住みながら家を売るメリットやデメリット！
売却成功へのコツなどを解説2023.12.25

「家族構成が変わったため住み替えをしたい」
「自宅の売却を考えているが近所に知られたくない」
「老後の資金のため売却したいが、新居がまだ見つからない」

こういった悩みを持っている方に、住みながら家を売るのは可能なのか、そして可能な場合どのようなメリットやデメリットがあるのかなどを解説していきます。

この記事でわかること

●住みながら家を売るときのメリットとデメリット
●リースバックとリバースモーゲージについて
●住みながら家を売る際に気を付けるべき点や売却を成功させるコツ

1.住みながら家を売るのは可能か

住みながらの家の売却は、住宅ローンを完済しているか、あるいは売却代金で完済できるのであれば可能です。
もし売却代金よりも住宅ローンの残債のほうが多いオーバーローンの状態であれば、競売や任意売却となり、売却条件も不利になるうえそこに住み続けるのも難しくなります。
住みながら家を売る場合、自宅が売れてから新居を探す売り先行のケースが多く、新居探しの期間は仮住まいが必要です。
また新居探しと売却とを同時に進める同時並行型の場合、新居の購入と自宅の売却のタイミングをどう合わせるのかが難しい点です。

2.住みながら家を売るメリット

住みながら家を売却すると通常の売却では得られないメリットが多くあります。

2-1.資金計画が立てやすくなる

まずは売却によりまとまった資金が入り、それを新居の購入やそのほかの費用に充てられるのがもっとも大きなメリットと言えます。
その際、実際に売れた売却代金が手元に入り、その後の資金計画が立てやすくなるため、生活面や資金面での不安を最低限度に抑えられるでしょう。

2-2.内覧で成約率が上がる

モデルハウスでも内覧はできますが、おしゃれに飾り付けられたその空間には実生活の雰囲気はありません。
それに対し住みながら家を売る場合、実際にそこに家人が住んでいるため、購入希望者もその家での生活をイメージしやすく、高い成約率が期待できます。

2-3.建物の劣化を防げる

人が住まなくなった家はカビや害虫の発生により、建材が傷み老朽化が早く進むとされ、資産価値が著しく低下してしまううえ、購入希望者も現れにくくなります。
その点住みながら家を売る場合は換気や掃除、手入れなどが日常的におこなわれるため、劣化や老朽化を抑え、結果的に資産価値を保ち売れやすくなります。

2-4.余計な費用を削減できる

住み替えの際では、新居の購入を先におこなう買い先行にすると、売却できるまで新居と売却物件とのダブルローンが発生し、金銭的に大きな負担です。
しかし、住みながら家を売る場合はダブルローンの心配もなく、購入希望者がすぐに現れなくても自宅に住み続けられるため、余裕を持った売却活動ができます。

3.住みながら家を売るデメリット

家に住みながらの売却はメリットが多く魅力的ですが、もちろんデメリットもあります。
考えられるデメリットも把握しておきましょう。

3-1.週末に予定を入れられない

現在住んでいる家を売りに出す場合、基本的には内覧をおこないますが、実はこの内覧時の対応が成約の鍵を握っているといっても過言ではありません。
家を売る際に内覧は欠かせませんが、その回数は平均10件と言われ、なかには2度訪れる方もいるほど、購入希望者にとって内覧は重要です。
住みながら家を売る場合のデメリットは、この内覧に深く関わるもので、その1つとして売主による内覧の立ち会いがあります。
内覧の申し込みはいつ入るかわからず、週末に家族で出かける予定を入れていても、内覧が入ればその予定をキャンセルしてでも内覧の対応をしなければいけません。
内覧を断ると売却のチャンスを逃してしまうため、ここはやはり内覧を優先したいところです。
また内覧の希望日は週末や祝祭日に集中する傾向があり、家が売れるまでは休日の外出はできないと考えたほうが良いでしょう。

3-2.室内の掃除や整理整頓が必要

内覧によるデメリットとしてもう1つ、急な内覧に備えて室内を常に掃除しておく必要があり、とくにバス・トイレ、キッチンなどの水回りは入念にしておかなければいけません。
さらにペットを飼っている家であれば、飼い主はにおいに慣れているためわかりませんが、内覧者はにおいを敏感に感じます。
においへの対策としてはペット用の消臭スプレーや据置タイプの消臭剤、そしてこまめな換気が有効で、さらに抜け毛に関してもアレルギーの問題があり注意が必要です。
ただ内覧が可能な日を前もって指定しておけば、それ以外の休日には出かけられるうえ、掃除や片付けもその日に合わせられるため、ストレスや手間が軽減されます。

4.物件を空き家にして売る場合との相違

相続などで家を譲り受けたり、先に新居へ引っ越してその後自宅の売却にとりかかったりするケースでは、住みながらではなく空き家での売却となります。
この場合、住みながら家を売る場合との違いでもっとも特徴的なのが、売却に関しての手間がほぼかからない点です。
空き家を売る際は、不動産会社などの仲介業者が入り、その後の内覧の立ち会いや売買交渉についてもその仲介業者がおこなってくれるわけです。
つまり空き家にして売る場合は、手間がかからず精神的な負担も少ないのがメリットで、逆にデメリットとしては物件の状態によってはリフォームが必要になる点が挙げられます。
ただ、リフォームをすると売却価格とのバランスが悪く、売れても利益がなかったり、リフォーム代を売却価格に上乗せすると、売れにくくなるケースもあります。
では住みながら家を売る場合と、空き家にして売る場合との比較を表にしてみてみましょう。

こうして見ると空き家にして売るケースでは、資金的に余裕があり売却までの期間や売却価格にそれほどとらわれない方が向いていると言えるでしょう。

5.売却後も住み続ける方法

最近よくリースバックやリバースモーゲージといった言葉を聞くようになりましたが、ほとんどの方は家の売却方法の1つであるくらいの知識しか持っていない方が多いでしょう。
またネットで検索してみると、ヤバイ・トラブルなどのワードが関連して出てきますが、これらの方法は本当に危ないのか、その点も含めて解説していきます。

5-1.リースバック

リースバックはセールアンドリースバックの略称であり、セール＝売って、リース＝借りて、バック＝買い戻すの3つをセットにしたサービスです。
つまりリースバックとは、自宅を一旦リースバックの事業者に売渡し、同時にその事業者と賃貸借契約を結んで、その元自宅に借主として住み続ける売却方法です。
リースバックのメリットとしてもっとも大きなものが、売却後も住み慣れた自宅に住める点で、住環境を維持したまま今までどおりの生活ができ、引っ越し費用も不要となります。
次のメリットは現金化までの期間が短い点で、仲介による売却では現金化まで半年以上かかるケースもありますが、リースバックの場合は1週間から1か月程度です。
税金面についても、リースバックは自宅を一旦売却するため、固定資産税の支払いがなくなり、住宅ローンも完済できれば老後資金の不安も少なくなります。

また、自宅を売却するに当たって、近所の目が気になる方もいますが、リースバックであれば販売活動もおこなわずそのまま住み続けられるため、周囲に気付かれにくいでしょう。

リースバックの注意点

リースバックにはヤバイ・トラブルなどのワードが関連付けされるように注意点もいくつかあります。
まず通常、リースバックの賃貸期間は2年でその後の更新は賃貸借契約によって異なるため、契約の際には必ず確認してください。
そして売却価格が相場価格に比べ安くなりがちな点も注意が必要で、見込んでいた売却代金に届かず住宅ローンが完済できない場合、サービスの利用ができないケースもあります。

5-2.リバースモーゲージ

次にリバースモーゲージですが、これは自宅を担保にして借り入れをするもので、返済は月々の利息分だけとなり、死亡時に自宅を売却するなどして残金を一括返済します。
月々の支払い額が少なく、老後の生活資金に余裕が生まれるのがこのサービスの特徴で、契約者が生きているうちに元本返済や自宅の売却を求められる心配もありません。

リバースモーゲージの注意点

リバースモーゲージは返済期間中での金利上昇や、見直しによる評価額の下落、契約者死亡時に同居人がいる場合住めなくなるなどのリスクがあります。
そのためメリットだけでなくこれらのリスクも理解し、納得したうえでの契約が必須で、またリ・バース60などほかの商品での検討も視野に入れておくと良いでしょう。

6.住みながら家の売却を成功させるためのポイント

住みながらの売却を成功させるには、内覧がポイントになるのは先述のとおりで、さらにプロによるハウスクリーニングをおこなうと内覧者へのイメージアップにもなります。
また、引き渡し時期についての交渉をしておくと、借り住まいなどの費用や手間が軽減できるため、とくに売り先行の場合は忘れずにおこなってください。
売却物件に戸の建て付けが悪い、給湯器が古いなどの瑕疵や不具合があれば、すべてを隠さずに伝えるのも重要で、交渉には真摯な態度でのぞんでください。

7.まとめ

住みながら家を売ると余裕を持って新居探しができるなどのメリットがありますが、内覧への立ち会いといったデメリットも把握しておく必要があります。
また、リースバックやリバースモーゲージも住みながら家を売る際に利用できるサービスですが、トラブルのリスクもあり慎重に選ばなくてはなりません。
自宅の売却が成功するかどうかは、最終的には購入希望者との交渉次第で、そこに求められるのは売主としての真摯な対応である点は忘れないようにしましょう。