不動産売却の進め方!
スムーズな手続きに欠かせない予備知識や事前準備とは2025.05.22
● 不動産売却の進め方について予備知識や事前準備はどこまで必要?
● 不動産売却手続きの進め方について知りたい
● より早く、より高く売るにはどうすればいい?
不動産売却の進め方は、不動産を所有するきっかけや売却理由によって若干異なります。
より早く・高く売るためには、売却パートナーに指名する不動産会社選びを慎重におこなったほうが良いでしょう。
この記事では、不動産売却の進め方や事前準備などについて解説しているので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
● 不動産売却を進める際の予備知識と事前準備
● 不動産売却手続きの基本的な流れ
● 不動産の売却手続きをよりスムーズにする方法
はじめに
不動産売却の進め方については、ほとんどの不動産会社に共通する一般的な流れがあります。
一連の流れをまとめると、仲介役となる不動産会社を選定して、売却活動を経て、売買契約の締結・引き渡しまでと手続きが流れていくでしょう。
具体的なステップは以下のとおりです。
1. 査定を依頼する
2. 査定を受ける
3. 媒介契約を結ぶ
4. 売却活動を進める
5. 売買契約を結ぶ
6. 引き渡し
7. 確定申告をおこなう
しかしながら、不動産会社が売却実績を豊富に持っているか、エリアにおける知見と売却にまつわるノウハウがあるかどうかで、売却の進み具合は変わってきます。
スムーズに不動産売却を進めたい、できれば高く売りたいなら、事前準備を徹底しましょう。
また、売却後の税務についても留意する必要があります。
多くの場合、不動産売却をおこなったあとは確定申告をおこなわなければならず、その手続きについてもご自身で事前に流れを把握しておくと安心です。
さらに、不動産会社にそうした諸手続きのサポートサービスがあれば、より確実かつ手軽に売却手続きが進められるでしょう。
不動産売却をするにあたっての予備知識
不動産売却の進め方は、不動産会社との媒介契約(パートナーシップ)をどのように結び、どのような売り方を選ぶかによって詳細が異なります。
不動産売却の流れの全体像を把握するためにも、契約形態と売り方について事前に把握しておきましょう。
不動産会社との媒介契約は専任・専属専任・一般の3種類
一般的に不動産を売りに出す場合は、事前に不動産会社と媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約は、専任契約と専属専任契約、一般契約の3種類があり、それぞれの違いは以下のとおりです。
不動産会社との契約形態 | 契約する不動産会社 | 契約期間 |
専任契約 | 一社のみ | 3カ月 |
専属専任契約 | 一社のみ | 3カ月 |
一般契約 | 複数社可 | 定めはなし |
専任契約と専属専任契約は、パートナーシップを結ぶ不動産会社を限定する契約形態です。
売却活動における売主の自由な行動は制限されるものの、その分、短期集中で売れるための手厚いサポートが受けられるでしょう。
また、専任契約と専属専任契約については、売主への売却活動の進捗における報告義務も法令によって以下のように頻度が定められています。
● 専任契約:2週間に1回以上
● 専属専任契約:1週間に1回以上
一般契約については、法令で定められる報告義務そのものがありません。
さらに、レインズといって国が運営する不動産情報のポータルサイトへの物件情報を登録する義務についても、契約形態によって度合いが異なります。
● 専任契約:7日以内に掲載しなければならない
● 専属専任契約:5日以内に掲載しなければならない
● 一般契約:法令で定められていない
つまり、一社から不動産売却に向けた手厚いサポートを受けるなら専属専任契約や専任契約で、自分でも売却の可能性を模索するなら一般契約を結びましょう。
不動産を手放す方法は仲介・買取・任意売却の3つ
不動産を手放す方法は大きく分けると、仲介・買取・任意売却の3つです。
仲介は、不動産会社に仲介を依頼し、買い手となる個人を探してもらう方法になります。
買取は、不動産会社に直接、当該不動産を買い取ってもらう方法です。
買主が不動産会社になるため、複数回の内覧や買い手との交渉といった諸手続きを踏まずにすぐさま物件が売却できます。
任意売却とは、ローンの支払いを滞らせて競売にかけられてしまう際、少しでも持ち主の自由意思を尊重するための売却方法です。
基本的には仲介を依頼しながら、売れなかった場合の対策方法として買い取りを選ぶと考えてください。
不動産売却を進める際の事前準備
不動産を売却するための事前準備は、売り方によっても異なります。
それぞれの売り方における事前準備の進め方についてみていきましょう。
仲介の場合
仲介で不動産を売却するなら、売却相場をご自身でも把握しておく必要があります。
理由は、不動産会社が提示してくる査定額が相場よりも高いか安いかを自分で判断できる必要があるからです。
一般的に、不動産売却では相場価格と大きく乖離しすぎない、適正価格での売り出しが推奨されます。
高い物件であればなかなか買い手がつかず、安すぎる物件についてもいわくつきの物件ではないかと買い手の無用な不安を煽ってしまうでしょう。
売却価格については、不動産会社によるアドバイスも期待できますが、いくらで売り出すかの最終判断は売り手の判断にゆだねられます。
いくらで売るべきかの判断軸を自分なりに持つためにも、売却相場については把握しておきましょう。
買取の場合
買取の場合は、不動産売却に向けた事前準備は徹底的な買取業者のリサーチになります。
一般的に、不動産を買取業者に買い取ってもらう場合、売却価格は仲介で売った場合の8割ほどです。
その代わり、確実に売却できて不動産を即座に現金化できる大きなメリットがあります。
つまり、買取業者が提示した売却価格で取り引きが成立するため、納得のいく見積りを出してくれる買取業者に依頼するほうが無難です。
不動産を手放す方法として買い取りを選ぶなら、事前準備として徹底的な買取業者のリサーチが必要となるでしょう。
不動産売却を進める際の手順や流れ
ここからは、不動産売却がどういった流れで進められていくかを見ていきましょう。
不動産売却は具体的に以下の7ステップに分けられます。
1. 不動産会社に査定を依頼する
2. 査定を受ける
3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
4. 売却活動に着手する
5. 売買契約を結ぶ
6. 引き渡し
7. 確定申告をおこなう
売却を始めてからの期間の目安は、査定を依頼してから媒介契約を交わすまでが約2週間~1カ月です。
その後、売却活動に着手してから売買契約を結ぶまでの期間が、約1〜3カ月と見込まれます。
不動産会社に査定を依頼する場合は、最低でも2〜3社に依頼しましょう。
見積り査定はあくまでも、不動産会社が提示する「このくらいで売れるであろう予測金額」です。
査定と同じ価格で売れるとは限りませんが、売却価格は査定額に近い金額になるはずで、いわば“不動産会社が自信をもって売れると見込んだ価格”といえます。
また、売却活動中は積極的に内覧を受け入れましょう。
買い手は間取りや不動産情報だけではなく、実際の物件を見て物件の状態を見極めたいと考えます。
まだ、ご自身が生活を送っている間だからこそ、他人が足を踏み入れるのに躊躇する気持ちも理解できますが、売るために内覧は必須です。
媒介契約を結んだ不動産会社にアドバイスをもらいながら、積極的に受け付けましょう。
【ケース別】不動産売却の進め方
不動産を売りたいと考える場面は、マイホームを売る以外にもあります。
ここからは、ケース別の不動産売却の進め方について見ていきましょう。
相続による不動産売却の進め方
相続によって手にした不動産を売却するなら、進め方として守るべきは、相続人全員の合意が得られるかと売りに出すタイミングです。
財産の分配は、遺言書がない場合は遺産分割協議を経てからおこなわれます。
この場合、相続人はもう確定しているからと勝手に自分の相続分を想定して売却手続きを進めないようにしましょう。
不動産を相続する場合、相続登記が終わるまでは相続が完了していません。
勝手に自分の相続分を決めて手続きをしてしまうと、ほかの相続人とのトラブルが予想されます。
相続した不動産の売却手続きは、相続人全員の合意が得られた後から売却活動に取り組みましょう。
離婚による不動産売却の進め方
離婚や調停中に不動産売却をする際の進め方は、不動産の名義が誰であるかを明確にし、夫婦間で売却する意思を固めたうえで手続きを進めましょう。
家は婚姻期間中の共有財産とみなされるため、離婚時に財産分与の対象になります。
ただ、夫婦のどちらか一方が家に住み続けたいと望んだ場合は、財産分与について一から話し合わなければなりません。
そのため、離婚調停中でも不動産売却は可能ですが、ベストな進め方は財産分与をどのようにするか話し合ってからになります。
これを怠ると、いつまでたっても離婚が成立しない、理想的な取引ができない可能性があるため注意しましょう。
不動産売却を進めるうえでかかる費用や税金
不動産を売却する際は、売り方によりかかる費用が異なります。
仲介を依頼したときは、成約後に不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
宅地建物取引業法により上限額が定められていますが、媒介契約を交わす際に確認しておきましょう。
上限額の目安は、取引額が200万円以下の部分は取引額の5%以内、200万円超過〜400万円以下の部分が取引額の4%以内です。
それ以上は、取引額の3%以内になるなど計算がわかりにくいため、400万円以上の物件では、「取引額×3%+6万円」に消費税をくわえる式に当てはめます。
さらに、売り方に関わらず発生するのが、引っ越し費用です。
荷物の量や移動距離、依頼する時期などにより変動します。
税金も売り方に関係なく負担しなければなりません。
所有する期間内の固定資産税のほか、売買契約する際の印紙税は、所有者が負担する税金です。
住宅ローンが残っているときは、一括返済したうえで抵当権の抹消手続きする際に、登録免許税を納付します。
売却により利益が生じた場合は譲渡税の課税対象になるため、確定申告手続きにより納税するのが進め方です。
不動産売却で早く・高く売るための注意点
不動産売却における進め方について、よりスムーズに、より高く売るためにはどのような点に注意すればいいのでしょうか。
媒介契約を結ぶ不動産会社探しの段階から、売却活動中の注意点までを解説します。
地域に根ざした実績豊富な不動産会社を選ぶ
一般的に個人が不動産を売る場合、不動産会社に仲介役となってもらう必要があるため、売却手続きのファーストステップは不動産会社との媒介契約の締結からスタートします。
担当営業との相性も大事ですが、もっとも重視すべきは不動産会社の販売力です。
地元での取引実績が豊富で、長らく地域で親しまれてきた不動産会社であれば、より理想に近い売却価格で手続きが進められるでしょう。
不動産が売れるためにはどういった点をアピールすべきか、地域情報に精通した不動産会社からはより具体的なアドバイスがもらえます。
手数料の安さや手軽さだけを重視すると、かえって売れずに不動産の売却価格を下げざるを得ないような状況に陥ってしまいます。
住宅ローンの残債を確認する
不動産を売る際は、売却時にローンが完済できている必要があります。
売却益を返済にあてる予定であっても、明確に残債がいくらあるか、想定よりも低い金額で売れた際に支払いにあてられる預金が十分であるかを確認しておきましょう。
金融機関によっては、支払いが残ってもローンを引き継いで支払える場合もあるので、事前準備としてそういった手続きに対応しているかを確認しておくと安心です。
不動産会社がどこまでサポートしてくれるか確認する
不動産売却をおこなうとその翌年度に確定申告をおこなう必要があります。
とくに、相続や離婚といった背景があって不動産売却に踏み切った場合、やらなければならない手続きが煩雑になるケースも少なくありません。
結論、こうした状況に備えて、媒介契約を結ぶ不動産会社は手厚くサポートしてくれるところを選ぶのをおすすめします。
まとめ
不動産売却の進め方は、見積り査定を受けたのち、売却活動を経て売買契約の締結になります。
所有するマイホームを売る場合を基準にすると、相続や離婚がきっかけとなる売却手続きには確認事項や必要な手続きが増えると考えてください。
同じような進め方にはならない点に注意が必要です。
また、不動産売却のパートナーとなる不動産会社は、地域で長い間親しまれており、取引実績の豊富な会社を選ぶ必要があります。
なかなか売れない、相場よりも価格を下げなければ売れないときでも、実績豊富な不動産会社なら何らかの打開策を提示してくれる可能性が高いからです。
さらに、確定申告など不動産売却に紐づいてやるべき手続きについても、不動産会社によってはサポートしてくれる場合があります。
媒介契約を結ぶ不動産会社によって売却手続きの進め方の難易度は変わるため、よりスムーズに手続きができる不動産会社を選びましょう。