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空き家を放置したらどうなる?
売却する際の注意点や売り出し方法も解説
2023.12.25

● 空き家を相続したけど放置したままでいいのか?
● 所有している空き家の売却方法がわからない
● 空き家を放置していたら罰則があると聞いたけど本当だろうか?
ここでは空き家を所有していて売却を悩んでいる方へ、そのまま放置していた場合どうなるかを含め、売却する際の注意点や売り出し方法、売却手続きまでを解説します。

この記事でわかること
● 空き家を放置した際に起こるトラブル
● 空き家売却における注意点
● 空き家を売却する際の手続きや売り出し方法

1.空き家の売却を考えたときに押さえておくべき重要ポイント

空き家を相続したものの、そのまま放置していいのだろうかと、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
空き家を放置すれば、さまざまなリスクがともなうため、空き家の売却を悩んでいる方に、押さえておきたいポイントをご紹介します。

1-1.税金や管理費用がかかり資産価値が下がる

住人のいない家は、時間の経過とともに劣化が進みます。
換気がおこなわれなければカビが発生したり、水道管が使用されなければ破損したりと、さまざまな箇所が傷んできます。
定期的に訪れて換気や通水が必要ですが、遠方に空き家があり親戚や知人に頼むのも難しい場合、業者に費用を支払って定期的な管理を依頼しなければなりません。
また、建物には耐用年数が設定されており、経年にともなって価値が減少していき、耐用年数を超えると、建物自体の価値はほとんどなくなります。
さらに、空き家であっても毎年の固定資産税は課税されるため、ご留意ください。

1-2.トラブルの原因となれば罰則が適用される可能性もある

空き家が放置されると外壁材や屋根材の腐食や崩壊が発生し、外壁材や屋根材の脱落、建物の倒壊など、保安上危険な状態になる可能性があります。
また、不法投棄や不快な臭い、ねずみや野良猫・害虫の増加、草丈が高い雑草が発生するなど、衛生や景観が損なわれれば、地域住民の生活環境に悪影響を及ぼすでしょう。
空家法においては、以下の条件がいずれか1つでも該当すれば、自治体により「特定空家等」と認定されます。
● 適切な管理がされておらず著しく景観を損なっている状態
● 倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
● アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
● その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
「特定空家等」と認定されると、自治体は所有者に対し適切な管理の実施を指導し、改善が見られない場合、自治体は勧告や命令を出します。
所有者が命令に従わない場合、最大で50万円以下の過料が科される可能性もあるでしょう。

1-3.空き家になったら3年以内に売りたい

マイホームを含む空き家の場合、特例措置があります。
住まなくなった当日から3年目の年末までに売却すると、最大で3,000万円まで譲渡所得から控除されます。
また、平成28年度の税制改正で「空き家に関する譲渡所得の特例措置」が設けられました。
一定の条件を満たす場合、相続した空き家の譲渡に関連する所得についても、最大で3,000万円の特例控除が適用されるようになりました。
この場合も、相続した日から3年経過する年の12月31日までに譲渡をおこなう、との条件があります。
売却のタイミングによって課税額が大きく変動する可能性があるため、空き家の売却を考えている場合は、できるだけ早い段階で決断しましょう。

2.空き家売却前の5つの注意点

空き家を売却する前の注意点を5つ、ご紹介します。

2-1.空き家の所有者と登記名義人を一致させる

不動産を売却する場合、登記簿上の名義人が売買契約を結ばなければなりません。
しかし、空き家になった実家を売却する際、親が所有者だと思っていたけれども、実際には祖父の名義のままだったケースも考えられます。
不動産の所有者は、権利証や登記識別情報、登記事項証明書などで確認可能です。
所有者が自分の名前でない場合、名義変更手続きが必要です。
司法書士などに相談し、空き家の所有者と登記名義人を一致させる手続きを進めましょう。

2-2.隣家との境界線を確定させる

古い実家などでは、隣地との境界が曖昧になっている可能性が高いため、境界線を明確にしておかなければなりません。
築年数が経過している場合、登記情報が正確でなかったり、境界が確定されていなかったりするケースもあるため、確認しておきましょう。
境界線を確定させるためには、土地家屋調査士に委託し隣家と立会い、双方が境界線を確認し合いながら進めます。
厳密な作業のため、1〜3ヵ月程度の期間が必要となる場合もあります。

2-3.抵当権抹消手続きをおこなう

債務者が自ら抵当権抹消の手続きをおこなわない限り、金融機関は自動的に抵当権を消去しないため、ローンが完済されていても抵当権の設定が放置されている可能性があります。
売り主が「ローンは完済している」と主張しても、謄本上に競売がおこなえるような強力な権利が残っている空き家への購入希望者は少ないでしょう。
抵当権が放置されていれば、空き家の売却は困難です。
抵当権抹消登記の手続きは司法書士に依頼しましょう。

2-4.自己判断で空き家を解体・リフォームしない

築年数が経っている空き家の場合、解体してしまったほうがよいのではないかと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、自己判断での解体はおすすめできません。
建物がある場合の土地の固定資産税や都市計画税は減税措置の対象となっていますが、建物を解体すると減税の対象から外れてしまいます。
更地にすると、建物がある場合と比較して、固定資産税が3倍から6倍、都市計画税が3倍にまで増加する可能性が高くなります。
また、リフォームを実施し工事費用が売却価格を上回った場合、赤字になるためご留意ください。

2-5.相場価格と必要経費を把握しておく

空き家を売却する際に発生する費用を事前に把握し、計画的に進めましょう。
空き家周辺の物件をリサーチして、ある程度の相場価格を把握しておきます。
売却が成立すれば仲介手数料や印紙税、登記手続き費用や譲渡所得税などが必要です。
必要経費を把握しておけば、空き家の効果的な売り出し方法も検討しやすくなります。

3.空き家売却後の3つの注意点

空き家を売却したあとも、契約への責任や税金が発生します。

3-1.契約内容に相違があったら契約不適合責任を問われる

築年数が経過している空き家の場合、売却後に契約不適合責任を問われないよう、注意が必要です。
シロアリ被害や雨漏りなどの問題があり、購入後にこれらの欠陥が判明すれば、買主は売主に対して損害賠償や契約解除などを要求できます。
契約不適合責任の場合、問題となるのは契約書通りの物件かどうかです。
欠陥の存在を故意に伝えなかった場合はもちろん、売主が欠陥を把握してなかった場合でも責任を問われる可能性があります。
心配な場合は住宅診断などを依頼しましょう。

3-2.取得費が不明の場合は譲渡所得税が高くなる可能性もあり

不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、譲渡所得税が発生し所得税と住民税に課税されます。
譲渡所得とは、売却額から「取得費」「譲渡費」「減価償却費」を引いた金額です。
取得費とは、おもには空き家の購入価格と、購入時に発生したその他の経費(仲介手数料など)が含まれます。
譲渡所得に税率をかけた金額が「譲渡所得税」です。
税率は、所有期間が5年以下の場合の「短期譲渡所得」、5年超の場合の「長期譲渡所得」で、それぞれ異なる税率が適用されます。
また、相続した空き家の取得費が不明な場合、売却価格の5%と仮定し、この金額をもとに譲渡所得および譲渡所得税が計算されます。
空き家の購入金額は、通常、売買契約書に明記されているため、売却を検討する前に確認しましょう。

3-3.譲渡所得税の控除特例適用には期限がある

相続した空き家に適用される3,000万円の特別控除は、譲渡所得が3,000万円以下の場合、全額が控除されます。
しかし、3000万円の特別控除を受けるには、相続した日から3年が経過した12月31日までに売却する必要があります。
相続した空き家の売却を検討の際は必ず、相続した日を確認しておきましょう。

4.空き家を売却する際の効果的な3つの売り出し方法

空き家を売却したいと思っていても売却方法に悩んでいる方のために、売却方法を3つご紹介いたします。

4-1.中古住宅としてそのまま売却する方法

建築されてから時間が経っておらず良好な状態を保っている空き家は、中古住宅としてそのまま売却してはいかがでしょうか。
厳密な基準はありませんが、建物の価値が大きく変動する築20年を目安に、築20年以内の場合は「中古住宅」として売り出します。
築20年以上経過している場合は「古家付き土地」として売却すると良いでしょう。
また、空き家独特の歴史を感じさせる物件や、こだわりのリフォームが施された物件などは、そのままにしておいても買い手があらわれる可能性が高くなります。

4-2.空き家を解体して更地にして売却する方法

空き家の状態が悪い場合は、解体してから売却する方法がおすすめです。
劣化が著しい、倒壊の危険がある、シロアリの被害が進行している、カビが繁茂しているなどの問題がある場合、買い手が見つかりにくいものです。
更地として売却する場合、買主が購入後に解体費用を負担する必要がないため、古家付き土地として売却するよりも早く、買い手が見つかる可能性が高くなるでしょう。
ただし、更地にすると土地にかかる固定資産税や都市計画税が増額するケースもあるため、ご留意ください。

4-3.不動産会社に買取を依頼する方法

建物が古かったり、大きな欠陥があったりする場合、通常の売却活動ではなかなか買い手がつかない可能性が高くなります。
少しでも早く売りたい場合は、不動産会社に買取を依頼しましょう。
なお、売却価格は市場の相場より低くなる傾向があります。
買取時にはリフォーム代を差し引いた価格で取引されるため、相場の6〜8割程度の価格になるでしょう。

5.空き家売却をスムーズに進めるための具体的な手続き

空き家の売却がスムーズにおこなえる手続きをご紹介いたします。

5-1.相続登記をおこない不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産を売却する場合、登記簿上の名義人が売買契約を結ばなければならないため、相続などで名義が一致しない場合は、相続登記をおこないましょう。
相続登記とは、不動産の所有者(先代)の名義を被相続人の名義に変更する手続きです。
所有者と登記名義人が一致しないと、不動産の権利関係に関する問題が生じた際「所有者である」と主張できません。
トラブルを未然に防ぎ、所有者を明確にするためにも、相続登記などをおこない、空き家の所有者と登記名義人を一致させましょう。
名義変更手続きを終えたら、不動産会社と媒介契約を結びます。
不動産の売買において、仲介を依頼する際に締結される契約を媒介契約と呼び、3種類の中から選ばなければなりません。

契約できる会社数 自分で買主を見つけての
直接取引
一般媒介契約 複数社と契約可能 できる
専属専任媒介契約 1社のみ できない
専任媒介契約 1社のみ できる

それぞれ条件が異なるため、状況に合わせた媒介契約を選びましょう。

5-2.売却活動を開始して内覧をおこなう

不動産会社と媒介契約を結んだら、売主の希望売却価格と不動産会社の査定価格を考慮し最終的な売出し価格を設定後、販売活動を開始します。
不動産会社が具体的な販売活動を実施するため、事前に不動産会社と協議し、販売方針を確定させましょう。
一方、売主には、内覧の準備が求められます。
内覧では、購入を検討している人が実際に物件を訪れ見学するため、「中古住宅」として売却する際には、清掃が重要です。
内覧の印象が良好であれば、早期の売却も期待できるでしょう。
内覧当日に売主が立ち会う必要は、基本的にありません。
万が一立ち会う場合には、契約に影響を及ぼす可能性のある口約束を避けるように心がけ、コミュニケーションは、不動産会社の担当者に委ねましょう。

5-3.契約条件の折り合いがついたら売買契約を締結する

不動産会社は、売主と購入希望者の要望を確認したあと、条件を調整します。
条件の交渉においては、購入希望者の条件をすべて受け入れたり、不動産会社の提案に従ったりするのではなく、自身が納得できる条件かどうかを慎重に判断しましょう。
購入希望者と価格や条件面で合意が得られたら、売買契約を締結します。
書類などに不備があると買主や関係者に迷惑をかける可能性があるため、慎重に準備を整えて契約に臨みましょう。

5-4.空き家を引き渡し確定申告をおこなう

一般的に、売主と買主が売買契約を締結してから、約1ヵ月後に決済と引き渡しの手続きがおこなわれます。
決済と引き渡しは同日に実施され、手続きに1時間半から2時間ほどかかるでしょう。
不動産会社と締結した媒介契約に基づく取引も、決済や引き渡しの完了と同時に終了します。
このため、不動産会社に対する仲介手数料などの残金支払いも、引き渡しの当日に実施されます。
また、空き家を売却した結果、譲渡益が生じた場合は納税が必要です。
ただし、納税の必要がない場合でも、特例や控除の適用を受けるためには確定申告が必要です。
確定申告の期限は、空き家の売却が完了した翌年の2月16日から3月15日までとなるため、忘れずに申告しましょう。

6.まとめ

空き家は所有しているだけで管理費や税金がかかり、放置していて近隣トラブルが起これば罰則が適用される可能性があります。
住人のいない家は、時間の経過とともに劣化が進み資産価値が下がるため、空き家を所有して悩んでいる場合は、早めに売却を検討しましょう。



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