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不動産売却後の確定申告の方法とは?
必要書類から税金計算まで徹底解説
2025.10.17

● 不動産を売却したけど、確定申告って自分にも必要なのかな?
● 税金がすごく高くなると聞いて不安…少しでも安くする方法はないの?
● 確定申告の書類集めや手続きが複雑そうで、何から始めればいいかわからない

不動産売却後の確定申告は、多くの方にとって初めての経験で、不安や疑問が多いものです。
そこで本記事では、初めての方でも安心して申告できるよう、専門用語も解説します。
申告が必要かどうかの判断から、税金を抑える特例の活用法、複雑な手続きに至るまで徹底解説します。

この記事でわかること

● 確定申告が必要か不要かを自分で判断できるようになる
● 税金がいくらになるかの計算方法と、節税に役立つ特例がわかる
● 確定申告の必要書類や手続きの具体的な流れがわかる

不動産売却で確定申告が必要なケース

不動産売却後の申告要否は、売却益の有無、20万円ルール、所有期間の3点が判断基準です。
申告が必要かを見極めるため、これらのポイントと誤りやすい判断の境目を理解しておきましょう。

確定申告が必要なケース

不動産を売却して譲渡所得(利益)が出た方は、原則として確定申告が必要です。
利益の有無は「売却価格 − (取得費+譲渡費用)」で計算し、結果がプラスなら申告対象となります。

ただし、大きな節税効果のある特例を利用する場合は注意が必要です。
居住用不動産の売却で以下の特例などを使うには、たとえ計算上利益が出ていなくても(損失の場合でも)、確定申告をしなければ適用されません。

● 3,000万円の特別控除
● 所有期間10年超の軽減税率
● 特定の居住用財産の買換え特例

これらの特例を活用するためにも、申告の要否を正しく判断しましょう。

確定申告が不要となるケース

不動産売却で利益が出ていない(譲渡損失)場合や、給与所得者で売却益を含む給与以外の所得が年20万円以下の場合、所得税の確定申告は不要です。

しかし、所得税の申告を省略しても、住民税の申告は別途必要になるのでご注意ください。

【所得税と住民税の申告要否の違い】

ケース 所得税の確定申告 住民税の申告
譲渡損失(赤字の場合) 不要 原則必要
給与所得者で、売却益等の給与以外の所得が年20万円以下の場合 不要 原則必要

所得税の「20万円ルール」は住民税には適用されません。
自治体で対応が異なる場合もあるため、必ずお住まいの市区町村にご確認ください。

長期所有と短期所有の判定基準と税率の基本

不動産売却の税率は、所有期間が「売却した年の1月1日時点」で5年を超えるかどうかで大きく変動します。
5年以下は「短期譲渡」、5年超は「長期譲渡」と区分され、税率が約2倍も異なるので注意してください。

区分 所有期間 所得税 住民税 合計税率
短期譲渡 5年以下 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡 5年超 15.315% 5% 20.315%

実際の売却日ではなく「その年の1月1日」で判断される点が重要です。
判定を誤ると税額が大きく変わるため、売却前に所有期間を必ず確認しましょう。

無申告や期限遅れのリスクと初動対応

申告を忘れていたと気付いたら、すぐに期限後申告の手続きを進めましょう。
遅れた申告には、無申告加算税や延滞税が発生する場合があります。
延滞税は国税庁が年度ごとに利率を設定しており、申告期限からの日数に応じて増加していく仕組みとなっています。
申告手続きをスムーズにおこなうためには、以下の書類を事前に準備しておくと便利です。

● 売買契約書
● 領収書
● 仲介手数料の明細
● 登記事項証明書

これらの資料を揃えたうえで、国税庁の「作成コーナー」やe-Taxを利用すれば、効率的に手続きを終えられます。

不動産売却の際の譲渡所得の計算方法とポイント

不動産売却で得た利益(譲渡所得)には所得税と住民税がかかります。
譲渡所得は「売却価格」から「取得費」と「譲渡費用」を引いて計算します。
特例を適用できれば大きな節税につながるため、計算のポイントをしっかり押さえましょう。

譲渡所得の基本式と計算の流れ

譲渡所得の基本計算式は「譲渡所得 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用)」です。
売却価格(譲渡価額)を確定させ、そこから取得費(購入時の価格や諸費用)と譲渡費用(売却時にかかった費用)を差し引きます。

算出された譲渡所得から特別控除(適用条件あり)を差し引き、保有期間に応じた税率(長期:15.315%、短期:30.63%)をかけて税額を計算します。
複数の特例が適用できる場合は、最も有利なものを選択するのがポイントです。

取得費の考え方|実額法と概算取得費の使い分け

取得費の計算方法には「実額法」と「概算取得費」の2種類があります。

● 実額法: 実際の購入価格に購入時の諸経費(仲介手数料、印紙税、登録免許税など)を加算
● 概算取得費: 譲渡価額の5%として計算する方法

実額法は購入時の資料が保管されている場合に有利で、概算取得費は購入から年数が経過していて資料がない場合や、低額で取得した物件の場合に選択するとよいでしょう。
両方で計算し、税金が少なくなる方の選択が可能です。

建物の減価償却とリフォーム費用の扱い

建物部分は、減価償却費相当額を取得費から差し引く必要があり、この計算方法は建物の構造や使用目的によって異なります。
たとえば事業用の木造住宅なら22年、鉄筋コンクリート造マンションなら47年といった法定耐用年数をもとに算出します。

一方、マイホームの場合は、耐用年数を1.5倍するなど、これとは別の計算式が用いられる点に注意しましょう。
最終的に、建物の購入代金からこの減価償却費を差し引いた金額が、建物の取得費となります。

リフォーム費用は、その性質によって扱いが異なります。

● 資本的支出(価値を高める改修)→ 取得費に加算できる
● 修繕費(現状維持の修理)→ 取得費に加算できない

大規模リフォームの場合は資本的支出として取得費に加算できる可能性が高く、領収書等の保管が重要です。

譲渡費用に計上できる費用とできない費用

譲渡費用とは、不動産を売却するために直接かかった費用です。
計上できる費用とできない費用を正しく区別しましょう。

計上できる費用 計上できない費用
仲介手数料 固定資産税・都市計画税
売買契約書の印紙税 売却後の管理費・修繕積立金
測量費、立退料 引っ越し費用
建物の解体費用 通常の修繕費

譲渡費用は確定申告時に漏れなく計上し、必ず証明書類を保管しておきましょう。

不動産売却で特例制度の要件と落とし穴

不動産売却時には適用できる特例制度が複数存在します。
これらを活用すれば大幅な節税が可能ですが、要件を満たさないと特例が使えないだけでなく、思わぬ追徴課税を受けるリスクもあるため注意が必要です。
事前に専門家に相談し、確実に要件を満たす計画を立てましょう。

居住用3000万円特別控除の要件

マイホーム(居住用財産)を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。
適用にはおもに以下の要件を満たす必要があります。

● 自分が住んでいる家屋の売却、または住まなくなってから3年目の年末までの売却である
● 親子や夫婦など、特別な関係の相手への売却ではない
● 過去2年以内にこの特例やほかの特例(買換え特例など)を利用していない

適用を受けるには、利益が出ない場合でも確定申告が必須となります。
売却した翌年に、必要書類を揃えて申告手続きをおこないましょう。

相続空き家の3000万円特別控除の条件と期限

被相続人から相続した空き家を売却する際、一定要件を満たせば最大3,000万円の特別控除が適用できる制度です。
この特例は税制改正により適用期間が延長され、令和9年12月31日までにおこなわれた売却が対象となりますが、以下の厳格な条件があります。

● 被相続人が亡くなる直前まで1人で住んでいた家である
● 相続開始から売却までの間、居住や貸付等に使用されていない
● 昭和56年5月31日以前に建築された家屋である
● 売却する家屋が現行の耐震基準に適合している(耐震リフォームを含む)、または家屋を取り壊して更地として売却する
● 相続開始から3年目の12月31日までに売却する

この特例は「空き家の発生抑制」が目的のため、条件が厳しく設定されています。
とくに耐震基準の適合証明には時間とコストがかかるため、早めの準備が必要となるでしょう。

また、複数の相続人が共有で相続して売却した場合、各相続人が要件を満たせば、自身の持分に応じてこの特例の適用を受けられます。
ただし控除額は全相続人合計で最大3,000万円です。

買換えで損失が出た場合の損益通算と繰越控除

マイホームを売却して損失(譲渡損失)が出た場合、その損失を給与所得などほかの黒字の所得と相殺(損益通算)できる制度があります。
またその年の所得から引ききれない損失は、翌年以降最大3年間繰り越して控除(繰越控除)するのも可能です。

この特例には、新しい家を購入する「買換え」が条件となるものと、売却だけでも適用できるもの(住宅ローン残高が売却価格を上回る場合など)の2種類が存在します。
いずれも所有期間が5年を超えている場合が前提となるなど、細かい適用要件が定められています。

不動産売却で確定申告の手続きと提出方法

不動産売却後の確定申告は、譲渡所得の計算や各種特例の適用を正確におこなうための重要なステップです。
期限管理と必要書類の準備を計画的に進め、自分に合った申告方法を選択しましょう。

申告期限と納付期限の確認

確定申告の申告と納税には、それぞれ期限が定められています。
申告書の提出期間は、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までです。
所得税の納付期限も原則として3月15日までとなります。
期限に遅れると延滞税が発生する場合があるので注意が必要です。

口座から自動で引き落とされる振替納税を選択すると、納付の手間が省けて便利でしょう。
なお、住民税は申告内容に基づき、別途6月頃に市区町村から通知が届きます。

必要書類のリストと入手先

不動産売却の確定申告には多くの書類が必要です。
事前にリストアップして効率よく集めましょう。
おもな書類と入手先は以下のとおりです。

書類名 おもな入手先
確定申告書 税務署、国税庁ホームページ
売買契約書の写し(売却時・購入時) 不動産会社、自身で保管
登記事項証明書 法務局
仲介手数料・印紙税等の領収書 不動産会社、自身で保管

これらの書類は、不動産会社や法務局で入手できます。
とくに購入時の書類は紛失している場合も多いため、早めに準備を始めましょう。
また特例を適用する場合には、それぞれ規定された追加書類が必ず必要になります。

e-Taxの準備と提出手順

e-Taxは、自宅のパソコンやスマホからオンラインで確定申告ができる便利なシステムです。
利用にはマイナンバーカードと、それを読み取るICカードリーダライタまたは対応スマートフォンが必要になります。

手順は以下のとおりです。

● マイナポータルアプリなどをインストールし、e-Taxと連携
● 国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で画面の案内に沿って入力
● 作成した申告データを送信して完了

操作に不安がある場合は、税務署で開催される「e-Tax講習会」を利用するとよいでしょう。
また、過去にe-Taxで作成して保存した申告データがあれば、それを読み込んで利用できるため、二度目以降の申告はさらに簡単です。
スマートフォンで完結する「スマホ申告」も年々機能が充実しています。

紙提出と郵送提出の進め方

紙での確定申告も引き続き可能です。
申告書は国税庁ホームページや税務署で入手し、記入には消せないボールペンを使いましょう。
訂正は二重線と訂正印でおこなってください。
税務署へ持参する場合は、混雑を避ける時間帯を選ぶのがおすすめです。

郵送も可能で、3月15日の消印が有効となります。
郵送で提出する場合、申告書は「信書」にあたるため、送付した事実を記録に残せる特定記録郵便や簡易書留で送付すると安心です。

また、提出用の控えに税務署の受付印が必要な場合は、控えのコピーと切手を貼った返信用封筒を忘れずに同封しましょう。
この方法はパソコンが苦手な方でも対応しやすい利点を持つ一方、控えの返送に時間がかかる点には注意が必要です。

不動産売却のケース別シミュレーション

不動産売却時の税金は状況によって大きく変わります。
居住用か投資用か、長期保有か短期売却か、相続物件かどうかなど、条件ごとの具体的な計算例を見ると、自分のケースに近い税額を事前に把握できるでしょう。

居住用を売却して利益が出たケース

マイホーム(所有期間10年)を売却して利益が出たケースをシミュレーションします。

【前提条件】

● 売却価格:5,000万円
● 取得費:3,000万円
● 譲渡費用:200万円

【計算ステップ】
まずは、売却利益(譲渡所得)を計算します。
5,000万円 - (3,000万円 + 200万円) = 1,800万円

次に計算した利益から「居住用財産の3,000万円特別控除」を差し引きます。
1,800万円 - 3,000万円 = -1,200万円

利益(1,800万円)よりも控除額(3,000万円)の方が大きいため、税金の対象となる金額(課税譲渡所得)は0円となります。
結果として、このケースでは所得税・住民税はかかりません。

相続物件で取得費が不明なケース

親から相続した土地(所有期間は引き継ぎ10年)を3,000万円で売却し、購入時の資料がなく取得費が不明なケースを考えます。
この場合、売却額の5%を取得費とみなす「概算取得費」を用いるのが可能です。

● 取得費: 3,000万円 × 5% = 150万円
● 譲渡所得: 3,000万円 - (150万円 + 譲渡費用100万円) = 2,750万円

長期譲渡の税率約20%を乗じると、税額は約550万円となります。
実額取得費が不明な場合、税負担が大きくなる傾向にあります。

投資用マンションを短期で売却したケース

所有期間4年の投資用マンションを2,500万円で売却し、取得費(減価償却後)が2,000万円、譲渡費用が80万円だった場合を考えてみましょう。

まず、譲渡所得は「2,500万円 - (2,000万円 + 80万円) = 420万円」と計算されます。
このケースでは所有期間が5年以下のため「短期譲渡」に該当し、税率は住民税と合わせて約40%と高くなるのが特徴です。

その結果、税額は「420万円 × 39.63% ≒ 166万円」といった計算になります。
もしあと2年所有して長期譲渡で売却すれば、税額を半分程度に抑えられたかもしれません。

まとめ

不動産売却後の確定申告は、申告要否の判断、譲渡所得の計算、特例適用の検討、申告書提出の4段階で進めましょう。
売却した年の翌年3月15日が期限です。

準備すべき書類は、売買契約書、登記事項証明書、領収書類などが中心になります。
とくに取得時の資料は紛失しやすいので早めに収集を始めるのが重要です。

申告までのスケジュールとしては、売却後すぐに書類集め、1月頃に計算準備、2月中旬には申告書作成に着手するのがおすすめです。
e-Taxなら自宅から提出できるため、早めにマイナンバーカードの準備も進めておきましょう。



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