不動産売却における残置物トラブルとは?
トラブル回避のポイントを解説2026.01.27
● どうして残置物がトラブルになるの?
● 残置物がある場合、どうやって処分すればいい?
● 残置物トラブルを避けるために注意すべき点は?
不動産を売却する際、不動産の中に残された家財道具や日用品などの残置物が原因で、買主とのトラブルが起こってしまうケースがあるのをご存知でしょうか?
この記事では、残置物がトラブルを引き起こしてしまう理由、代表的なトラブル事例、トラブルを回避するポイントなどを解説します。
不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
● 残置物トラブルの代表的な事例
● 残置物の処分方法や処分費用の相場
● 残置物トラブルを回避するポイント
不動産売却で問題になりやすい!残置物トラブルとは?
残置物は、不動産売却で問題になりやすいポイントの1つです。
しかしなぜ、残置物が問題になりやすいのでしょうか?
まずは残置物の概要と、問題となりやすい背景事情を確認しておきましょう。
残置物=元住人が売却物件内に残した私物
残置物とは、売却物件に住んでいた入居者が残していった家具や家電、日用品といった私物を指します。
たとえば、設置したままのエアコンや照明などが代表例です。
不動産売却では、あらかじめ残置物を処分した状態で買主に物件を引き渡すのが基本となります。
残置物が残った状態のまま引き渡してしまうと、残置物の処分などを巡って買主とトラブルになってしまう可能性があるので、注意が必要です。
残置物の所有権は元入居者にある
物件の所有権はオーナーにありますが、残置物の所有権は、その残置物を残した入居者にあります。
入居者がオーナー自身であれば問題ないのですが、賃貸物件の場合は入居者とオーナーは基本的に別人です。
たとえオーナーであっても、たとえ物件の売却のためといっても、元入居者の所有物である残置物を許可なく処分するわけにはいきません。
元入居者と連絡を取り、残置物の処分について確認する必要がありますが、なかには連絡がつかない、連絡先がわからない場合もあるでしょう。
そのようなケースでは、訴訟を起こして法的に対処する必要があります。
なお残置物の処分費用については、所有者である元入居者への請求が可能です。
法的な対処をおこなった場合も、費用請求できます。
物件の現状渡しと残置物の関係
不動産の売却方法に、現状渡し(現況渡し)というものがあります。
売却する不動産を、今ある状態のまま引き渡す方法なのですが、この方法なら残置物もそのまま引き渡せるのでは?と考える方がおられるのではないでしょうか。
そもそも現状渡しとは、物件そのものの状態に関する引き渡しの方法です。
残置物は物件そのものではありません。
したがって残置物の処理は、売主が処分するのが基本です。
現状渡しだからと、残置物を放置しないよう注意してください。
不動産売却における残置物トラブルの代表的な事例と注意点
それでは具体的に、残置物はどのようなトラブルを引き起こす可能性があるのか、不動産売却での代表的な例と、注意点を確認してみましょう。
所有権の関係で残置物の処分ができない
残置物の概要と背景でもお伝えしたとおり、残置物は元入居者に所有権があるため、たとえ売主でも自由に処分できない点が問題になりやすいです。
たとえ元入居者から売主に所有権が移っていた場合でも、残置物を残した状態で物件を引き渡してしまったら、今度は買主が処分に困ってしまうでしょう。
残置物は物件の引き渡しまでに処分する、残置物の所有権を放棄するなど、買主に迷惑をかけないよう対応をしておくのが好ましいです。
買主が残置物を処分してしまった
残置物のなかに、状態の良い家具や家電が含まれている場合があります。
売主が新居で使用するために、あえて状態の良い残置物を一時的に残しておき、後日引き渡し前に回収する、といったケースもあるでしょう。
ですが、残置物についての認識を買主とすり合わせられていない場合、買主の側が残置物を処分してしまうかもしれません。
こういったケースでは、あらかじめ残置物の所有権や扱いについて、買主と意識合わせをしておく必要があります。
付帯設備に関する認識のずれ
賃貸物件では、新たな入居者がエアコンなどの付帯設備をそのまま使用するケースが多いです。
同様に不動産売却においても、備え付けの設備が新しい場合や状態が良い場合、そのまま利用したいと考える買主は決して少なくありません。
ですが、そういった要望を書面などで明文化せずにいると、売主と買主で認識のずれが起こり、売主が誤って処分してしまった、といったトラブルが起こってしまう可能性があります。
また、エアコンの引き渡しは無事におこなえたとしても、そのあとに故障してしまった場合、どちらが修理費用を負担するのかでトラブルになってしまう可能性もあるでしょう。
付帯設備の扱いについては、売主と買主で事前にしっかり話し合う必要があります。
買主に譲り渡す場合は、契約不適合責任に問われないよう故障時の扱いなどについても合意を得ておき、契約書にしっかり記載するようにしましょう。
物件の売却ができなくなる
購入した物件に、本来処分されているはずの残置物が残っていた場合、残置物を巡る売主とのトラブルや、処分の手間や負担が発生してしまうおそれがあります。
このような物件は買主の購入意欲を削いでしまい、売却までに時間がかかってしまうかもしれません。
残置物を理由に、売却価格の割引を要求されてしまう可能性もあるでしょう。
また、不動産会社によっては残置物を問題視して、取り扱いを拒否されてしまう可能性も考えられます。
できるだけスムーズに売却活動を進めるためにも、残置物は可能な限り処分するのが好ましいです。
不動産売却時の残置物を処分する方法
ここからは不動産を売却するにあたって、残置物を処分するための具体的な方法を解説します。
自分で処分
1つ目は、売主自身が処分する方法です。
小さな日用品であれば、ごみとして処分できます。
家具や家電は、粗大ごみとして処分する必要があるでしょう。
状態が良いものであれば、リサイクルショップに買い取ってもらう、フリマアプリなどで販売する、といった方法も可能です。
自分で処理するために時間がかかる点、残置物が多い場合や、大きな残置物がある場合に大変なのが難点ですが、大きな処分費用を負担する必要がないメリットがあります。
業者に依頼
2つ目は、業者に依頼をして処分してもらう方法です。
依頼できる業者には、不用品回収業者や遺品整理業者、特殊清掃業者などがあります。
古物商の許可を得ている業者を選べば、状態の良い残置物の買い取り依頼も可能です。
単に廃棄するだけであれば不用品回収業者、残置物を残した入居者が故人の場合は遺品整理業者や特殊清掃業者など、自身のニーズや残置物の種類、状態などに合わせて、適切な業者を選びましょう。
残置物の処分を業者に依頼した場合の費用相場
残置物の処分を業者に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのか気になるのではないでしょうか。
ここからは戸建てとマンション、それぞれの処分費用相場をご紹介します。
戸建ての費用相場
戸建てにおける撤去費用は、残置物1㎡あたり1万円〜1.5万円が相場です。
具体的な金額は、残置物の数や大きさによって変化します。
たとえば日用品などの小さな物が中心であれば、相場よりも少ない金額で済むでしょう。
逆に残置物の数こそ少ないものの、大型の家具や家電ばかりの場合は、相場以上になってしまう可能性が高くなります。
以下は、各間取り一杯に残置物がある場合の費用目安をまとめた表です。
| 間取り | 残置物量 | 費用目安 |
| 2LDK | 15〜25㎡ | 15〜35万円 |
| 3LDK | 20〜35㎡ | 20〜50万円 |
| 4LDK | 30〜50㎡ | 30〜75万円 |
| 5LDK以上 | 50〜80㎡ | 50万円以上 |
実際の費用は作業者の人数や、建物のすぐ側にトラックを駐車できるか、といった作業のしやすさも影響してきます。
あくまでも目安として、参考程度にとらえてください。
マンションの費用相場
マンションも戸建てと同じく、残置物1㎡あたり1万円〜1.5万円が相場です。
以下の表に間取りごとの費用相場をまとめましたので、参考にしてください。
| 間取り | 残置物量 | 費用目安 |
| 1R/1K | 10㎡ | 10~15万円 |
| 1~2LDK | 20㎡ | 20~30万円 |
| 2~3LDK | 30㎡ | 30~45万円 |
| 3~4LDK | 40㎡ | 40~60万円 |
| 4LDK以上 | 50㎡ | 50~75万円 |
残置物があるままの状態で不動産売却する方法
残置物は事前に処分しておくのが基本ですが、不動産買取を利用して売却する場合、残置物があるままでも問題になりません。
不動産買取とは、不動産会社が仲介して買主を探すのではなく、不動産会社に物件を直接買い取ってもらう売却方法です。
売主を探す必要がない分、素早く物件を売却できるのが不動産買取の大きな魅力です。
その代わり、仲介での売却と比べて2~3割程度価格が低くなるデメリットがあります。
買い取りに対応している不動産会社は、買い取った物件をリフォームなどによって価値を高めたうえで売却し、利益を得ています。
残置物がある分、買い取り価格は処分費用を差し引いた金額になってしまいますが、それによってトラブルが発生する心配はありません。
ただし、あまりにも残置物が多い場合や、建物の状態が悪く採算が取れないと判断されてしまった場合には、買い取りを拒否されてしまう場合があります。
不動産買取を利用する場合でも、残置物は可能な限り処理しておくのが好ましいでしょう。
不動産売却時の残置物トラブルを回避するポイント
最後に、売却時の残置物トラブルを回避するポイントを解説します。
どうしても残置物を処分しきれない場合は、できる限りトラブルが起きる可能性を減らせるよう、ぜひこれらのポイントを意識してみてください。
処分できる残置物は事前に処分しておく
残置物が多くなるほど、トラブルも発生しやすくなります。
買主が物件に抱く印象も、残置物が多くなるほど悪くなりやすいです。
全部の残置物を処理しきれないとしても、できる範囲だけでも処理しておきましょう。
明らかに壊れている物や状態の悪いもの、ゴミなどはトラブルになる可能性も高いので、積極的に処分しておくのが好ましいです。
処分費用が気になる場合は、小さい残置物だけでも自分の手で捨てるようにすると、負担を抑えられます。
残置物の状態を確認しておく
残置物のなかには、そのままでも問題なく使用できるものや、ある程度の価値が認められるものが含まれている場合があります。
たとえばエアコンなどの設備や、テレビ、冷蔵庫などの大型家電は、状態が良ければ買主が引き取ってくれるかもしれません。
とはいえ、引き取ってもらってもすぐに故障してしまったら、契約不適合責任に問われてしまう可能性もあります。
残置物のリスクを事前に伝えられるよう、問題なく使用できるか、リモコンなどの付属品が揃っているか、保証期間内かどうかなど、一通り状態を確認しておきましょう。
残置物の扱いを明確にする
残置物について買主と話し合い、どのように扱うのかを明確にしておきましょう。
買主と認識を合わせられれば、トラブルになる可能性を減らせます。
とくに残置物の所有権や、買主に残置物を引き渡したあとに故障した場合の扱いや売主の責任については、問題になりやすいです。
売買契約を締結する前にしっかり話し合い、認識を合わせておきましょう。
残置物の所有権や責任を明文化して契約に盛り込む
残置物について買主と認識を合わせたら、明文化して契約書に記載しておきましょう。
たとえば、売主は残置物の所有権を放棄する、処分費用は買主が負担するなど、話し合って決めた内容を契約書に記載しておけば、契約不適合責任の発生など、将来のトラブルを防ぐのに役立ちます。
物件売却後も安心できるよう、記載を忘れないようにしましょう。
まとめ
残置物は元の入居者に所有権があるため、売主が勝手に処分できないなどの問題を引き起こす可能性があります。
残置物の扱いを巡って、買主とのトラブルに発展してしまう可能性もあるので、十分な注意が必要です。
できる限り処分しておく、残置物の状態を確認する、扱いや責任を契約に盛り込むなど、可能な範囲で対策するよう心がけましょう。
