不動産売却で税理士へ依頼する際の費用はいくら?
依頼するメリットを解説2025.04.26
● 不動産売却にかかる税金の種類が知りたい
● 不動産売却において税理士へ依頼する際にどのくらいの費用がかかるのか知りたい
● 税理士に依頼するメリットが知りたい
ここでは不動産の売却を検討している方に向けて、売却後に税理士へ相談したほうがいいケースとは何かを解説します。
また、税理士の依頼費用の相場や内訳を述べつつ、税理士に依頼するメリットとデメリットを解説します。
この記事でわかること
● 不動産売却に関して税理士へ依頼したほうがいいケース
● 税理士へ依頼する際の費用の相場と内訳
● 税理士に依頼するメリットとデメリット
不動産売却にかかる税金の種類
不動産売却にかかる税金には、売却して利益が生じたときにかかるものと、不動産売却の手続きで必ず生じるものの2つにわけられるでしょう。
ここでは、売却時にかかる税金の種類を解説します。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、土地や建物を売った際の利益に対してかかる税金で、所得税と住民税、復興特別所得税が含まれています。
所得金額に税率を乗じて算出しますが、建物の所有期間によって税率が変わります。
売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下は短期譲渡所得に分けられ、長期譲渡所得のほうが税率が低いです。
印紙税・登録免許税
不動産売却では売買契約書を作成しますが、契約書をはじめとして課税文書に対して課税されるのが印紙税です。
契約書は売主と買主それぞれに1通ずつ必要になるため、2通分の印紙税がかかるでしょう。
なお、印紙税は書面に記載された契約金額により税額が変動します。
消費税
居住目的で所有していた不動産を売る場合は消費税はかからないですが、事業用不動産を売却した際は消費税がかかるでしょう。
借家とアパート、事業用のビルなど、事業目的で所有していた不動産が消費税課税の対象です。
なお、所有者が法人の場合に限らず、個人が事業目的で使用していた場合も課税される点に注意しましょう。
不動産売却で税理士に依頼すべきケース
不動産売却では専門知識が求められますが、不明な点が生じた際にどの専門家に聞けば良いのかわからないと不安に感じる方が多いです。
不動産売却において、税理士が対応できるケースは主に3つです。
確定申告に関する相談
確定申告とは、過去1年間で得た所得の合計金額を税務署に申告し、税金がいくらになるのかを確定する手続きとなります。
勤務先で年末調整している方は確定申告は不要ですが、不動産を売却した方や一定額以上の副業所得がある方は申告が必要になります。
しかし、何らかの事情で確定申告の手続きをする時間がない方がいるでしょう。
また、確定申告に慣れていない方であれば、申告するにあたって何から手を付けたらいいのかわからないと不安に感じる方も多いです。
税理士は確定申告の手続きや代理申請業務ができるため、もし確定申告でご不明な点がある際は税理士へ相談するのをおすすめします。
譲渡所得税の計算方法に関する相談
不動産を売却した際に譲渡所得が生じた際は、翌年の3月15日までに確定申告が必要となります。
譲渡所得税を算出する際は、所得税や住宅税がいくらなのか計算しなければならないです。
税務に慣れていない方だと、税金を算出するのに時間がかかったり、計算を間違えてしまったりする可能性が高いです。
もし、計算を間違えたまま確定申告すると様々な問題が生じる可能性があります。
税理士に依頼すると、所得税や住民税がいくらになるのかを正確に計算してもらえます。
節税の相談やアドバイス
不動産の売却では大きなお金が動くため、税金も高額となる可能性が高いです。
税金の支払いは義務ではありますが、できる限り支払額を少なくしたいと考える方が多いでしょう。
もし独学で節税を試みようとすると、誤った節税対策を実践してしまうおそれがあり、数年後税務調査に入ったときに最悪刑事罰になる可能性があります。
財務の知識が豊富な税理士に相談すると、個々の状況を分析して、その方に適した節税方法を提案してくれます。
税理士へ依頼した際の費用の相場
税理士に確定申告の手続きと申告を依頼した場合に、税理士の依頼費用がいくらなのか気になる方が多いです。
依頼費用の相場をきちんと理解していると、法外な報酬を税理士へ支払うリスクが減るでしょう。
ここでは税理士の依頼費用と費用が変動する要素を解説します。
税理士に確定申告を依頼した際の費用の相場
不動産売却後に税理士に依頼したときの費用は、3万円〜20万円が相場となります。
売却した物件の譲渡所得によって、以下の表のように依頼費用は変動するでしょう。
売却した物件の譲渡所得 | 税理士への依頼費用 |
1,000万円未満 | 3〜6万円 |
1,000万円~3,000万円未満 | 6〜12万円 |
3,000万円~5,000万円未満 | 12〜15万円 |
5,000万円~8,000万円未満 | 15〜24万円 |
8,000万円以上 | 24万円以上 |
譲渡所得が多くなると、申請の手続きが増え、税理士の作業量も増える点から依頼費用も高額になる傾向です。
依頼費用には、確定申告で必要な書類の作成費用や交通費、通信費、税務署へ手続きする際の諸経費が含まれています。
特別控除を利用した際の追加費用
不動産売却では譲渡所得税を控除する特例制度があり、特例制度を利用できれば不動産売却にかかる税金が抑えられ、金銭面での負担が減ります。
特別控除を利用する際は、下記の表のとおり税理士に追加の費用を支払う必要があるでしょう。
特別控除の種類 | 追加費用 |
居住用不動産売却にともなう軽減税率の適用 | 1万円 |
居住用不動産の譲渡損失の繰越控除 | 2万円 |
居住用不動産の買替での譲渡損失の損益通算 | 3万円 |
居住用不動産の3,000万円特別控除の特例 | 3万円 |
収用にともなう5,000万円特別控除 | 6万円 |
居住用不動産・収用・特定資産の買換え特例 | 8万円 |
なお税理士ごとに追加費用代は異なるため、税理士へ事前に確認しておくと安心できるでしょう。
税理士の依頼形式によって費用が変動する
税理士に依頼する際に確定申告だけ依頼するのではなく、顧問契約を結ぶ方法もあります。
顧問契約とは、一定期間税務の相談や代行など財務に関するサポートが受けられる契約となります。
顧問契約料の相場は個人事業主は月3万円以下で、法人であれば月5万円以上です。
注意点として、税理士の訪問頻度やサービス内容、法人であれば会社の規模によって顧問契約料は変わるでしょう。
もし確定申告だけではなく、様々な税務相談を受けたい場合は顧問契約がおすすめです。
申告の種類によって費用が変動する
確定申告には青色申告と白色申告の2つがあります。
帳簿の付け方や申告時の添付書類、記帳方法に違いがあり、青色申告のほうが帳簿の作成に手間がかかるため、税理士の依頼費用も高くなります。
青色申告での税理士の依頼費用は10万〜20万円、白色申告では5万〜10万円が相場です。
税理士の依頼費用を抑えるポイント
確定申告の業務をすべて税理士に委託するのではなく、依頼者自身で対応できるものは対応するほうがいいでしょう。
確定申告に必要な書類はある程度整理してから、税理士に依頼すると税理士の作業時間が減るため、依頼費用が抑えられます。
また、税理士に依頼する際に対面でのやり取りだと、自身が税理士事務所へ訪れたり、税理士が自宅へ訪問したりするのに交通費がかかります。
とくに自宅と税理士事務所間が遠方だと、宿泊費として依頼主へ請求されるケースが多いです。
その他に依頼費用を削減する方法として、メールや電話などのオンラインツールでやり取りすると直接訪問する必要がなくなり、交通費を削減できるでしょう。
メールでのやり取りは記録が残せるうえに、郵送費も節約できるためおすすめのツールとなります。
税理士へ依頼するメリットとデメリット
不動産売却での確定申告を税理士へ依頼するとどのようなメリットとデメリットがあるのか気になる方がいます。
ここでは税理士へ依頼する際のメリットとデメリットをそれぞれ3つ解説します。
【メリット①】自身で依頼するよりもミスが防げる
確定申告では、売買契約書をはじめとして様々な書類を用意しなければならないです。
税理士に頼らずに自身で確定申告すると、申告漏れや計算間違いで不要な税金を余計に支払ってしまう可能性が高いです。
たとえば、不動産仲介料や印紙代、測量代の一部は経費扱いになるにも関わらず、確定申告の申告誤りで税金を多く支払ったケースがあります。
もし不足分があると追徴課税や延滞税などのペナルティが生じて、さらに追加で支払う必要があります。
このように確定申告のミスがあると税理士の依頼費用よりも損する可能性があるでしょう。
税理士へ依頼すると書類の抜け漏れを心配せずに、正確に申告できるのがメリットです。
【メリット②】時間を節約できる
自身で確定申告する場合は、書類を作成したり、税務署を訪れたりするのに時間と手間がかかります。
確定申告に慣れていない方だと、確定申告の準備でかなりの時間がかかる可能性があります。
また、申告した内容に関して税務署から問い合わせや呼び出しの連絡が来る場合があり、何度も税務署を何度も訪れなければならない手間もあるでしょう。
税理士に依頼すれば確定申告に必要な書類を代わりに作成してくれるため、時間を有効に活用できるのがメリットです。
さらに、依頼者の代わりに税務署の窓口やe-Taxで提出もしてくれます。
もしe-Taxを使える環境がないときに、税理士が代わりにe-Taxで青色申告していれば、青色申告特別控除の65万円控除の制度も利用できるメリットもあります。
【メリット③】特別控除の見落としが減らせる
自身で確定申告した際に控除制度の見落としがあり、不要な税金を多く支払ってしまったケースが多いです。
とくに税金に関する法律は定期的に改正されるため、最新の情報を取り入れた状態で申請の準備をするのは大変です。
税理士は財務に関する最新の情報を取り入れており、専門家しか知らない節税のテクニックを知っています。
このように税理士に相談すると、今まで知らなかった制度や節税のアドバイスがもらえる可能性があります。
【デメリット①】税理士の依頼費用がかかる
自分で譲渡所得税の確定申告をした場合は無料ですが、税理士に依頼するとその分費用がかかるため、金銭面での負担がかかりやすいです。
どこまで税理士に依頼するかで、税理士へ支払う金額も大きく変わるでしょう。
税理士へ頼むメリットと依頼費用を比較検討しながら、税理士へ依頼するかどうかを決めるのが大切となります。
なお、税理士へ支払う費用は譲渡費用には該当しない点にも注意しましょう。
【デメリット②】税理士によって知識や対応に差がある
税理士は税の専門家であり、国家資格の1つではありますが、税理士にも得意とする分野と苦手分野があるでしょう。
もし、個人の所得税や法人税を専門とする税理士では、不動産取得税や固定資産税など不動産関係の税金は詳しくない可能性が高いです。
的確なアドバイスをもらえない場合もあるため、不動産売却の知識に長けている税理士を選ぶのをおすすめします。
知識や経験が豊富であるかは、事務所の公式サイトにて、具体的な実績数や過去の実例を掲載されているかが参考になります。
【デメリット③】確定申告や税金に対する知識が身に付きにくい
税理士に依頼すれば、税理士が代わりに確定申告の手続きをしてくれますが、任せきりにした分、確定申告に関する知識が習得しにくいです。
万が一確定申告が必要なときに、自身で対応するのが難しく、再度税理士に頼む可能性があるでしょう。
また、税務をすべて税理士に任せてしまうと、不動産売却において必要な税関係の知識も身に付きにくくなります。
まとめ
不動産売却において確定申告や譲渡所得税の計算方法、節税に関してご不明な点がある際に税理士に相談すると適切なアドバイスがもらえます。
不動産売却後に税理士に確定申告を依頼した際の費用は、3万円〜20万円が相場です。
譲渡所得や特別控除の利用、申告方法、税理士への依頼方法によって費用は変動するでしょう。