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成年後見人が不動産売却する手順とは?
手続きの流れや注意点を解説
2026.01.27

● 認知症になってしまった親所有の家を処分できず、困っている
● 成年後見人になったので、親の不動産を売却する手順を知りたい
● 認知症の親が所有する不動産を売却する際に注意すべき点があれば、確認しておきたい

不動産を所有している方の判断能力が、高齢などの理由で低下してしまうと、本人だけで売却手続きを進めるのが困難になってしまいます。
そんなとき、本人に代わって売却手続きをおこなえるのが、成年後見人です。

この記事では、成年後見人になった方が本人に代わって不動産売却する手続きの流れや、必要書類などを解説します。
認知症になってしまった親の家を売却する際の注意点も解説していますので、不安な方やお困りの方はぜひ参考にしてください。

この記事でわかること

● 成年後見人とは何か
● 成年後見人が不動産売却する際の流れ
● 認知症の親の家を売却する際の注意点

成年後見人(成年後見制度)とは?

本題に入る前に、まずは成年後見人とはどういったものなのか、基本的な事柄を確認しておきましょう。
成年後見制度の利用を検討している方は、ぜひ1度目を通してみてください。

判断が難しくなってしまった方をサポートするための制度

成年後見人とは、病気や障害などによって判断能力に不安がある方や、判断能力が不十分と認められる状態にある方の生活、財産管理などをサポートする人です。
成年後見人は、成年後見制度によって定められた方法で任命され、制度の利用者を支援するための権利を得るとともに、利用者を守るための義務を負います。
利用者に代わり成年後見人が不動産売却をおこなえるのも、支援内容の1つです。

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。
法定後見制度では、認知症などにより判断能力が十分に低下した方を支援するため、家庭裁判所が成年後見人等を選任します。
成年後見人は親族が選ばれるとは限らず、場合によっては弁護士などの第三者が選ばれるケースもあるのが特徴です。

一方、任意後見制度では、本人の意思に基づき成年後見人を選べます。
支援してもらう内容もあらかじめ決めておけるため、自身の判断能力に自信が持てなくなった場合に適している制度です。

成年後見人が負う2つの義務

2種類の成年後見制度で選ばれた成年後見人は、以下の2つの義務を負います。

● 身上監護に関する義務
● 善管注意義務

身上監護とは、本人(被後見人)の生活や健康状態を守るために必要となる法律的な手続きをサポートする、といった意味を指します。
たとえば、何らかの介護サービスが必要だと思われる場合、成年後見人には、介護サービスを受けるための手続きをサポート、あるいは代行しなければなりません。

なお、成年後見人はあくまでも手続きなどをサポートするのが役割です。
介護のように、日常生活そのものをサポートするわけではない点に注意してください。

善管注意義務とは、"善良なる管理者の注意義務"を略した言葉です。
成年後見人は、成年後見人自身の社会的地位や能力などに応じた、一般的に期待されるであろう注意を払い、本人の財産や健康を守らなければなりません。

たとえば本人の財産を守る場合は、成年後見人が自分自身の財産を守る場合以上の配慮が求められます。
もしも善管注意義務を怠ったと判断されてしまった場合、損害賠償を求められるケースもあるので、十分な注意が必要です。

成年後見人が不動産売却する際に必要な許可

たとえ成年後見人でも、本人に代わって不動産を売却する際には、以下の同意や許可が必要になります。

● 成年後見監督人の同意
● 家庭裁判所の許可

成年後見監督人とは、本人が適切なサポートをしているかを確認するため、成年後見人の活動を監督する人です。
成年後見人が不正を働くのを防ぐのがおもな役割ですが、法的な知識が不足している成年後見人をサポートする場合もあります。

監督人は、本人が所有する資産の種類が多い場合など、家庭裁判所が必要だと判断した場合に選任されます。
監督人が選任されている場合、本人所有の不動産を売却するには、監督人の同意を得る必要があります。

成年後見人が居住用不動産(本人が住む家など)を売却する際は、家庭裁判所の許可も求められます。
定められた申立書に加え、売却する理由、売買契約の詳細な案などを提出し、その売却が適切なものかを判断してもらう必要があります。
許可を得られない場合、売買契約を結んでいても無効扱いとなります。

成年後見人が居住用不動産を売却する際の流れ

居住用不動産を成年後見人が売却する場合でも、基本的な流れは通常の不動産売却の手順とほとんど変わりません。

1. 不動産会社と媒介契約を締結して売却活動をおこなう
2. 買主と売買契約を締結する
3. 家庭裁判所へ売却許可を申立てる
4. 決済と物件の引き渡しをおこなう

それぞれ詳しく解説します。

①不動産会社と媒介契約を締結し売却活動をおこなう

まずは見積りなどを活用しながら家の価値を確認しつつ、契約する不動産会社を探します。

見積りは1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
1社だけの見積りだと、その見積りが適切かを判断するのが難しくなるため、裁判所からの許可が得られにくくなってしまいます。
見積りは最低でも2社に依頼するようにしましょう。

依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結して売却活動を開始します。
契約する不動産会社を選ぶ際は見積りだけでなく、売りたい家のある地域に詳しいかや、十分な売却実績を持っているか、担当者は信頼できそうか、なども加味しつつ決めるのがポイントです。

売却活動自体は、契約した不動産会社がおこなってくれます。
買主候補が見つかった際は内見の対応をする必要があるので、不動産会社と相談しながら準備しておきましょう。

②買主と売買契約を締結する

売却活動と内見を経てうまく買主が見つかったら、売買契約の条件について話し合いましょう。
条件に問題がなければ、売買契約を締結します。

注意しなければならないのは、売買契約に停止条件を含める必要がある点です。
一般的な不動産売却であれば、売買契約の締結後は決済と物件の引き渡しに移ります。
ただし、成年後見人が売却手続きをする場合でも、家庭裁判所からの許可が出ない可能性があります。
停止条件とは、売却が許可されなかった場合は契約を無効にする特約です。
入れ忘れないように十分注意してください。

③家庭裁判所に売却許可の申立てをおこなう

必要書類を揃え、家庭裁判所に売却許可の申立てます。
具体的にどのような書類が必要かは取得方法も併せて、のちほど紹介します。

裁判所から許可を得られなかった場合は、残念ながら売却はできません。
すでに売買契約を結んでいる場合は契約の履行ができなくなりますので、トラブルを避けるためにも、契約には必ず停止条件を含めておくようにしましょう。

④決済と物件の引き渡しをおこなう

裁判所からの許可が得られれば、決済をおこない、買主に物件を引き渡します。
決済では売主(成年後見人)、買主、不動産会社、司法書士、金融機関が一所に集まり、ローンの手続きや代金の振り込み、仲介手数料の振り込み、登記手続きなどがおこなわれます。
最後は買主に必要書類と物件の鍵を手渡して、取引終了です。

成年後見人による居住用不動産売却の必要書類と取得方法

以下に、成年後見人が居住用不動産を売却する際に必要な書類と取得方法を、用途別の表にまとめています。
書類を揃える際の参考にしてください。

物件の査定依頼時

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
登記済権利証 または 登記識別情報 法務局  
物件の間取り図 物件の施工会社や管理会社など  
土地測量図/境界確認書 測量図:法務局 境界確認書:測量士などに依頼  
固定資産税評価証明書 または 固定資産税納税通知書 役所、役場 固定資産税納税通知書は、毎年4~5月に送付される

媒介契約時

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
本人確認書類   運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
登記済権利証 または 登記識別情報通知書 法務局  

売買契約時

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
本人確認書類   運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
印鑑登録証明書 役所、役場 コンビニなどでも発行可能
登記済権利証 または 登記識別情報 法務局  
固定資産税評価証明書 または 固定資産税納税通知書 役所、役場 固定資産税納税通知書は、毎年4~5月に送付される
土地測量図/境界確認書 測量図:法務局 境界確認書:測量士などに依頼  

成年後見登記事項証明書の取得

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
申立書 法務局 法務局のサイトからダウンロード可能 収入印紙の貼付が必要
本人確認書類   運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど

家庭裁判所へ売却許可の申立て

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
申立書 家庭裁判所 家庭裁判所のサイトからダウンロード可能 収入印紙の貼付が必要
不動産の全部事項証明書 法務局  
不動産の評価証明書 役所、役場(資産税課)  
不動産査定書 不動産会社に査定依頼  
本人の生活費・医療費等の資金計画書   自作
成年後見登記事項証明書 法務局  

家庭裁判所の売却許可証の取得

自治体の裁判所によって必要書類が異なる場合があるため、必ず取得前に確認してください。

必要書類名 取得方法(取得場所) 備考
本人確認書類   運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど
印鑑登録証明書 役所、役場 コンビニなどでも発行可能
成年後見登記事項証明書 法務局  

成年後見人が認知症の親の居住用不動産を売却する際の流れ

認知症を発症して判断能力を失ってしまったと認められた場合、不動産の売却がおこなえなくなります。
このケースでも成年後見人なら、認知症の本人に代わって売却手続きが可能です。
手続きの流れは、以下のとおりとなります。

1. 不動産会社と媒介契約を締結して売却活動をおこなう
2. 買主と売買契約を締結する
3. 家庭裁判所に売却許可の申立てをおこなう
4. 決済と物件の引き渡しをおこなう

ご覧のとおり、成年後見人による居住用不動産売却の流れと同様です。
必要書類も同じですので、詳細はぜひそちらを参考にしてください。

認知症の親の居住用不動産を売却する際の注意点

認知症になってしまった親が住む家の売却には、いくつか注意すべき点があります。
売却手続きを始める前に、確認しておきましょう。

売却手続きに時間がかかる

認知症の親の物件に限った話ではありませんが、不動産の売却には時間がかかる点に注意してください。

不動産の売却に要する期間は、3〜6か月が目安です。
物件の状態や条件が悪い場合、1年以上かかってしまう場合もあります。

以下は、売却期間のおおよその内訳です。

● 査定~媒介契約の締結:1週間~1か月
● 売却活動:1~5か月
● 売買契約~引き渡し:1~3か月

成年後見人による売却の場合、家庭裁判所への申立てから許可を得るまでの期間(1か月程度)がプラスされます。

成年後見人が決まっていない場合は、成年後見制度の申立てをおこない、成年後見人が選定されるまでの期間も見越さなければなりません。
申立てから選定までは、3〜4か月程度かかります。

つまり、成年後見人が決まっていない場合は7〜11か月、すでに選任済みでも、売却までに4〜7か月程度はかかると考えておいてください。

必ずしも売却の許可を得られるとは限らない

成年後見人が物件を売却する場合、家庭裁判所に売却許可の申立てをおこない、許可を得なければなりません。

申立てを受けた裁判所は、物件を売却する理由や物件の査定額、売却価格などを確認し、この売却が本人にとって意義のあるものかを判断します。
そのため、合理的な売却理由を示せていない場合や、査定額や売却価格が妥当ではないと判断された場合などは、許可が得られません。

成年後見人は、売却理由や売却代金の使用目的、物件価格の妥当性などを具体的に示し、許可を得られるよう心がけましょう。

住宅ローンの支払いが残っている場合は名義変更が必要

売却したい物件に住宅ローンが残っている場合、ローンを完済しなければ売却が認められません。
ですが物件の売却代金がローン残債を上回っていれば、売却代金を使っての完済が可能です。

しかしローンの契約者が認知症で判断能力を失ってしまっていると、金融機関が本人の意思を確認できないため、繰上返済自体がおこなえない可能性があります。
この場合はローンを完済する前に、ローンの名義を変更しなければなりません。

成年後見制度を活用した不動産売却を専門家に相談するメリット

お伝えしてきたとおり、成年後見制度を活用して不動産を売却するには、さまざまな手続きが必要となります。
専門的な知識を持っていない家族の方が成年後見人として手続きを進める場合、どうしても不安を感じてしまいやすいでしょう。

そんなときに頼りたいのが、成年後見制度を活用した不動産売却に精通した不動産会社などの専門家です。
ここからは専門家に相談するメリットについて、詳しく解説します。

地域の事情や相場に精通している

成年後見制度を活用した不動産売却に精通した不動産会社であれば、地域の相場などの情報に精通している可能性が高いです。
相談先が、売りたい物件がある地域の相場を把握していれば、適切な価格で売却できる可能性も高まるでしょう。

売却活動を任せられる

地域に精通した不動産会社であれば、売却活動をスムーズに進めやすくなります。
相場にマッチした適切な売却価格を設定できれば、それだけでも買主を見つけられる可能性は高まります。

地域に密着している会社であれば、買主になりうる地域の顧客や業者をある程度把握しているかもしれません。
あるいは地域ならではのニーズを踏まえて、より効果的な販売戦略を提案してくれる可能性もあるでしょう。

書類の作成や各種手続きをサポートしてもらえる

成年後見制度を活用した不動産売却に精通している会社であれば、家庭裁判所への申立てなど、必要な手続きに関する知識や経験も豊富です。

前もって用意しなければならない書類を教えてくれる、申請書などを代わりに作成してくれるなど、さまざまなサポートを受けられるでしょう。

まとめ

成年後見人とは、認知症などで判断能力が低下した方に代わり、不動産売却手続きの代行などを担う権限を持つ人です。
成年後見人が居住用不動産を売却する際は、家庭裁判所へ物件売却の申立てをおこない、許可を得る必要があります。
成年後見制度を使った不動産売却に不安を感じる場合は、精通した不動産会社に相談、依頼をするのがおすすめです。



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