空き家売却時の解体費用の相場は?
費用を抑える方法と支払えないときの対策2024.02.02
●空き家を売りたいけれど、どうやって売ればよいかわからない
●解体するにはどのくらい費用がかかるのか?
●解体費用を用意できないときは、どうしたらよいか?
ここでは空き家の売却を検討している方へ、空き家の売却方法の1つとして解体して売る方法をメリット・デメリットを含めて解説します。
解体費用を抑える方法や利用できる制度、解体費用が払えないときの対策や注意点も解説するので参考にしてください。
この記事でわかること
●空き家の解体費用の相場と内訳
●解体費用をできるだけ抑える方法や補助金の活用方法
●解体費用が支払えないときの対処法
1.空き家を売却する方法
空き家を売却する方法は大きく分けて以下の3とおりです。
● 中古住宅や古家付き土地として、一般市場で売却する
● 建物を解体して、更地にして売却する
● 不動産会社に買い取りを依頼する
建物の価値は築20年を境に大きく変わるため、20年以内なら中古住宅、それ以上の場合は古家付き土地として売却するのが一般的です。
その際には、不動産会社と仲介契約を結んで売却活動をおこないます。
建物が古くリフォームやリノベーションに高額の費用がかかる場合や、倒壊のおそれがある場合には、更地にして売却する方法もあります。
早く売りたい方や時間をかけても売りにくい物件の場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう買い取りがよいでしょう。
価格は相場よりも約6~8割安くなりますが、手間と時間を節約したい方におすすめの方法です。
2.空き家の解体費用の全体像
空き家を解体するには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
木造や鉄筋増などの構造別の相場や、何に費用がかかるのかの内訳、相場よりも高くなるケースを解説します。
2-1.解体費用の相場
一般的な1坪(約3.31㎡)あたりの解体費用の相場は以下のとおりです。
構造 | 1坪あたりの費用 |
---|---|
木造 | 40,000円 |
鉄骨造 | 60,000円 |
鉄筋コンクリート造 | 70,000円 |
耐震基準適合証明書あるいは建設住宅性能評価書のコピー | 指定確認検査機関・評価機関 |
地域や立地、規模などのさまざまな条件によって費用は大きく異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。
国土交通省の「令和元年空き家所有者実態調査」では、調査をおこなった空き家の延べ床面積は100~149㎡が28.2%でもっとも多く、続いて70~99㎡が25.1%、150㎡以上が20.4%との結果が報告されています。
もっとも多いとされた100~149㎡を坪数にすると、およそ30~45坪程度になります。
おおまかな費用の目安として例を挙げると、30坪の木造建築の場合で120万円程度、45坪の木造建築の場合は180万円程度です。
参考:国土交通省「令和元年空き家所有者実態調査報告書」
2-2.解体費用の内訳
おもな解体費用の内訳は以下のとおりです。
● 仮設工事費
● 解体工事費
● 廃棄物処分費
仮設工事費として、高所作業用に足場を作ったり、騒音やほこりなどの影響を抑える養生ネットを設置したりするための費用がかかります。
建物や周りの庭や塀、車庫などを解体する費用や、そのための重機を手配する費用が解体工事費です。
解体による廃棄物は量も多く、法律に定められた方法で処分する必要があるため、廃棄物処分費は解体費用のなかでも大きな割合を占めます。
立地や道幅の関係で大きなトラックが使えないケースでは、さらに時間と費用がかかる可能性もあるでしょう。
この他にも、整地や清掃にかかる費用や、物件の調査・官公庁への手続きなどにかかる諸経費も必要です。
2-3.解体費用が高くなるケース
アスベストが使用されている建物を解体する際には、防護服の着用や飛散防止対策をとる必要があるため、費用は高くなります。
アスベストは健康被害を及ぼす危険性があるため、1975年に法律で使用が規制されました。
1955年~1975年頃までに建築された建物を中心に使用されていると考えられています。
アスベストの除去費用は、300㎡以下の場合で、1㎡あたり2万円~8.5万円がおおよその目安です。
その他に、地中に浄化槽がある場合には、撤去の前にくみ取りや清掃・消毒をおこなう必要があるため費用が余計にかかります。
庭木が多かったり敷地内に井戸があったりするケースも、特別な作業が必要になるため、費用は高くなるでしょう。
3.空き家解体のメリット
空き家を解体すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
空き家解体のメリットとして、買い手がつきやすくなり、管理の手間や費用がかからなくなる点が挙げられます。
空き家の状態や立地などの条件と照らし合わせて、解体を検討する際の参考にしてください。
3-1.買い手がつきやすくなる
空き家を解体するメリットの1つは、土地を売却しやすくなる点です。
建物の老朽化が進んで価値がほとんどない場合に、建物が建っている状態でも古家付き土地として売りに出せますが、購入後に解体しなくてはなりません。
更地になっていれば解体の手間と費用がかからず、購入後の活用イメージもしやすいため、買い手がつきやすいでしょう。
早期売却できる可能性が高くなる点は大きなメリットです。
3-2.建物を管理する手間や費用がかからなくなる
もう1つのメリットとして、建物を管理する手間や費用がかからなくなる点が挙げられます。
空き家は放置すると事件や事故の原因になる可能性があり、定期的な手入れが必要です。
月に一度は換気や掃除をおこない、必要に応じて見回りや修繕をしなくてはならず、管理の手間や費用がかかります。
立地によっては、駐車場やコインランドリーとして活用できる場合もあるでしょう。
4.空き家解体のデメリット
費用をかけて空き家を解体しても、デメリットとなるケースもあります。
どのような場合にデメリットが生じるのかを把握したうえで、解体を検討しましょう。
4-1.解体費用が赤字になる場合がある
解体には高額な費用がかかりますが、そのすべてを売却した金額で補えるわけではありません。
売れた場合でも売却価格のほうが解体費用よりも安い場合や、長期間売れ残ってしまう場合もあります。
4-2.固定資産税が高くなる
住宅用の土地には固定資産税評価額が最大で6分の1になる特例がありますが、建物を解体して住宅用地ではなくなってしまうと、特例が使えなくなります。
特例が適用されていた場合、その金額がこれまでの6倍になり、売却できるまでの期間が長引くほど負担が増える点は大きなデメリットです。
4-3.再建築不可物件の場合は更地にすると建物が建てられない
再建築不可物件とは、建築基準法に定められた接道義務を果たしていない物件のことです。
建物を取り壊して更地にしてしまうと、新しく建物を建てられないため、慎重に検討する必要があります。
5.解体費用を抑えつつ補助金・助成金制度を活用する方法
なるべく負担を少なくするために、解体費用を抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。
解体前にしっかり準備をして、時期を見極め、業者の下調べをしておくのがポイントです。
空き家の解体に使える自治体の補助金や助成金の制度もあるため、使える制度は最大限に活用しましょう。
5-1.解体費用を抑える3つのポイント
解体費用を抑えるおもなポイントは以下の3つです。
● 不用品を事前に処分する
● 解体する時期を選ぶ
● 空き家に近い業者を選ぶ
不用品はできるだけ自分で処分しておきましょう。
リサイクルやフリーマーケットに出したり、自治体の粗大ごみ回収に出したりすれば、処分にかかる費用を節約できます。
12月~3月は解体業者の繁忙期のため、費用が高めに設定されているのが一般的です。
梅雨や台風、猛暑の時期は工期が伸びる可能性があり、その分費用がかかるおそれがあります。
現場から近い業者を選べば、トラックや重機の使用時間を短縮できるうえに、ガソリン代や高速道路の利用料金も抑えられるでしょう。
5-2.補助金や助成金を活用する方法
多くの自治体では空き家の解体費用への補助金や助成金の制度を設けています。
制度の内容や利用できる要件は自治体によって異なるため、空き家の所在地の自治体でどのような制度があるのかを調べておきましょう。
年度末を区切りとして同じ内容で継続する場合や、利用できる要件や補助金の額が見直される場合もあります。
インターネットに古い情報が掲載されている可能性もあるため、最新情報の確認が必要です。
助成金は条件さえ満たしていれば受け取れる場合がほとんどですが、補助金は予算の都合上、抽選になる場合があります。
事前に申請しなくてはならず、審査が完了するまでに数週間~1ヵ月程度かかるため、時間に余裕をもって準備する必要があります。
補助金や助成金を受け取れるのは、工事の終了後になる点にも注意しましょう。
6.解体費用が支払えない場合の対策と注意点
空き家を手放したくてもまとまった手持ちのお金がないために、とりあえずそのまま放置している方も多いのではないでしょうか。
解体費用が支払えないときの対策として、おもな方法とそれぞれの注意点を解説します。
6-1.ローンを利用する
空き家の解体のためにローンを組む場合は、空き家解体ローンが利用しやすいでしょう。
空き家解体ローンとは、地方銀行や信用金庫などで取り扱っているローンで、審査が通りやすく担保や保証人不要で利用できるものもあります。
利用条件や金利、借入上限額などの条件は各金融機関で異なるため、事前に確認しましょう。
6-2.解体しないで売却する
空き家をそのままの状態で売却すれば、解体費用はかかりません。
購入後にリフォームやリノベーションを考えている買い手が見つかるケースもあります。
市場での売却が難しい場合には、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあるため、需要の確認も含めて相談してみるのもよいでしょう。
築20年を過ぎた建物の価値はほとんどない点や、市場では長期間売れないケースも多い点には注意が必要です。
買い取り金額は相場の約6~8割になり、市場で売るより安くなる点にも注意しましょう。
6-3.賃貸物件として運用する
立地や建物の状態がよければ、賃貸物件として活用するのも1つの方法です。
賃貸先を探すには、自治体主体で運営している空き家バンクを利用できます。
賃貸料金が仮に0円でも、定期的な維持管理をしなくて済みます。
リフォームなどの初期費用がかかる点や入居者が見つからない場合がある点、入居者トラブルが発生する可能性がある点には注意が必要です。
7.まとめ
空き家の解体費用の相場は、条件によって大きく変わりますが30坪の木造建築の場合で120万円程度が目安です。
費用を抑えるには不用品を事前に処分し、時期と業者を選んで解体工事をおこない、補助金制度を利用しましょう。
解体費用が支払えないときはローンを組んだり、解体せずに売却・運用したりする方法があります。