不動産売却で高く売るには?
不動産会社の選び方やタイミングを解説2025.03.17
● できるだけ高く不動産を売りたいけど、どうすればよいか分からない
● 不動産会社の選び方やタイミングに迷っている
● 売却の流れや費用が分からず、なかなか一歩が踏み出せない
不動産売却は、準備と戦略、タイミングの見極めが重要です。
この記事では、実際に売却を検討している方や準備中の方向けに、売却を成功に導くポイントを分かりやすく解説します。
この記事でわかること
● 不動産売却で高く売るための準備のポイント
● 売却戦略と不動産会社の選び方
● 売却のタイミングや税金・費用に関する基礎知識
はじめに
不動産売却で高く売るには、まずしっかりと市場の相場を理解し、複数の不動産会社に査定を依頼するのが重要です。
査定額や提案内容を比較すれば、自分の物件がどのくらいの価格で取引されるのか、より正確に把握できます。
また、売却のタイミングや物件の状態、そしてどの会社に依頼するかによって、最終的な売却価格が大きく変わります。
これらのポイントを意識して進めれば、高値での売却に近づけるでしょう。
不動産売却で高く売るための「準備」
高値での売却を目指すには、売却活動を始める前の準備が重要です。
正確な相場の把握や必要書類の整理、物件の第一印象を高める工夫など、事前の段階でどれだけ丁寧に準備できるかが、その後の成約価格や売却スピードに大きく影響します。
ここでは、準備段階で押さえておきたいポイントを解説します。
売却相場の把握をする
不動産を高く売るためには、まず自分の物件がどのくらいの価格で売れるのか、しっかりと相場を把握するのが大切です。
相場を知る方法としては、不動産ポータルサイトで近隣や類似物件の売却価格を調査したり、国土交通省の地価公示を確認してみましょう。
また、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、より現実的な価格帯を把握できます。
相場を知らずに売り出すと、安売りや売れ残りのリスクが高まるため、必ず事前調査を徹底しましょう。
売却に必要な書類をそろえる
スムーズな不動産売却を進めるためには、事前に必要な書類をしっかりと準備しておくのが重要です。
主な書類としては、不動産の権利関係や詳細情報を証明する「登記簿謄本(登記事項証明書)」をはじめ、所有者本人である確認をするための「身分証明書」や「印鑑証明書」などです。
税金関係を確認する際は「固定資産税納税通知書」「固定資産評価証明書」、さらに過去の売買契約書や建物の合法性・安全性を示す「建築確認済証」「検査済証」、間取り図・設備表、土地測量図・境界確認書などが挙げられます。
また、マンションの場合は「管理規約」や「長期修繕計画書」も必要となる場合があります。
以下の表に、主な必要書類とその用途をまとめました。
書類名 | 用途・備考 |
登記簿謄本(登記事項証明書) | 権利関係や建物・土地の情報を証明 |
身分証明書 | 本人確認用(運転免許証・パスポート等) |
印鑑証明書 | 契約時の本人確認・実印の証明 |
固定資産税納税通知書 | 固定資産税の納付状況を確認 |
固定資産評価証明書 | 評価額や課税明細の確認 |
売買契約書(過去のもの) | 過去の取引履歴確認(必要に応じて) |
建築確認済証・検査済証 | 建物の合法性・安全性の証明 |
間取り図・設備表 | 建物の構造・設備の確認 |
土地測量図・境界確認書 | 土地の面積や境界の確認 |
マンション管理規約 | マンションの場合に必要(必要に応じて) |
長期修繕計画書 | マンションの場合に必要(必要に応じて) |
書類が揃っていないと、手続きが遅れたり買主に不信感を与えてしまう場合があるため、早めに準備を進めておくのをおすすめします。
ハウスクリーニングで印象アップする
内覧時の第一印象は、売却価格に直結します。
徹底した清掃や整理整頓、必要に応じたハウスクリーニングをおこなって、物件の印象をアップさせましょう。
とくに水回りや玄関、窓などの清潔感は重視されます。
空き家の場合は、空き家再生支援サービスを提供している会社を利用すると、より高い評価を得やすくなります。
また、小さな修繕や照明の工夫も効果的です。
不動産売却で高く売るための「戦略」
しっかりと準備を整えたら、次は戦略です。
どの不動産会社に依頼するか、どのように物件をアピールするか、売却時期をどう見極めるかが大切です。
ここでは、高く売るための戦略の立て方を解説します。
複数社への査定依頼と比較
不動産をより高く売却したい場合、複数の不動産会社に査定を依頼し、各社の査定価格や販売戦略、サポート体制を比較するのが重要です。
なぜなら、会社ごとに査定基準や得意分野が異なり、同じ物件でも査定額に大きな差が出る可能性があるためです。
大手の不動産会社は全国的なネットワークや会社独自の広告力が強みですが、マニュアル的な対応になる場合もあります。
一方で、地域密着型や地元の会社は、地元情報や顧客との信頼関係に強みを持ちます。
こうした特徴を踏まえ、自分の状況や目的に合った会社を選ぶのが大切です。
また、最近では一括査定サイトを利用すれば、一度の申し込みで複数社に査定依頼ができ、手間なく比較検討が可能です。
相場感をつかみやすく、売却条件やサポート内容も比較しやすいので、失敗を防ぐためにも活用してみてください。
適正な売り出し価格を決める
高く売るためには、適正な価格の設定が重要です。
まず、周辺の相場価格や似ている物件の成約事例を調査し、現実的な価格帯を把握しましょう。
高すぎる価格設定は買い手が敬遠しやすく、逆に安すぎると損失につながります。
複数社の査定結果を比較し、なぜその価格なのか根拠を確認するのが大切です。
また、売却活動の初期はやや高めに設定し、反響や市場の動きを見ながら段階的に価格を調整する戦略も有効です。
最低売却価格を事前に決めておけば、値引き交渉にも柔軟に対応できます。
適正な価格設定と戦略的な値付けが、高値での売却への近道となります。
立地や設備の魅力を最大限にアピールする
物件の持つ立地、設備、周辺環境といった魅力を最大限にアピールするのは、不動産を高値で売却するために欠かせない要素です。
たとえば、駅から近い、生活に必要な施設が充実している、リフォームしたばかりである、最新の設備が導入されているなど、購入希望者が価値を感じやすいポイントを積極的に伝えましょう。
これらの情報を効果的に伝えるためには、物件の魅力を引き出す写真や動画を用意し、内覧時には実際に体験してもらうのが重要です。
また、周辺環境の情報も詳細に伝え、地域の利便性や魅力をアピールすれば、購入希望者の購買意欲を高められます。
さらに、これらの情報を効果的に伝えるためには、不動産会社の担当者と協力し、ターゲットとする購入希望者に合わせたアピールポイントを明確にするのが大切です。
不動産売却で高く売る「タイミング」
売却のタイミングは、価格や成約スピードに大きく影響します。
需要が高まる時期や、築年数・税制面で有利なタイミングを見極めれば、より高い価格での売却が期待できるでしょう。
ここでは、タイミングを見極めるポイントを解説します。
需要期を狙って売却する
不動産を高く売却するためには、需要が高まる時期を狙って売却活動をおこなうのが重要です。
一般的に、春(1~3月)と秋(9~11月)は新生活や転勤シーズンに重なり、多くの買主が積極的に物件を探し始めるため、市場が活発化します。
この時期は成約率が高まりやすく、価格交渉でも有利に進めやすいです。
逆に、夏や冬は需要が落ち着くため、売却に時間がかかる場合もあります。
需要が高くなる時期に合わせて早い段階で準備を始め、物件の魅力を最大限に整えておくと、より良い条件での売却が期待できます。
築年数や税制の有利なタイミングを見極める
築年数や税制の有利なタイミングを見極めて売却するのは、不動産の資産価値を最大限に活かすために重要です。
一般的に築年数が経過するほど建物の価値は下がりやすく、木造戸建ては築10年で資産価値が半分ほどに下落し、築20年を過ぎるとほぼ横ばいとなります。
とくに築22年を超えると、法定耐用年数を迎え、建物自体の価値はほぼゼロと見なされる場合が多いです。
また、税制面でも所有期間が5年を超えるかどうかで譲渡所得税の税率が大きく変わり、5年超であれば税率が下がるため、手取り額が増える可能性があります。
さらに、3,000万円特別控除などの優遇措置や控除の適用条件も事前に確認し、有利なタイミングで売却を検討するのが大切です。
下落リスクが高まる前に売却をする
不動産市場は景気や金利、社会情勢など外部環境の影響を大きく受けるため、価格が下落するリスクも常に存在します。
とくに、金利の上昇や人口減少、需要の低下などが見込まれる場合は、市場価格が下がる前に早めの売却を検討するのが賢明です。
また、空き家や管理が難しい物件、借地底地などは、維持コストやリスクが高まるため、資産価値が下がる前に売却すれば損失を最小限に抑えられます。
最近では、空き家再生支援などのサービスを活用し、物件の価値を維持しながらスムーズな売却も可能です。
市場動向を注視し、下落リスクが高まる兆しを感じたら、迅速な判断と行動が必要になります。
不動産売却で高く売却するための「税金と費用」の知識
売却価格だけでなく、税金や諸費用の知識も高値での売却には欠かせません。
手取り額を最大化するためには、事前に必要な税金や費用を正しく把握し、節税対策や費用計上をしっかりおこなうのが大切です。
ここでは、税金と費用に関する基礎知識を解説します。
売却時に発生する主な税金の種類
不動産売却時には、譲渡所得税や住民税などの税金が発生します。
譲渡所得税は、売却益(売却価格-取得費-譲渡費用)に対して課税され、所有期間が5年以下の場合には短期譲渡、5年超の場合は長期譲渡として税率が異なります。
短期譲渡所得は税率が高く、長期譲渡所得は税率が低く設定されているのが特徴です。
さらに、売却する物件がマイホームの場合、条件を満たせば特別控除や軽減税率の適用も可能です。
計算方法や必要書類は複雑な場合もあるため、早めに専門家や不動産会社に相談しましょう。
売却時に発生する税金の計算方法
不動産売却時の税金計算は、まず譲渡所得を算出し、そこから特別控除を差し引き、所有期間に応じた税率を掛けて所得税・住民税を計算します。
下記の表と例で流れを分かりやすくまとめます。
項目 | 金額(例) | 計算式・内容 |
売却価格 | 4,600万円 | 実際に売れた金額 |
売却諸費用 | 180万円 | 仲介手数料・登記費用など |
購入価格 | 4,000万円 | 取得時の価格 |
購入諸費用 | 150万円 | 取得時の仲介手数料・登記費用など |
減価償却費 | 0円 | 土地のみの場合は0円 |
特別控除 | 0円 | マイホーム特例などがなければ0円 |
譲渡所得 | 270万円 | (4,600万円-180万円)-(4,000万円+150万円) |
所得税 | 41.3万円 | 270万円×15.315%(長期譲渡) |
住民税 | 13.5万円 | 270万円×5%(長期譲渡) |
合計税額 | 54.8万円 | 41.3万円+13.5万円 |
【計算の流れ(長期譲渡所得の場合)】
1. 譲渡所得 =(売却価格-売却諸費用)-(購入価格+購入諸費用-減価償却費)
(4,600万円-180万円)-(4,000万円+150万円)=270万円
2. 所得税=270万円×15.315%=41.3万円
3. 住民税=270万円×5%=13.5万円
4. 合計税額=41.3万円+13.5万円 =75.2万円
このように、譲渡所得の計算方法と税率は所有期間や控除の有無によって異なります。
マイホーム特例が使える場合は、特別控除を適用してさらに税負担を軽減できます。
詳細は専門家や国税庁のシミュレーターを活用してください。
節税特例や控除を活用して税負担を軽減する
不動産売却時には、各種の節税特例や控除を活用すれば税負担を大幅に軽減できます。
代表的なのが「3,000万円特別控除」であり、マイホームを売却した場合に譲渡所得から最大で3,000万円までの控除が可能です。
ほかにも、所有が10年を超える場合の軽減税率や、買換え特例などが利用できるケースもあります。
これらの特例には適用条件や手続きがあるため、事前に内容を確認し、必要書類を揃えておくのが大切です。
節税効果を最大限に活用するためには、税理士や不動産会社など専門家への相談もおすすめです。
譲渡費用や諸費用をしっかり計上する
不動産売却時には、仲介手数料や登記費用、印紙税、引越し費用などさまざまな諸費用が発生します。
これらの費用は譲渡費用として譲渡所得の計算時に控除できるため、正確に計上すれば課税所得を減らして税負担を軽減できます。
たとえば、仲介手数料や測量費、建物の解体費用、契約書の印紙税などが対象です。
手取り額を事前にシミュレーションし、費用の見積もりや節約方法も検討しましょう。
費用の計上漏れがないよう、事前に明細を整理しておくのがおすすめです。
まとめ
不動産を高く売却するためには、まず市場相場の把握や必要書類の準備、物件の魅力を引き出す工夫が大切です。
そのうえで、複数の不動産会社への査定依頼や、売却タイミングの見極め、税金・費用の知識を持てば、手取り額を最大化できます。
空き家や任意売却、借地底地整理など特殊なケースも、専門サービスを活用すれば安心して進められます。
高値売却を目指す方は、信頼できるパートナーとしっかり相談し、納得のいく取引を実現しましょう。