不動産売却時の必要書類とは?
準備するタイミングと取得方法を解説2025.05.29
● 不動産売却時に必要な書類はなに?
● 必要書類はいつ用意すれば良いの?
● 必要書類の取得方法は?
不動産を売却するときには、さまざまな書類の提出が求められます。
必要書類が事前にわかっていれば、手続きをするときに慌てずスムーズに用意ができるでしょう。
そこでこちらの記事では、不動産売却時の必要書類とはなにか、必要書類を準備するタイミングや取得方法を解説します。
これから不動産売却を検討している方は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。
この記事でわかること
● 査定・情報提供に必要な書類
● 契約締結に必要な書類
● 所有権移転に必要な書類
● 確定申告に必要な書類
不動産売却の必要書類:全体像と取得方法
不動産売却時にはいくつもの書類が必要です。
手続きが完了するまでに、どのような書類がどのタイミングで必要になるのか覚えておきましょう。
まず、売却する不動産が一戸建て・マンション・土地によって必要書類は異なります。
どの物件であっても必要となるのが以下の書類です。
● 登記済証(権利証)または登記識別情報
● 本人確認書類
● 固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
● 印鑑証明書
● 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
● 住民票
● 抵当権抹消書類
このほかに、物件によって必要となるのがこちらです。
● 物件の間取り図
● 確認申請書、確認済証、検査済証
● 土地測量図・境界確認書
● 管理規約やパンフレットなど
それぞれの書類について詳しくみていきましょう。
登記済証(権利証)または登記識別情報
登記済証(権利証)または登記識別情報とは、物件の所有者が記載されている書類です。
所有権の登記をしたときに法務局から発行されるもので、所有権がある人しか持っていません。
この書類によって、所有者本人であると証明できます。
本人確認書類
不動産売却時には本人確認のための書類は欠かせません。
本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートや各種健康保険証の提示が求められます。
所有している本人確認書類を用意しましょう。
所有者が複数人いる場合には、全員の本人確認書類が必要です。
遠方に住んでいる場合などは、書類を用意するのに時間がかかってしまう可能性があるため、事前に準備しておいたほうが良いでしょう。
固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
固定資産税や都市計画税は1月1日時点の所有者に課税されます。
売却時には、すでに固定資産税や都市計画税の支払いを終えているケースがほとんどです。
固定資産税や都市計画税は、売買契約時に買主と精算ができます。
金額の根拠として、通知書の写しがあると良いでしょう。
通知書は毎年5月中旬ごろに郵送されてきます。
紛失してしまった場合、納税通知書の再発行はできません。
金融機関で納付手続きをしていれば、納付書の再発行は可能です。
金融機関や対象の課税事務所に連絡をして、再発行の依頼をしましょう。
印鑑証明書
印鑑証明書とは、実印が役所に登録されているものかを証明するための書類です。
不動産売却時には契約書に実印を使用しますが、その印鑑が登録されているものである証明のために必要となります。
印鑑証明書は各市区町村役場で発行できます。
マイナンバーカードを持っていれば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに設置されている専用端末での発行も可能です。
印鑑証明書には有効期限があり、発行から3か月以内となっています。
期限が過ぎてしまうと、再取得が必要になるため取得のタイミングには注意しましょう。
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
固定資産税納税通知書には、固定資産税の納税額と不動産評価額が記載されています。
買主との税額負担の割合を決めたり、登記費用の計算をしたりするのに必要な書類です。
固定資産税納税通知書は、毎年所有者宛に送付されています。
手元にない場合には、担当の市区町村役場で発行してもらえる「固定資産税評価証明書」でも問題ありません。
住民票
所有権移転や登録免許税を計算するときに住民票が必要となります。
また、現住所が登記上の住所と異なる場合にも提出が求められます。
印鑑証明と同じように、各市区町村役場で発行可能です。
マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアでも発行できるので、とても手軽に発行ができます。
発行から3か月以内の有効期限があるため、取得のタイミングには注意してください。
抵当権抹消書類
住宅ローンを組んでいた場合、不動産に抵当権が設定されている可能性があります。
抵当権が設定されたままでは売却ができないため、抵当権を抹消したと示すためには、抵当権抹消書類が必要です。
抵当権抹消書類には、「登記事項証明書」「登記識別情報または登記済証」「登記原因証明情報」などがあります。
登記事項証明書は法務局の窓口やオンライン申請で発行できます。
登記識別情報または登記済証は、金融機関が保管している書類のため、ローンを完済すると金融機関から送られてくるのが一般的です。
登記識別情報または登記済証は再発行ができない書類のため、紛失しないように十分注意しましょう。
登記原因証明情報はローン完済を証明する書類で、金融機関から発行されます。
物件の間取り図
一戸建てやマンションを売却するときには、物件の間取り図を用意しましょう。
物件を購入するときに受け取っているもののため、手元にあるか確認が必要です。
土地のみの売却時には、間取り図は必要ありません。
確認申請書、確認済証、検査済証
確認申請書は新築時に確認申請をおこなったときの書類です。
確認申請が通ったら確認済証、竣工時の検査が通ったら検査済証が発行されます。
建物が法律に則って建てられた、安全性のある家である証明となるため提出が必要です。
不動産購入時、引き渡しのタイミングで渡されている書類で、物件の価値を判断するために使われる場合もあります。
紛失してしまった場合には、「建築計画概要書」で代用可能な場合があります。
建築計画概要書は建築指導窓口などで閲覧や発行の申請ができますが、自治体によって手続きの方法が異なるため確認が必要です。
一戸建てのみ必要な書類で、マンションや土地のみを売却する場合は必要ありません。
土地測量図・境界確認書
一戸建てや土地の売却時には土地測量図・境界確認書を提出してください。
隣家との境界をはっきりしておかないと、のちのトラブルにつながるため買い手が見つかりにくくなってしまいます。
測量図自体は法務局の窓口やオンラインで取得できます。
所有者以外でも誰でも閲覧や取得ができる書類です。
古い物件の場合境界があいまいになっている可能性があるため、売却前に測量をおこなったほうが良いでしょう。
測量をおこなうと、測量図や確認書を作成してもらえます。
管理規約やパンフレットなど
マンションの売却時には管理規約やパンフレットなど、入居者のルールなどがわかる書類が必要です。
購入後の生活に関する大切な情報となるため、購入希望者への提示が欠かせません。
マンションを購入したときに受け取ったパンフレットがあれば、マンション全体の情報やお部屋のイメージも想像しやすいので用意しておくと良いでしょう。
ほかの書類のほとんどは入居時に配布されていますが、手元にない場合はマンションの管理会社に相談してください。
一戸建てや土地の売却の際には、これらの書類は必要ありません。
【売却初期〜媒介契約時】査定・情報提供に必要な書類
たくさんの必要書類がありますが、初期段階ですべてが必要となるわけではありません。
売却活動の最初の段階である、査定・情報提供に必要な書類はこちらです。
● 登記済証(権利証)または登記識別情報
● 土地測量図・境界確認書
● 物件の間取り図
● 管理規約やパンフレットなど
● 本人確認書類
● 確認申請書、確認済証、検査済証
初期段階である「査定時」には物件の方法がわかる書類が必要です。
土地や建物についての詳細がわかるような書類を用意しましょう。
査定後に媒介契約を結ぶときには、本人確認書類や確認申請書、確認済証、検査済証が必要です。
所有者本人である点や、建物や土地がきちんと検査されているかを確認されます。
【売買契約時】契約締結に必要な書類
買い手が見つかり、売買契約を締結するときには、物件の設備状態を記載した「付帯設備表」や「告知書」が必要です。
一般的に不動産会社が用意し、売主は記載するのみです。
そのまま残していく設備や、設備の状態などをしっかり記載しましょう。
設備において売却後にトラブルが発生した際に、付帯設備表や告知書に記載されていたかが重要なポイントになります。
書類ではありませんが、契約を締結するときには実印が必要となるので、忘れないようにしましょう。
【引き渡し・残代金決済時】所有権移転に必要な書類
契約が締結したら、次は引き渡しです。
物件を引き渡すときに、所有権移転の手続きもおこなわれます。
このタイミングで必要となる書類は以下のとおりです。
● 登記済証(権利証)または登記識別情報
● 固定資産税、都市計画税納税通知書の写し
● 固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
● 住民票
● 印鑑証明書
● 土地測量図・境界確認書
● 抵当権抹消書類
必要書類のなかには、有効期限が決まっているものもあるため取得のタイミングには注意してください。
所有権を移転するためには、所有者の本人確認以外に、不動産の情報が必要です。
所有者と不動産の両方の情報を確認できる書類の提出が求められます。
【売却後】確定申告に必要な書類
不動産売却は、引き渡したらすべて完了するわけではありません。
不動産売却後には確定申告が必要になるケースもあるため、確定申告に向けて用意する書類があります。
● 確定申告書
● 住民票
● 売却物件の売却時の売買契約書(コピー)
● 売却物件の購入時の売買契約書(コピー)
● 仲介手数料、印紙税などの領収書(金額が分かる書類)
不動産を売却して譲渡所t九が発生した場合や、特例を利用する場合には確定申告が必要です。
確定申告のための申告書は税務署から入手できます。
確定申告のための書類は、「確定申告書B」「確定申告書第三表(分離課税用)」「確定申告書付表兼計算明細書(譲渡所得の内訳書)」の3種類です。
そのほかの書類は自分で用意しなくてはなりません。
住民票は有効期限に注意して発行しましょう。
売買契約書はコピーを用意し、契約時に発生した仲介手数料や印紙税などの領収書はなくさないように保管しておいてください。
特例を利用するための必要書類は、利用する特例によって異なります。
多く使われる3,000万円の特別控除では「確定申告書付表兼計算明細書」と「住民票」、軽減税率の特例では2点のほかに「売却資産の登記事項証明書」も必要です。
まとめ
不動産売却時にはたくさんの必要書類があります。
所有者の証明をするための書類や、不動産の内容を示すための書類など、その種類はさまざまです。
所有者が複数人いる場合には、全員分の書類を用意しなくてはなりません。
住民票や印鑑証明書など、市区町村役場などで手軽に発行できるものですが、有効期限があります。
有効期限を過ぎてしまうと、再度取り直しとなってしまうため、必要なタイミングに合わせて用意しましょう。
不動産売却時だけではなく、売却後には確定申告に向けて書類を用意しなくてはなりません。
不動産売却によって利益が発生したり、特例を利用したりする場合には、確定申告を忘れずにおこないましょう。
売却時に発行される契約書や領収書が必要となるため、申告まで大切に保管しておいてください。
スムーズに不動産売却ができるように、必要書類について理解しておくと良いでしょう。