不動産売却で手元に残るお金はいくら?
諸費用や残るお金を増やすポイントを解説2025.05.15
● 不動産売却によってどのぐらい手元にお金が残るの?
● 手元に残るお金を左右する諸費用とはなに?
● 不動産売却で手元に残るお金を増やすポイントはある?
不動産売却をするとき、売却額のすべてを手元に残せるわけではありません。
売却時にかかる諸費用は、手元に残る金額を左右する重要なポイントです。
この記事では、不動産売却で手元に残るお金はいくらになるのか、かかる諸費用や計算方法について解説します。
手元に残るお金を増やすためにはどのようにしたらよいのかを把握しておくと、資金計画を正確におこなえるでしょう。
この記事でわかること
● 不動産売却で手元に残るお金とは
● 手元に残るお金を左右する諸費用
● 手元に残るお金を増やすためのポイント
不動産売却で手元に残るお金とはなにか
不動産売却が完了し、手元にお金が入ってきても、それがすべて自分のものになるわけではありません。
不動産を売却すると、さまざまな費用が発生するため、すべてを支払った残金が手元に残るお金となります。
不動産売却をしたときに支払う費用は「諸費用」と呼ばれるもので、内訳はさまざまです。
手数料や保険料、税金などがあり、必ずかかるものやケースバイケースでかかるものなど多岐にわたります。
なかには、要件を満たすと減額できるものもあるため、正しい手続きを踏むとよりお得に不動産売却が可能です。
おおよその諸費用を把握しておけば、手元に残るお金も計算しやすくなるため、売却後の資金計画がスムーズにできるでしょう。
手元に残るお金を左右する「諸費用」を徹底解説
先述のとおり、不動産売却時に手元に残るお金の増減を左右するのが「諸費用」です。
諸費用が多くかかってしまうと、いくら高く売れたとしても手元に残る金額は減ってしまいます。
反対に諸費用を抑えられれば、それだけ手元に残るお金を増やせるため、諸費用の内訳を把握しておくのは大切です。
諸費用には「必ずかかるもの」と「場合によって必要になるもの」があります。
それぞれの費用について見ていきましょう。
不動産売却時に必ずかかる諸費用とは
まず、不動産売却時に必ずかかる諸費用は以下のとおりです。
● 仲介手数料
● 印紙税
● 所有権移転登記費用
● 印鑑証明費用
上記4点は、どのような不動産であっても売却時に発生します。
マンションはもちろん、一戸建てでも土地だけでも、必要となる費用のためそれぞれをしっかり把握しておきましょう。
仲介手数料は不動産会社へ支払う費用で、契約が成立したら発生します。
印紙税は契約書に必要となる費用で、売却額によって金額が変動するものです。
所有権移転登記費用は売却額の2%ほどですが、司法書士に手続きを依頼した場合、司法書士への報酬が発生します。
また、印鑑証明は各市区町村役場の窓口、またはマイナンバーカードがあればコンビニエンスストアやスーパーマーケットでの取得が可能です。
自治体によって若干の違いはありますが、一般的に150円から300円程度が相場です。
不動産売却時に場合によっては発生する諸費用とは
次に、不動産売却時に場合によって発生する可能性がある諸費用がこちらです。
● 住宅ローンの繰り上げ返済手数料
● 譲渡所得税
● 土地の測量費
● 残置物処分費
● 引っ越し費用
住宅ローンの残債がある場合は、住宅ローンの返済をしなくては売却ができません。
その際、住宅ローンの繰り上げ返済手数料が発生します。
金融機関によって異なりますが、一般的に3万円程度が目安です。
また、不動産を購入したときよりも高額で売却できた場合、利益が発生します。
譲渡によって利益が発生した場合、利益部分に対して課税されるため譲渡所得税の支払いが必要です。
一戸建てや土地の売却時に、隣地との境界が不確定であったり、面積があいまいな場合には測量が必要になります。
境界がはっきりしないまま売却をすると、隣地とのトラブルの原因となるため、買手が見つかりにくくなってしまうでしょう。
費用が掛かっても、きちんと測量をおこない、境界をはっきりさせてから売却したほうが売りやすくなります。
さらに、空き家を売却するときなどは、残置物を処分しなくてはなりません。
残置物の量や種類により費用は変動しますが、10万円以上かかるケースが多いです。
忘れがちですが、住んでいる家を売却する場合には、新居への引っ越し費用も考えておきましょう。
引っ越し先や荷物の量などによって金額が決まりますが、10万円から30万円程が相場です。
上記は、あくまでも代表的なものであり、他にも個人によっては発生する費用があるので注意が必要です。
手元に残るお金の計算方法
不動産を売却して、手元に残るお金の計算方法はとてもシンプルです。
「(手元に残るお金)=(不動産を売った金額)ー(諸経費)」で計算できます。
しかし、いくら手元に残るのかは不動産が売れる前に知りたい方も多いでしょう。
不動産が売れる前では、いくらで売れるのか正確な金額はわかりません。
そこで、売却前に手元に残るお金の概算を出したい場合には、相場価格で代用します。
不動産の相場価格は、近隣にある似たような物件から確認しましょう。
似たような物件がいくらで売り出されているのか、不動産情報ライブラリなどに掲載されている成約価格がいくらなのかを調べてください。
ただし、売り出し価格は成約価格とは異なるので注意が必要です。。
一般的に売り出し価格は、値引きを考慮して高めの設定になっているので、掲載価格よりも1~2割安くなると思っておきましょう。
残るお金を多くするためにリフォームやハウスクリーニングは必要?
不動産を売却するときに、少しでもキレイにしておいたほうがよいのかと考える方は多いです。
なかには、リフォームやハウスクリーニングを検討する方もいます。
しかし、不動産売却時にリフォームやハウスクリーニングをおこなったからといって、査定額が大幅にアップするとは限りません。
場合によってはリフォーム代で赤字になってしまう可能性もあります。
水回りなど汚れが目立つ部分がある場合は、ピンポイントでリフォームやハウスクリーニングをおこなうのが、査定時に好印象を与えるので良いでしょう。
内覧時にも水回りを気にする方が多いので、キレイにしておくのはおすすめです。
モデルルームのような家を目指す必要はありませんが、自分が内覧する立場になったときに「この家に住みたいな」と思えるような状態を心がけてください。
手元に残るお金を増やすためのポイント
不動産売却時に手元に残るお金を増やすためには、2つの方法があります。
「売却額を高くする」または「諸費用を抑える」のがポイントです。
具体的にはどのような方法があるのか、詳しくチェックしてみましょう。
売却のタイミングを見極める
売却額を高くするには、不動産を売るタイミングを見極めるのが重要です。
不動産市場は流動的なため、売却のタイミングによっては価格に大きな差が出てしまいます。
たとえば、新生活をスタートするために、2月から3月にかけては不動産の需要が高まる傾向があります。
この時期に売却活動をおこなうと、ほかの時期よりも高値で売買できる確率が高くなるでしょう。
また、不動産の所有期間も重要です。
不動産の所有期間が5年を超えると、譲渡所得が軽減されます。
さらに10年を超えると軽減税率の特例も適用できるため、所有期間を明確にしておきましょう。
特例の活用
不動産売却時にはさまざまな特例を活用できます。
特例を活用すると、課税負担を軽減したり、課税を先送りにしたりできます。
不動産売却時に活用しやすい特例をいくつかご紹介しますので、適用できるかチェックしてみてください。
3,000万円特別控除の特例
居住用物件の売却時には、3,000万円特別控除の特例が活用できます。
これは、譲渡所得から最大3,000万円の控除が受けられる特例です。
3,000万円特別控除を適用後に、売却による利益が出ていなければ譲渡所得税が発生しません。
多くの場合、特別控除を適用すると課税対象にならなくなるため、手元に残るお金を増やす方法としてとても効果的です。
ただし、3,000万円特別控除を活用した場合、確定申告が必要となるため、売却した年の確定申告を忘れないようにしましょう。
軽減税率の特例
軽減税率の特例とは、所有期間が10年を超えるマイホームを売却するときに、譲渡所得税の税率が通常よりも低くできる特例です。
譲渡所得が6,000万円以下の部分においては14.21%、6000万円を超える部分においても20.315%になります。
軽減税率の特例は、前述した3,000万円特別控除の特例と併用可能です。
2つを適用すると、譲渡所得税の大幅な軽減ができるでしょう。
買い換え特例
買い換えの特例とは、マイホームを売却して、新しくマイホームを購入する場合に利用できる特例です。
要件を満たせば、売却したときに利益が出ても、譲渡所得税の課税を新居を売却するときまで先送りにできます。
特例の要件は「売却代金が1億円以下」「居住期間が10年以上であり、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている」などです。
ただし、この特例は3,000万円特別控除の特例との併用ができません。
どちらのほうが負担を軽減されるのかを比較し、どちらか一方を選択してください。
取得費加算の特例
相続などによって取得した不動産を一定期間内に売却したときに使える特例です。
取得費加算の特例を使うと、取得した不動産の譲渡所得を計算するときに、支払った相続税の一部を取得費用に加算できます。
相続税を支払った分の費用が控除されるため、譲渡所得税の軽減が可能です。
この特例を受けるためには、相続などによって取得したときに、相続税を支払っていなくてはなりません。
また、相続開始から3年10カ月以内に売却をしなくてはならないので、期限に注意してください。
諸費用を抑えるための事前準備をしっかりする
諸費用のなかには、自分でできるものや、事前準備によって節約できるものがあります。
かかる費用の詳細や節約のポイントなどを確認し、事前に準備しておくようにしましょう。
まず、登記費用は節約できる可能性が高いポイントです。
事前に司法書士と相談をして、報酬などの交渉をしておきましょう。
また、抵当権の抹消手続きや必要書類の取得など、自分でできる工程もあります。
自分でやってしまえば、手数料がかからず諸費用の節約になります。
しかし、専門的な知識が必要だったり、手間や時間がかかったりするため、自分の能力と自由に動ける時間があるかを見極めたほうが良いでしょう。
まとめ
不動産売却時に売却額がすべて手元に残ると思っていると危険です。
売却額から諸費用を引いた金額が手元に残るため、資金計画を立てるときには、手元に残るお金を計算しなくてはなりません。
諸費用には必ずかかるものと、場合によって発生するものがあります。
なかには自分でおこなえば費用が発生しないものもあるため、諸費用の内訳はしっかり把握しておいたほうが良いでしょう。
自分で対応する場合は、専門知識や時間が必要なものもあります。
自分の能力と時間の都合がつくかなど、しっかり見極めて行動しなくてはなりません。
事前準備をしっかりしておけば、手元に残るお金を増やせる可能性も高まるでしょう。