不動産売却にかかる費用はいくら?
内訳一覧と相場・節約方法を徹底解説2025.10.17
● 不動産売却にかかる費用が知りたい
● 仲介手数料や税金の相場を知りたい
● 少しでも費用を抑えて手元に残したい
不動産売却には仲介手数料や税金、登記費用などさまざまなコストが発生します。
事前に内訳や相場を知っておけば、想定外の出費を避け、手元に入ってくる金額をより多くできるかもしれません。
本記事では、不動産売却にかかる費用の種類や相場、さらに費用を安く抑えるための制度や工夫まで詳しく解説していきます。
この記事でわかること
● 不動産売却にかかる費用の内訳と相場
● 控除や特例を活用して費用を安く抑える方法
● 住宅・土地・マンション別の最新相場比較
不動産売却にかかる主な費用を一覧で解説!費用の内訳と目安を紹介
不動産売却の場面においては、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。
売却活動にかかる仲介手数料や契約時に必要な印紙税、さらには利益が出た場合の税金など、複数の費用が差し引かれます。
不動産売却で発生する費用には以下のようなものがあります。
どのような費用が発生するかを事前に把握しておけば、売却後に「こんなにお金がかかるなんて」と慌てずに済むでしょう。
費用項目 | 内容 |
---|---|
仲介手数料。 | 不動産会社に支払う成功報酬。法律で上限が定められている。 |
印紙税。 | 売買契約書に貼る収入印紙代。 |
登記費用(抵当権抹消)。 | ローンが残っている場合に必要(司法書士報酬含む)。 |
譲渡所得税・住民税。 | 売却益(譲渡所得等)が出た場合に課税される。 |
測量費用。 | 土地や戸建てで境界確定が必要な場合に発生。 |
引っ越し費用。 | 新居への引っ越しや荷物整理に必要。 |
修繕費、ハウスクリーニング費。 | 売却をスムーズにするために任意で実施。 |
仲介手数料
不動産売却で最も大きな費用の1つが仲介手数料です。
売却を依頼した不動産会社への成功報酬で、売買契約が成立した時に支払います。
手数料の上限は法律で定められており、売却価格が400万円を超える場合、「売却価格×3%+ 6万円+消費税」が上限額です。
たとえば3,000万円で売却した場合、約105万円(税込)が仲介手数料の目安となります。
仲介手数料は契約時と決済時の2回に分けて支払うのが一般的ですが、不動産会社によっては支払うタイミングを調整できる場合もあります。
仲介手数料は売却活動にかかった広告費や営業担当者のサポート料も含まれているため、安心して売却を進めるためには必要な費用です。
不動産会社によっては独自のキャンペーンを実施している場合もあり、交渉次第で数万円以上抑えられるケースもあります。
複数の不動産会社に査定を依頼し、手数料やサービス内容を比較するのが無駄なコストを削減するポイントです。
印紙税
印紙税は、不動産売却において欠かせない費用です。
不動産売買契約書などの課税文書に対して課される国税で、契約書に収入印紙を貼付・消印して納税します。
印紙税の金額は契約金額に応じて段階的に定められています。
たとえば、売買金額が1,000万円超〜5,000万円以下の場合は1万円、5,000万円超〜1億円以下の場合は3万円が目安です。
印紙税は、売主・買主のどちらが負担するかについて法律上の明確な規定はなく、一般的には契約の取り決めによって分担されます。
契約書を2通作成し、それぞれが印紙を貼付する形が一般的です。
なお、印紙税には軽減措置が設けられており、一定期間内に作成される不動産売買契約書については税額が引き下げられるケースがあります。
電子契約を利用すれば、契約書が紙で作成されないため印紙税は不要です。
近年は電子契約を導入する不動産会社も増えていますから、印紙税を節約するなら電子契約がおすすめです。
登記費用
不動産売却の際には、登記に関する手続きが必要となり、登記費用が発生します。
おもにかかるのは「抵当権抹消登記」と「所有権移転登記」の2つです。
住宅ローンを完済している場合でも、不動産に抵当権が設定されていれば抹消登記をおこなう必要があります。
抹消登記に対する登録免許税は、1不動産につき1,000円と比較的安価ですが、司法書士に依頼する場合は2万円〜3万円前後の報酬が発生します。
また、売主の住所変更登記が必要になるケースもあり、その場合も数千円〜数万円の追加費用がかかるため注意が必要です。
所有権移転登記は買主がおこなうのが一般的であり、売主が直接費用を負担するケースは少ないですが、契約条件によっては一部を負担します。
司法書士への依頼費用は物件の価格や地域によって異なるものの、5万円前後が目安です。
複数の司法書士事務所に相談すれば、報酬額を比較してコストを抑えられる可能性もあります。
測量費用
戸建てや土地の売却では、測量費用が発生する場合があります。
測量とは土地の正確な面積や境界線を確認し図面を作成する作業です。
売却前に測量を依頼するケースが一般的で、以下のような種類があり、方法によって費用が変動します。
● 現況測量
● 確定測量
● 地積測量
測量の費用は相場として35万円〜45万円程度が目安ですが、隣接地の所有者立ち会いが必要な境界確定測量になると100万円を超えます。
また、都市部や土地の形が複雑な場合では費用が高くなりがちです。
測量のメリットは、買主とのトラブル防止だけでなく、正確な面積に基づいた売却価格を設定できる点にあります。
費用を抑えるには、複数の測量事務所に見積りを依頼して比較しましょう。
売却する物件が小規模であれば簡易測量で済む場合もあるため、必要に応じてどのレベルの測量が適切かを不動産会社や測量士に相談すると安心です。
ハウスクリーニング・修繕費用
不動産を売却する際、物件の印象を左右する重要なポイントがハウスクリーニングや修繕の有無です。
購入希望者が最初に目にするのは内覧時の状態であり、清潔感や手入れの行き届き具合が売却スピードや価格交渉に大きな影響を与えます。
一般的なハウスクリーニングの費用は、間取りや広さによって異なりますが、マンションや戸建て全体で6万〜20万円程度を目安にしてください。
とくに水回りは購入希望者のチェックの目も厳しいため、重点的な清掃が可能なハウスクリーニング会社へ依頼しましょう。
また、壁紙の張り替えやフローリングの補修といった軽微な修繕は、数万円から対応可能です。
ほんの少しの修繕で物件の印象を大きく改善できます。
一方、大規模なリフォームをおこなうと費用は数百万円におよびますが、投資した分が必ずしも売却価格に反映されるとはかぎりません。
そのため、売却前のハウスクリーニングや修繕はしたほうがいいですが、過剰な投資は避けるのがおすすめです。
引っ越し費用
不動産売却にともなう引っ越し費用は、売却ばかりに気を取られていると見落としやすいコストです。
費用は荷物の量・移動距離・引っ越し時期・作業内容によって大きく変動しますが、数万円は見込んでおく必要があります。
とくに、引っ越し費用は繁忙期(3月・4月)や週末に料金が高くなる傾向があります。
長距離間での引っ越しや大型家具の搬入・搬出がある場合はさらに費用が増えると考えてください。
節約するなら、複数の引っ越し業者から見積りを取り、料金やサービス内容を比較しましょう。
荷造りや組み立て家具の解体、梱包などを自分でおこなえば、費用をさらに抑えられます。
荷物の量を減らすために不要品を処分したり、リサイクルショップで売却したりするのも効果的です。
また、引っ越しのタイミングを売却計画と調整し、売却完了後すぐに新居に移れるようにスケジュールを組むと、二重家賃や仮住まいの費用を避けられます。
計画的に準備を進めれば、引っ越し費用を無理なく抑えつつ、スムーズな住み替えが可能です。
不動産売却の費用を安く抑える方法!控除や特例、軽減制度の活用術
不動産売却は、売却にかかる費用を事前に把握して手を打っておくと手取り額を増やせる可能性があります。
ここでは、控除や特例の活用、仲介手数料や付帯費用の節約方法などを具体的に解説します。
3,000万円特別控除を活用する
マイホームを売却して利益が出た場合、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる「3,000万円特別控除」が利用可能です。
税負担を大幅に軽減できる制度で、売却益が500万円の場合、控除を適用すれば譲渡所得税や住民税はゼロになります。
利用に際しては居住用不動産である・過去に同じ特例を利用していないなどの条件はあるので、適用可能かどうかは事前に調べておきましょう。
所有期間による軽減税率の特例
5年以上所有した不動産を売却した場合、譲渡所得税・住民税の税率が軽減される「長期譲渡所得の軽減税率」を活用できます。
短期譲渡(5年以下)は合計税率39.63%ですが、長期譲渡(5年超)は20.315%に軽減されるのがポイントです。
これにより、売却益が出た場合には税負担を半分程度に抑えられ、3,000万円特別控除と組み合わせれば、手取り額を最大化できます。
節税のためには、所有期間の確認と控除の適用条件を事前にチェックしましょう。
買換え特例・相続財産売却の特例の活用
不動産を売却して新たな住宅を購入する場合、「買換え特例」を利用すると譲渡所得税の繰り延べができます。
相続した土地や建物を売却する場合は「相続財産売却の特例」を活用し、一定の条件下で譲渡所得税や住民税の軽減をしましょう。
これらの特例は適用条件が細かく決められており、売却物件の種類や所有期間、相続状況によって利用可否が変わります。
これらの特例を利用する場合には、節税効果を最大限に引き出すために、売却前に税理士や不動産会社に確認してください。
仲介手数料の交渉・複数社査定
不動産売却では、仲介手数料が大きな費用になるため、交渉や複数社の査定を活用した節約が可能です。
まず、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、手数料やサービス内容、販売戦略の違いを比較できます。査定額だけでなく、広告費の負担や営業担当者の対応も確認すると、総合的に納得できる会社を選べるでしょう。
また、契約形態によっては仲介手数料の交渉が可能です。
「一般媒介契約」を選べば複数社で売却活動ができるため、手数料割引の交渉余地が広がりますし、成功報酬型契約や特定条件下での値引きも検討でき節約につながるケースもあります。
売却価格や物件の特徴に応じて合理的な交渉をおこなえば、トラブルなく手数料を抑えられます。
信頼できる会社を選びつつ、無駄なコストを削減するよう気を付ける点が、売却後の手取り額を増やすポイントです。
不要なリフォームや修繕を避ける
不動産売却では、大規模なリフォームや修繕は必ずしも必要ではありません。
過剰な投資は費用がかさむだけでなく、売却価格に見合わないケースも多く、手元に残る利益を減らす原因になります。
内覧時に好印象を与えるためには、壁の軽微な傷や水回りの汚れをきれいにする、ドアやサッシの動作確認をおこなうといった最低限の清掃や小規模な補修で十分です。
必要な修繕内容は物件の状態や購入希望者の目線により異なるため、不動産会社と相談して効率的に優先順位を決めましょう。
購入者が自由に手を加えられるように、あえて大規模リフォームは避ける戦略もあります。
計画的に必要最低限のリフォームだけをおこなえば、売却にかかる費用を抑えつつ物件の魅力を最大限に引き出せます。
不動産売却にかかる費用と手数料の最新相場を土地・住宅・マンション別に比較
不動産売却にかかる費用は、物件の種類によって差があります。
戸建て・土地・マンションそれぞれで、発生しやすい費用や相場を比較しておくと、売却計画が立てやすくなるためおすすめです。
ここでは、売却価格3,000万円を例に、最新相場をシミュレーションします。
戸建ての売却費用・手数料の目安
事前に「どの費用をいつ支払うのか」を整理しておくと安心です。
不動産会社に支払う仲介手数料は、売却価格が400万円を超える場合、「売却価格の3%+ 6万円+消費税」です。
支払いは売却が成立し、物件の引き渡しが完了したあとにおこなうため、事前に準備しておくと安心です。
売買契約書に貼る印紙税は、売却価格が1,000万円を超える場合に課税されます。
登記費用は、自分でおこなえば数千円で済みますが、手続きが複雑で何度も役所に足を運ぶ必要があり、ほとんどの人は司法書士に依頼します。
依頼時は報酬額を確認しておくとスムーズです。
土地の境界が不明確な場合は測量費用が必要となり、35万〜45万円程度が目安ですが、測量会社によって費用は前後するため事前に見積りを取りましょう。
内覧時の印象を良くするためのハウスクリーニングや軽微な修繕費も発生します。
物件の状態によって費用は変動しますが、高額になる場合は、そのまま売却するのも選択肢の1つです。
土地の売却費用・手数料の目安
戸建て住宅と同様に仲介手数料・印紙税・登記費用が発生します。
仲介手数料は戸建てと同じで、1,000万円の土地なら約36万円(税込)が目安です。
支払うタイミングは売却成立後が基本です。
売買契約書に貼る印紙税も必要で、契約金額に応じて課税されます。
土地には建物がないため、ハウスクリーニングや大規模な修繕は基本的に不要ですが、土地の整地や草刈りなどをやっておけば買い手の心象もよくなるでしょう。
さらに、土地の境界や面積を明確にするために測量費用が必要になります。
目安は35万〜45万円程度ですが、測量会社によって前後するため、事前に見積りを取ってください。
マンションの売却費用・手数料の目安
マンションを売却する場合も、おもな費用は仲介手数料・印紙税・登記費用となります。
仲介手数料は、2,500万円の物件なら約81万円(税込)が目安で、支払いは売却成立後が一般的です。
印紙税は売買契約書に貼付する必要があり、契約金額に応じて税額が決まります。
登記費用は、抵当権抹消や所有権移転手続きに必要で、専門知識が必要なため多くの人は司法書士に依頼します。
マンションの場合、建物の共用部分や設備の清掃・軽微な修繕も必要になるケースがあり、目安は5万〜20万円程度です。
内覧時の印象を整えれば、早期売却や価格交渉を有利に進められます。
まとめ
不動産売却では、仲介手数料・印紙税・登記費用・測量費用、ハウスクリーニングや修繕費・引っ越し費用など、さまざまな費用が発生します。
費用は物件の種類や状態によって変動するため、戸建て・土地・マンションごとに目安を把握しておきましょう。
また、3,000万円特別控除や長期譲渡所得の軽減税率、買換え特例といった税制優遇を活用すれば、税負担を抑えて手元に残るお金を増やせます。
さらに、仲介手数料の交渉や複数社査定、過剰ななリフォームの回避などの工夫で、費用を効率的に節約可能です。
事前に費用の内訳や相場を整理し、比較・計画的に対応しながら、安心してスムーズに売却を進めてください。