は、保険を解約する前に修繕工事を進めましょう。
解約後に修繕工事を始めても、補償が受けられない可能性があるからです。
その後不動産会社と媒介契約を結び、買主が決まったら売買契約を締結します。
そして、売買契約成立後に火災保険の解約申請をするのが一連の流れです。
契約している火災保険によっては、解約時に必要書類を用意しなければならないことがあるため、事前に必要書類があるかどうか確認しておくと手続きがスムーズに進みます。

2-3.火災保険を解約するタイミングはいつ頃か

火災保険の契約期間が満了日まで1か月以上あれば解約でき、保険料をまとめて支払っていた場合は、解約した時点から計算して未経過分の保険料が返金されます。
早く解約した分だけ返金される保険料は高くなるため、売却後すぐに解約したいと考える方が多いですが、空き家を売却してからすぐに解約手続きするのはリスクが高いです。
売却してから物件を引き渡すまでには、約2か月〜3か月かかります。
所有者の名義変更手続きを終える前に火災の被害にあった場合、修繕費用は売主の負担になります。
多額の費用を支払わなければならないリスクを防ぐために、物件の引き渡しが終了して所有者の名義変更が終わってから解約手続きをするべきです。

3.空き家が加入すべき特別な火災保険

空き家を所有している場合は、さまざまなリスクに備えて火災保険に加入しておくのが望ましいです。
空き家の使用用途や構造からどの建物に区分されるかで加入できる火災保険は異なるため、使用用途の違いとそれぞれの特徴を解説します。

3-1.空き家は住宅物件か一般物件に分類される

火災保険は、物件の用途によって補償内容や保険料が異なるでしょう。

一般物件 店舗や事務所、ホテルなど居住用ではない建物
住宅物件 一戸建てやマンションなど居住目的の建物
工場物件 一定規模以上の工場
倉庫物件 倉庫業者が管理する倉庫や建物

居住目的かどうかで一般物件か住宅物件かのどちらかに分類され、火災や地震などの災害に強い建物であれば火災保険料は安くなり、災害に弱い建物は保険料が高くなります。
ちなみに、専用住宅の場合、マンション構造や耐火構造だと保険料が安くなります。
反対に、非耐火構造や木造は災害に弱い構造のため保険料が高いです。

3-2.空き家は一般物件とみなされる場合が多い

空き家の多くは居住目的で建てられていますが、火災保険上では空き家は一般物件に分類されることが多いです。
一般物件は住宅物件と比べて保険料が割高となります。
注意点として、所有していた空き家が一般物件とみなされた場合、地震保険の加入はできません。
地震保険は、災害後の被災者の生活をもとの生活へと再建するのが目的であるためです。
したがって、地震で建物が倒壊したり、地震による火災で建物と家財が壊れたりした場合は補償が受けられません。
空き家としての資産価値がない場合は、災害で建物が損傷するリスクを防ぐためにも早めに売却するのをおすすめします。

3-3.空き家でも住宅物件に分類される条件とは

条件を満たしていれば、所有している空き家でも住宅物件とみなされ、居住者のいる物件と同じ保険料で火災保険に加入できます。
たとえば出張や転勤などの理由で一時的に空き家にしていたり、住宅として使えるように定期的に管理したりしていれば、空き家でも住宅物件に分類されます。
そのほかに、今後居住する予定であれば住宅物件とみなされる可能性が高いでしょう。
ただし、空き家を住宅物件か一般物件のどちらに分類するかどうかの明確な判断基準はありません。
加入する保険会社に判断が委ねられるため注意しましょう。

4.空き家の火災保険管理のポイント

火災保険の加入を考えるうえでは、各保険会社の契約内容を比較して自分に合ったプランを選びましょう。
いくつかある火災保険の中から、空き家を所有している方に特に見てほしいポイントを解説しますので参考にしてください。

4-1.空き家の状況にあった補償が受けられるかで保険を選ぶ

火災保険には火災や風災などの自然災害が補償される保険と、突然の事故で損傷した場合でも補償となる保険の2つに大きく分けられます。
補償内容が充実していればさまざまなトラブルに対応できますが、保険料が割高になるデメリットもあります。
空き家の状況にあった補償が受けられる保険を選ぶようにすると、保険料が抑えられるでしょう。
たとえば、空き家の周辺に河川や海がある場合は水害による補償をつけるべきですが、近くに河川や海がない場合は不要です。
火災保険に加入する際は、補償内容を確認して不必要な補償がないかを確認しておきましょう。

4-2.住宅物件とみなされた空き家は地震保険の加入が可能

火災保険は地震による建物の損傷に対しての補償が受けられないため、別途地震保険に加入しなければ地震に関する補償は受けられません。
日本は地震が多いのは既知の事実です。
地震保険に加入しておくと、いざという場面でも安心できるでしょう。
一般物件に分類された空き家は地震保険へ加入できませんが、住宅物件に分類された空き家は火災保険と地震保険の両方へ加入できます。
地震保険は法律に基づいて、国と保険会社が共同で運営している制度です。
そのため、地震保険を提供している保険会社は複数ありますが、契約した際の保険料は基本的に同じとなります。

4-3.個人賠償責任保険も施設賠償責任保険の加入を検討する

たとえば、空き家の屋根が一部剥がれてしまい近隣の住宅に被害が出てしまったり、塀が倒れて道路を塞いでしまったりする事故があったとします。
周囲の人や建物に被害が出てしまうと高額な損害賠償金を支払わなければならず、預貯金では支払いきれないかもしれません。
もしも空き家が原因で近隣の住民に被害が出た場合、火災保険に損害賠償の特約をつければ補償が受けられます。
そのため、万が一に備えて個人賠償責任保険や施設賠償責任保険の契約を検討しましょう。
なお、どちらの特約をつけられるかは物件の種類によって異なります。
一般物件は施設賠償責任保険の契約が、居住物件は個人賠償責任保険の契約が可能です。

4-4.空き家の状態によっては火災保険に加入できない場合がある

保険会社によって、火災保険に加入できる条件が決められています。
すべての空き家が火災保険に加入できるわけではなく、空き家の状態によっては一般物件の火災保険への加入もできない場合があります。
保険会社側からすると、空き家は保険の事案になる事故が生じやすく、保険金を支払うリスクがあるからです。
火災保険に入れるようにするには、定期的な空き家の管理が大切です。

5.まとめ

空き家は居住者のいる物件よりも建物が老朽化しやすく、犯罪の被害に遭いやすいため、火災保険への加入をおすすめします。
火災保険上では空き家は一般物件と分類されることが多いですが、保険会社によっては居住物件とみなされる場合もあります。
空き家を売却する際は、物件の引き渡しをして、所有者の名義変更が変わってから火災保険の解約手続きをしてください。
そして、空き家の火災保険に加入する際は、状況に合った火災保険の補償内容を選ぶようにしましょう。



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