実績紹介

不動産売却の委任状とは?
基礎知識と必要書類や注意点を詳しく解説
2026.01.27

● 委任状があれば、本人以外でも売却手続きを進められる?
● どのようなケースで不動産売却に委任状が必要になる?
● 不動産売却で代理人へ委任する際のリスクと対策を知りたい

不動産売却では、仕事の都合や遠方在住などの理由で本人が契約手続きに立ち会えない場合、代理人へ任せる手段として「委任状」が用いられます。
この記事では、不動産売却で代理人への委任を検討されている方向けに、委任状とは何か、基礎知識や役割、必要書類と取得方法、注意点などを詳しく解説します。

この記事でわかること

● 不動産売却における委任状の基礎知識と役割
● 不動産売却で委任状が必要となるケースと代理行為の範囲
● 不動産売却を代理人へ委任する際の注意点と対策方法

不動産売却に必要な委任状とは?基本知識と役割を詳しく解説

不動産売却の際、本人が手続きできなくても、第三者に代理を依頼すれば本人不在でも契約手続きを進められます。
このときに効力を発揮するのが「委任状」です。
まずは、不動産売却の委任状の基礎知識と役割、種類や必要になるケースを確認しておきましょう。

不動産売却の委任状とは

不動産売却で用いられる委任状は、不動産の所有者本人が代理人に売却手続きを依頼する際に用意する正式な書類です。
不動産売却で契約を交わす際、原則としてすべての名義人の立ち会いが求められます。

しかしながら、遠方に住んでいたり、複数いる名義人の都合が合わなかったりする場合は、日程調整が困難なケースが出てきます。
そのようなケースでも委任状を作成すれば、家族や専門家などの代理人に権限を付与でき、名義人が不在でも不動産売却の手続きを進められます。

不動産売却の委任状の役割

不動産売却の委任状には、おもに2つの役割があります。

● 代理人(受任者)に代理権がある旨を証明する
● 本人(委任者)が法律行為をおこなう場合と同等の効力が発生する

つまり、「本人が代理人にある一定の行為を任せる」と書面で示した証明書です。
また、所有者と同等の効力が発生するため、契約や取り消しの行為ができるなど、代理人は不動産売却の手続きの場で強い権限を持てるようになります。

ただし、買主の意思に反して代理人が勝手に判断するリスクもあるため、代理人選びと委任状の内容は慎重に検討する必要があります。
一方で、委任状は民法第643条に基づく書類であり、不動産売却の際に必ず求められるわけではありません。

委任状自体には法的効力はなく、第三者に示す「委任契約の証明」として解釈される点を理解しておきましょう。

不動産売却の委任状の種類

一口に委任状といっても、売買、契約、代理などがあり、利用シーンにあわせて種類や効力が変わってきます。

● 売買委任状
● 契約委任状
● 共有名義
● 代理委任状

たとえば、不動産売買で代理取引を依頼する場合は売買委任状を用い、売買契約の締結や媒介契約などを依頼する場合は契約委任状を使用します。

また、複数人で共有する不動産の売却なら共有名義、手続き全般を任せるなら代理委任状になります。
委任状は強い効力を持つうえに、種類ごとに記載内容も変わってくるため、細かく委任事項を決めてから作成するようにしましょう。

不動産売却の委任状が必要なケース

不動産売買の場面で委任状の提出が求められる具体例は、以下のとおりです。

● 所有者が遠方に住んでいるために現地での対応が難しい
● 親が高齢で、家や実家を子どもが代理で売却手続きをする
● 共有名義のマンションの売却を、全員の同意を得て代表者が手続きをする
● 相続した土地の売却で、複数人の相続人がいる
● 入院などやむをえない事情で契約の場に立ち会えない
● 弁護士や司法書士など専門家に依頼する

とくに、複数人で共有する物件の場合、手続きの場に全員で立ち会うのは調整も難しく現実的ではありません。
そのような場合は委任状を作成し、共有者の1人が代表者になれば、スムーズな取り引きが可能です。

また、怪我や入院でどうしても立ち会えない場合や、親族に任せられずに弁護士や司法書士に依頼する場合も、委任状があれば解決できます。

委任状を用いても代理人として認められないケース

委任状を作成しても代理人として認められないケースが存在します。

● 意思能力がないケース
● 未成年のケース

認知症や精神的な障害により意思能力がないと判断される場合、委任状を使った代理行為による不動産売却は認められません。
これは、民法で「意思能力がない場合の法律行為は無効」と決められているためです。
こうしたケースでは、本人に代わり後見人が支援する「成年後見制度」を利用すると、本人以外でも不動産売買を行えます。

また、不動産の所有者が未成年のケースも同様です。
未成年者の場合は、民法上、法定代理人となる親権者(通常は両親)、または未成年後見人の同意が必要です。
よって実際の場では、未成年者の法定代理人が主体となり手続きが進められます。

不動産売却の委任状で重要な権限や代理行為の範囲を確認

委任状を作成すると、代理人は強い権限が与えられ、重要な法律行為も実行できるようになります。

そのため、委任状に不備があれば、大きなトラブルの要因になりかねません。
リスクを回避するためにも、委任状によりどこまで任せられるのか、権限や代理行為の範囲を確認しておきましょう。

委任状によって可能になる行為

不動産売却で委任状を使用すると、以下のような法律行為が可能になります。

● 不動産会社との媒介契約の締結
● 重要事項説明の受領
● 売買契約書への署名・押印
● 売買代金の受領
● 決済や登記手続き

ただし、委任状に委任範囲を明確に記載しておかなければ、代理人は実際に行動できる状態になりません。

たとえば、「売買契約の締結権限まで」「売買代金の受領権限まで」など限定的に記載するのがポイントです。
全体的に任せる場合でも、曖昧な表現は使用せず、「契約行為」「代金受領」「登記手続き」など委任範囲を網羅するように記載してください。

委任する権限と範囲を明確にする

委任状には指定された書式などは存在せず、メモ用紙に手書きであっても、記載内容に不備がなく押印がされていれば、委任状としての効力を発揮します。
逆にいえば、専門知識がない素人が自由に書いた場合でも有効になってしまうので、代理人に権限を与えすぎないよう注意しなければいけません。

曖昧に記載したり、漏れがあったりして代理人への権限や範囲を拡大解釈されてしまうと、大きなトラブルを招く要因になります。
未然にトラブルを防ぐには、委任状の作成前に、「誰が」「何を」「どこまで」代行してもらうのか、委任事項を限定したうえで明確にしておく必要があります。

委任状に記載する具体的な委任事項

次のような委任事項を記載すれば、不動産売却の委任状に効力を持たせられます。

● 不動産の表示項目
● 不動産の売却価格
● 不動産の手付金額
● 不動産の引き渡し日
● 不動産の残代金支払日・支払口座
● 売買契約の解除期限と解約金
● 固定資産税の負担割合
● 所有権移転登記の日付
● 委任日
● 委任状の有効期限
● 委任者(売主)の氏名・住所
● 受任者(代理人)の氏名・住所

土地や建物の表示項目は、登記事項証明書に書かれている内容に従って記載します。
また、委任状によるトラブル発生を最小限に抑えるためにも、委任日と委任状の有効期限を明記しておきましょう。

さらに、委任状の最後には、委任事項の終わりを示す「以上」と記載しておくと、改ざんや追記の予防になります。

不動産売却の委任状に添付する必要書類一覧と取得方法

委任状を作成しただけでは、有効な代理人として認められません。
不動産売却の場で代理人に法的な効力を与えるには、印鑑証明、実印、本人確認書類のほか、必要に応じて住民票などの必要書類が求められます。
万全の状態で手続きをおこなうためにも、必要書類と取得方法を確認しておきましょう。

印鑑証明書

印鑑証明書とは、その実印が本人のものであると公的に証明する書類です。
不動産売却は高額取引となるため、本人不在の手続きは買主に不安を与えかねません。
そこで信頼性の担保として委任者(売主)の印鑑証明書を添付すれば、この委任行為が本人の意思によるものと示せます。

代理人の印鑑証明書も必要なケースが多く、発行から3か月以内のものを双方で準備しておくのが無難でしょう。
印鑑証明書は印鑑登録をした役場や出張所で取得できますが、マイナンバーカードを利用するとコンビニエンスストアでも取得可能です。

実印

委任者と代理人双方の実印も用意しておく必要があります。
実印とは居住区にある役場にて届け出をおこなった印鑑を指し、原則1本しか登録できないので、個人の印鑑のなかでも大きな法的効力を持つ重要な印鑑です。
一般的な認印では委任状の効力が発生しないため、必ず実印を揃えておくようにしてください。

なお、文具店にあるようなシンプルなものでも実印として登録はできますが、容易に手に入る印鑑は悪用されるリスクがあります。
実印をあらたに作成する場合は、オリジナルの印鑑での作成がおすすめです。

本人確認書類

本人確認書類も、委任者と代理人の双方のものが求められます。
実在する人物であると証明する公的な身分証明書として、マイナンバーカードや運転免許証、パスポートなどを提示します。

委任状だけでは、売却意思の確認はもちろん、「誰が売主(委任者)で、誰が代理人(受任者)なのか」を厳正に判断するのは困難です。
本人確認ができないと不動産売却の手続きが滞るおそれがあるため、コピーではなく、本人確認書類の原本を提出しましょう。

住民票

住民票も、委任者と代理人双方で用意しておくのが基本です。
住民票を取得する方法は、住所を登録している役場の窓口や出張所にて申請するほか、郵送でも取得できます。

原則として発行から3か月以内の住民票が有効なため、有効期限が切れないよう考慮して取得するようにしましょう。
必要書類の種類や仕様は不動産会社によって異なるケースも少なくありません。
委任状が無効となる事態を避けるためにも、作成前に不動産会社へ事前確認を行っておくと安心です。

代理人による不動産売買契約時のリスクとトラブル回避策

有効な委任状があれば、代理人が売主に成り代わり法律行為をおこなう権限を与えられます。
代理人を立てれば手間や時間を短縮でき、本人の負担を軽減できますが、代理権の濫用などのリスクも生じます。
ここでは、代理人による不動産売却のリスクとトラブル回避策を解説します。

代理権を濫用されるリスク

とくに注意が必要なのが、代理権を濫用されるリスクです。
たとえば、委任権限を広範囲に設定した場合、信頼できない相手へ任せると、代理権を悪用されるおそれがあります。
このようなトラブルを回避するには、以下のような対策が有効です。

● 白紙委任状にしない
● 曖昧な表現を使用しない
● 捨印を押印しない

委任事項の記載がない委任状は白紙委任状と呼ばれ、委任者の意向が不明確なため、代理人の判断で内容を改変されるリスクがあります。

また、解釈の違いが生じやすい「一切の件を任せる」「必要に応じて対応」など曖昧な表現も厳禁です。
さらに、委任状の余白に捨印を押してしまうと、捨印を使って簡単に改変が可能となり、濫用リスクを高める要因になります。

希望と異なる条件で契約されるリスク

委任者と代理人の間で意思疎通が不十分だと、希望と異なる条件で契約されてしまうリスクがあります。
認識のズレや、権限や範囲の誤解によっても同様のトラブルにつながりかねません。

とくに、売却価格や契約日、引き渡しのタイミング、金銭の取り扱いなど、認識の相違が起きやすい項目です。
そのため、委任状作成時には、言葉と書面で確認をおこない、不動産会社や買主にも伝えておくと、トラブル防止に役立ちます。

書類不備などによる遅延リスク

委任状の内容や必要書類に不備があると、契約が無効となり取り引き全体が遅延してしまうリスクがあります。

委任状の正しい作成はトラブル回避に直結します。
委任状に記載すべき項目や注意点、必要書類や期限などを理解したうえで、慎重に取り組むようにしましょう。

まとめ

不動産売却の委任状とは、契約行為などを代理人に依頼する場合に提示する正式な書類です。
正しく作成された委任状と必要書類が揃ってはじめて効力が発生し、本人の意思や希望に沿った安全な手続きが可能となります。
やむをえず本人が立ち会えない場合でも、委任状があれば売却活動を進められます。注意点やトラブル回避策を参考にしながら、不動産取引を進めてみてください。



CONTACTお問い合わせ

何をすればよいかわからない人も
一度現状をご相談ください。
お客様にあった解決方法をご提案致します。