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不動産売却にかかる税金は?
種類と概要を踏まえ・税負担を軽くする特例を解説
2025.10.17

● 今度、手持ちの不動産を売ろうと考えているが税金が気になる
● 不動産の所有期間に応じて税率が変わると聞いたけど本当?
● 税負担を軽くする不動産売却時に使える特例は?

不動産は、売却して利益が出ると税金を払わなければなりません。
何もしないでいると税額はどんどん膨れ上がるので、できれば軽減税率や特例など使えるものを使って税負担を軽くするのがおすすめです。
本記事では、不動産売却にかかる税金の種類と概要、そして税負担を軽くするための工夫について解説します。

この記事でわかること

● 不動産売却時に発生する税金の種類と概要
● 不動産売却で税金がかからないケース
● 節税や減税の大きな一歩となる特例について

はじめに

不動産を売却すると、いくらか税金がかかります。
譲渡所得(利益)が出た場合は所定の税率をかけて課税額を計算しますが、所有していた期間によっても税率は約20〜40%の範囲内で変動します。

また、契約書の作成に対して支払う印紙税や、不動産の所有権や抵当権の移転にともなう登録免許税、諸手続きに対してかかってくる消費税などがあり、思いの外、税金が高いとわかるでしょう。

不動産売却は、大きな利益が入る可能性があると同時に、大きな税負担がともなうため、こうした制度を理解し、条件に合った特例の活用が重要です。

不動産売却時に発生する税金の種類と概要を徹底解説

不動産を売却するときには、利益が出ていれば税金が課されます。
税金の税率は所有期間によって左右され、5年がボーダーラインです。

また、不動産売却にも欠かせない契約書の作成に対しても税金は課され、土地や建物の所有権や抵当権に関わる手続きにも税金がかかります。
不動産売却時に発生する税金にはどのようなものがあるのか、種類とその概要についてみていきましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合に課される税金です。
分離課税が適用され、不動産を譲り渡して得た利益に対して課税される、所得税の一種になります。

計算方式は、譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除額です。

譲渡所得税は、譲渡所得×所有期間ごとに設けられた税率をかけて求められます。
所有期間が5年を超える長期譲渡所得に該当すれば税率は15%、所有期間が5年以下の短期譲渡所得になる場合は30%です。

復興特別所得税

2013〜2037年までの取引については、通常の住民税と所得税とは別に復興特別所得税が課されます。
東日本大震災の復興を支えるための財源として確保された税金です。
復興特別所得税も譲渡所得税と同様、分離課税が適用されます。

住民税

住民税とは地方税であり、所得税や復興特別所得税と同じように分離課税方式で計算されます。
税率は、不動産の所有期間によって異なり、長期譲渡所得(5年超)の場合は5%、短期譲渡所得(5年以下)の場合は9%です。
住民税の納付は不動産取引のあった翌年度、6月以降の納税額に反映されます。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記手続きの際にかかる税金です。
売却時に抵当権がついていた場合は、その抹消登記をおこなう必要があり、通常は土地・建物それぞれで約1,000円の登録免許税がかかります。

また、不動産が誰かの手に渡ったと新しく示すための所有権移転登記は、買主が主導して進めます。
しかし、既存の登録内容の抹消やそのほか処理に要する登録免許税および手数料は売主側の費用となるケースが大半です。

印紙税

印紙税は、売買契約書など不動産取引に使う契約書類の作成に対する税金です。
契約書に記載された取引金額(不動産の価格)に応じて税額が決まり、金額が大きくなるほど印紙税も高くなります。

たとえば、不動産売買契約書(第1号文書)なら、記載金額が1,000〜5,000万円以下の場合、本来なら印紙税は2万円です。
軽減措置の対象であれば1万円となるケースがあります。

消費税

消費税は、建物や仲介手数料、司法書士への報酬などにかかります。
基本的に、消費税は不動産を売った際の売却額(とくに土地部分)にはかかりません。
土地の譲渡は消費税法で非課税であると決められているからです。

ただし、先に述べた諸費用や解体費用などといった建物の譲渡や諸手続きには消費税がかかります。
また、売主が法人・事業者である場合や事業用の不動産取引では法人税が関わってくるため、不動産取引における消費税の課税対象については事前に確認しておくのが無難です。

譲渡所得税や住民税はどれくらい?税率や計算例で理解しよう

実際に、不動産を売却した際の譲渡所得と住民税はどのくらいかかるのでしょうか。
ポイントは、所有している期間が何年になるかです。
所有期間は不動産を売却した年の1月1日時点でカウントされ、5年以下なら短期譲渡所得、5年を超えると長期譲渡所得になります。
税率が変わる点も踏まえて、以下のケースでそれぞれいくらの税金がかかるか見ていきましょう。

● 取得価格:3,500万円
● 取得時の諸費用:150万円
● 売却価格:4,000万円
● 売却時の諸費用:120万円
● 固定資産税評価額:3,800万円

短期所有(所有期間5年以下)の場合

譲渡所得税が短期譲渡所得になる場合、税率は以下のとおりです。

● 所得税(復興特別所得税を含む):約30.63%
● 住民税:9%

つまり税率は合計で39.63%になります。

まず、譲渡所得は売却価格(4,000万円)から取得価格と売却時の諸費用と取得時の諸費用を差し引いた額なので(3,500万+150万+120万円)230万円です。
230万円に税率の39.63%をかければ、約91万円の譲渡所得税がかかってきます。

長期期所有(所有期間5年超)の場合

一方、譲渡所得税が長期譲渡所得になる場合、税率は以下のとおりです。

● 所得税(復興特別所得税を含む):約15.315%
● 住民税:5%

つまり税率は合計で20.315%になります。
先ほどの条件に照らし合わせると、譲渡所得は230万円で、税率20.315%をかけると約47万円です。

ちなみに、印紙税は売却価格が4,000万円で1,000万円超〜5,000万円に該当するため2万円となり、登録免許税は固定資産税評価額×1.5%のため、3,800万円×1.5%=57万円になります。

不動産売却で税金がかからないケースと非課税になる条件を解説

一般的に、不動産を売却して利益がでれば譲渡所得税や住民税が課されますが、一定の条件さえ満たせば税金が発生しないケースもあります。
売っても利益が出ない(ゼロ以下になる)場合や取引対象となる不動産が何に使われていたかで扱いが変わってくると考えてください。
不動産売却において非課税となる条件について解説します。

売却益が出なかった(譲渡所得がゼロ以下)になる場合

不動産売却で売却益が出なかった状態とは、売った価格から取得した費用と売りに出す際にかかった諸費用を差し引いた金額がマイナスになる状態です。

具体的には、不動産購入時の値段の方が売却時の値段よりも安かった場合や、売却益が出たものの諸費用がかかってしまい利益が相殺されてしまうパターンになります。
利益が出ていなければ確定申告もする必要がなく、納税の義務は発生しないものと考えてください。

3,000万円特別控除が使えるマイホームを売却する場合

譲渡所得は、取引対象となる不動産がマイホームである場合、最大で3,000万円を控除できる特別控除制度があります。
居住していた住宅であるか、過去2年間のあいだに同じ制度を利用していないかなどが条件です。

この特例を使えば、売却益が3,000万円以内であれば課税所得はゼロになります。
2,500万円の利益が出ても控除で相殺されるため、課税所得の計算において大きく影響を及ぼす特例です。

取得費加算の特例が使える相続した家を売却する場合

相続がきっかけで取得した不動産も、所定の期間内に売却してしまえば相続税の一部を不動産の取得費にあてられる特例があります。
譲渡所得の計算式でもわかるように、不動産の取得費用がかさめばその分、譲渡所得が減るため、課税額も圧縮できるのです。

とくに、相続が発生するタイミングでは相続税も課せられます。
課税額を少しでも減らせるよう、取引については前向きに検討するのがおすすめです。

公共事業のために土地を売却する場合

同じ不動産売却でも、不動産を売るに至った理由が道路建設や区画整理などといった公共事業である場合は、譲渡所得税が非課税になる可能性があります。
当該制度の条件は、事業を推し進めているのが国や自治体であり、公共性の高いプロジェクトであるかどうかです。
最大で5,000万円の控除が受けられる制度となっています。

不動産売却時に使える節税・軽減税率のおもな特例一覧と活用ポイント

不動産を売れば大きなお金を手にできる反面、何もしなければ多額の譲渡所得税や住民税が課されるでしょう。
ここからは、税負担を大きく軽減できる特例について解説します。
活用のポイントもあわせてお伝えするので参考にしてください。

マイホーム売却時の3,000万円の特別控除

ご自身が住んでいた家を売るなら、3,000万円の特別控除を活用しましょう。
譲渡所得から最大で3,000万円が控除できるので、課税額を減らせます。
活用のポイントは、自らが住んでいた家だと証明できる点です。

注意していただきたいのが、親子や親族といった親しい間柄での取引は認められないため、諸条件を確かめてから売却しましょう。

所有期間10年超の軽減税率の特例

マイホームは、所有期間が10年を超える場合にのみ、譲渡益6,000万円以下の税率が通常より低い14.21%で計算されます。

たとえば、譲渡益が7,000万円出れば、6,000万円までは14.21%で残りの1,000万円に対する税率が20.315%です。
しかもこの特例は、マイホーム売却時の3,000万円特別控除とも併用できるため、大きな節税効果が期待できます。
所有期間の判定は売却年の1月1日現在でおこなわれるので、制度を利用する場合は売却時期について冷静に見極めましょう。

譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

不動産を売ったものの、売却価格がローン残高を下回るなどして譲渡損失が出た場合は、損失を給与所得などほかの所得と相殺できます。
さらに控除は3年間繰り越してできるようになるのが、損益通算および繰り越し控除の特例です。

新築を建ててから最大で13年間受けられる住宅ローン控除との併用はできませんが、オーバーローン(売却益が出ない状態)で売却する場合に有効な救済措置です。

居住用財産の買換え特例

居住財産の買い換えは、住み替えに対する特例です。
マイホームを売却して、新しい家を購入した場合、譲渡益への課税を将来に繰り延べられる制度になります。

しかし、この特例は課税されるタイミングを引き延ばすだけでどのみち税金は支払わなければなりません。
新居を売却する際に前の住まい分と新居分の両方で課税される点に要注意です。

相続した空き家を売った時の3,000万円特別控除

被相続人(故人)が一人暮らしで住んでいた家を、一定の条件で相続人が売却した場合に利用できる制度です。
利用にはいくつか条件があり、耐震リフォームを施しているか、または更地にして売却しているかが条件となります。
こちらも譲渡所得から最大で3,000万円の控除が可能です。
空き家対策を目的とした特例であり、相続した不動産を売りたいと考える方に有効な手段です。

相続税の取得費加算の特例

相続開始から3年10か月以内に引き継いだ不動産を売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できます。
これも譲渡所得を下げる方法であり、結果的に課税額を抑えられます。
とくに、相続税が高額となれば、その分、差し引かれる取得費に加算されるため、大きな節税効果のある制度です。

まとめ

不動産売却では、利益が出れば何らかの税金が課せられます。
もちろん、売却益が出なければ不動産取引は非課税となります。
しかし実際は多少なりとも利益が出てるケースが多いため、税負担を軽くする措置についてはきちんと把握しておきましょう。

またマイホームや相続によって取得した不動産売却については、大きな控除があります。
公共事業のために不動産を手放す場合は、最大で5,000万円の控除が受けられるのでぜひ、事前に調べておくのがおすすめです。



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