不動産の相続登記は自分でできる?費用の内訳や安く抑える方法を解説2024.11.08
相続登記を自分でやってみたいけれど可能なのだろうか
相続登記をするのにどのような費用がかかるのか知りたい
相続登記をできるだけ安く済ませるにはどうすればよい?
この記事では、不動産の相続登記は自分でできるのかどうか、できるとすればどのような費用が必要なのかを解説します。
費用を抑える方法も併せて解説するので、相続登記をどうしようかお悩みの方はぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
相続登記を自分でできるのかどうか
相続登記にかかる費用の内訳
相続登記の費用を抑える方法
相続登記は自分でできる?
被相続人から不動産を相続した場合は、相続登記の手続きが必要です。
手続きには費用がかかるため、可能であれば自分で手続きを済ませたいと望む方は少なくないでしょう。
法改正により相続登記が義務化されたため、期限を過ぎてペナルティが課されないよう早い段階で対応しておくと安心です。
ここでは、相続登記の基礎情報を確認しておきましょう。
相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が死亡し、その不動産の登記名義を相続した方の名義に変更する手続きを指します。
相続登記は相続による所有権移転登記の1つで、これにより不動産の権利が被相続人から相続人に変更された旨が明記され、第三者に対して証明が可能になります。
なお、登記簿に記録されている不動産の所有者情報は、所有者が亡くなったからといって法務局側で名義変更をするわけではありません。
所有者が死亡した場合は相続人となる人が、相続した不動産を管轄する法務局にて、相続登記の申請手続きをおこなう必要があります。
相続登記は自分で手続きが可能
結論から述べると、相続登記の手続きは自分でおこなえます。
自分で手続きすれば、専門家に払う報酬分が浮くので大きな節約につながります。
極力お金をかけずに相続登記を済ませたい方は、相続登記にかかる費用の内訳や目安、必要書類などをしっかり確認しておきましょう。
なお、相続人が多いなど複雑なケースになるほど手続きの難易度も上がります。
途中で挫折してしまうケースも多いため、自分でおこなう自信がない方は、最初から専門家へ相談したほうが精神的な負担を減らせるでしょう。
時間と労力がかかるのがデメリット
不動産の相続登記は、権利関係を移行する重要な手続きとなるため、申請のルールが法律で細かく定められています。
必要な書類の数も多く、ルールに則って申請書を書く必要があるため、簡単な手続きとはいい難いのが実情です。
インターネットでどれだけ情報収集しても、実際に手続きに着手すると、わからない内容も数多く出てきます。
管轄の自治体に何度も問い合わせたり通ったりするケースも多いため、相当な時間や労力がかかる点を理解しておく必要があるでしょう。
3年以内の相続登記が義務付けされている
法律改正により相続登記が義務付けされたため、相続人が相続を認知した日から3年間の期限内に相続登記をしなければいけません。
正当な理由もなく期限内に相続登記をしなかった場合は、10万円以下の罰金が課されるため、相続を知ったら早目の手続きをおすすめします。
なお、義務化される前の相続でも、相続登記がまだの場合は施行日から3年以内の相続登記が求められるため注意しましょう。
相続人が複数人いる場合は、もっとも遅く相続を知った人が認知した日から計算されます。
よって、遺産分割協議で所有権を得た場合は、相続登記の遺産分割の日から3年以内に手続きしておく必要があります。
相続登記にかかる費用の内訳は?
相続登記の際には、書類取得のための発行手数料や登録免許税など、さまざまな費用がかかります。
ここでは、相続登記にかかる費用の内訳を解説します。
自分で相続登記をする場合と、司法書士などに依頼する場合でも変わってくるため、それぞれどのような費用が必要になるのかを理解しておきましょう。
費用の内訳
相続登記にかかるおもな費用は3種類あります。
● 必要書類の取得にかかる費用
● 登録免許税
● 司法書士など専門家への代理申請報酬
自分で手続きをする場合にかかる費用は、必要書類の取得にかかる費用と登録免許税の2種類です。
司法書士などに代理人になってもらう場合は、その費用に代理申請の報酬がプラスされます。
その他、問い合わせにかかる電話料金や書類取得と手続きのための交通費・郵便料金などの雑費も必要です。
少額の雑費でも、回数を重ねるほど金額が大きくなるので注意しましょう。
必要書類の取得にかかる費用
相続登記の手続きをする際、亡くなった人の戸籍謄本や住民票の除票、相続人の住民票などを申請書に添付しなければいけません。
役所などで書類を取得する際に発行手数料がかかるため、必要な書類は何か、どのくらいの費用がかかるのかをチェックしておきましょう。
● 戸籍謄本:1通450円
● 除籍謄本:1通750円
● 改製原戸籍謄本:1通750円
● 戸籍の附票:1通300円
● 住民票:1通200~500円
● 印鑑証明書:1通200~300円
● 固定資産評価証明書:1通200~400円
自治体により幅がありますが、手数料は1通数百円程度です。
1通あたりの金額は小さくても、相続登記では何枚も書類を準備する必要があります。
法定相続人が配偶者と子となる一般的な相続でも、10通ほど必要になるケースは少なくありません。
被相続人が本籍地を何度も変更していたり、相続する不動産や相続人が多かったりする場合はさらに枚数が増え、それに比例して費用も膨らみます。
なお戸籍謄本は、本籍地が遠方の場合や配偶者や子・父母・祖父母・孫など、本人以外の戸籍謄本も最寄りの役所でまとめて請求できます。
しかしながら、兄弟姉妹の戸籍謄本やデジタル化されていない戸籍謄本は請求不可となるため、本籍地の役所まで足を運ぶか郵送で依頼しなければいけません。
自治体によっては便利なコンビニ交付サービスも利用できるので、管轄の自治体へ個別に確認が必要です。
また、法定相続分・遺産分割協議・遺言など、登記原因により必要書類が異なるため、事前確認を怠らないようにしましょう。
登録免許税にかかる費用
登記を申請する際に、国に納める税金が登録免許税です。
いわゆる申請手数料に相当する登録免許税は、収入印紙を貼り付ける形で法務局に納めます。
納付しなければ申請が却下されてしまうため、手続きの際は金額を間違えないよう正しく計算して納付しましょう。
相続の場合の登録免許税の金額は、固定資産税評価額に税率の1,000分の4をかけて求められます。
固定資産税評価額は、毎年市役所から送付される納税通知書で確認が可能です。
たとえば固定資産税評価額が1,000万円であれば、登録免許税は4万円となります。
ただし、都市部のマンションなど高額な物件になると10万円を超えるケースも少なくありません。
また、遺言により相続人以外の人に不動産を遺贈する場合には、1,000分の4ではなく1,000分の20と税率が高くなります。
1,000万円のケースで計算すると、登録免許税は20万円と高額になってしまうため、登録免許税の税率には注意が必要です。
なお、一定の条件を満たせば登録免許税が非課税になるケースもあるので、該当するかどうかは相続に詳しい不動産会社などに相談されるとよいでしょう。
司法書士など代理申請にかかる報酬
依頼内容や地域にもよりますが、司法書士による代理申請の報酬相場は7〜15万円程度です。
ただし、司法書士の報酬には規定がなく、どこに依頼するかで金額が大きく左右されます。
そのため、正式依頼をする前に、見積りを取るなどして具体的な金額を提示してもらうと安心です。
一般的に、原則となる定額報酬が決まっていて、そこに相続人や不動産の数により金額が加算されていく形式が多いです。
なお、代理申請だけではなく、必要書類の取得や遺産分割協議書の作成なども依頼する場合は、別途費用がかかる可能性もあります。
相続登記にかかる費用を抑えるには?
相続登記にかかる費用を抑えたいときは、できるだけ自分で手続きをおこないましょう。
ある程度の時間や労力はかかってしまうものの、専門家に支払う代理申請の報酬を節約できれば大幅な費用削減につながります。
ここでは、自分で手続きをする方法を含め、費用を安く抑えたい方におすすめの方法を紹介します。
できるだけ自分で手続きをおこなう
費用をかけずに相続登記を済ませるなら、必要書類の準備から申請が受理されるまでの一連の手続きを、できるだけ自力でおこないましょう。
相続登記を司法書士などに依頼すると、代理申請で発生する報酬が費用の大半を締めてしまいます。
その作業を自分でカバーできれば、専門家へ支払う報酬をまるごと節約できます。
ただし、知識や時間がない場合は無理に自力で押し進めても漏れやミスが発生し、かえって二度手間になるケースが多いです。
そのため、たとえ司法書士へ依頼するにしても、必要書類を収集する、簡単な書類作成をおこなうなど、無理のない範囲で自分で対応するとよいでしょう。
オンライン申請を利用する
相続登記の手続きは、法務局に郵送または窓口にて申請する方法のほか、オンライン申請も利用可能です。
パソコンやマイナンバー対応カードリーダー、インターネット環境が揃っている必要がありますが、申請のために法務局へ出向く交通費や時間を節約できます。
ただし、オンライン申請では、相続登記の申請をインターネット上で完結できません。
申請そのものはインターネット上でできますが、一部の書類が電子文書での交付を受け付けていないため、添付書類の原本を持参または送付する必要があります。
登録免許税の免税制度を利用する
相続登記の免税制度を利用できれば、登録免許税を納める必要がなくなります。
登記の申請には登録免許税が課せられるのが原則ですが、一定の要件に該当する場合は、相続登記の促進を目的とした免税措置により非課税となるためです。
非課税となるケースは、相続登記を申請する前に土地を相続した人が亡くなった場合と、相続登記する土地の価額が100万円以下の場合です。
免税措置の対象は土地のみで、相続する不動産が建物のケースでは適応外となります。
また、免税措置の適用期間は2025年3月31日までと期限があるため、利用する場合は早めの対処を心がけましょう。
最初に司法書士など専門家に相談する
自分で手続きする場合でも、一連の流れを把握するために司法書士や不動産会社など、相続に強い専門家に相談しておくと無駄な費用の発生や手間を省けます。
簡単なアドバイスだけなら無料で対応してもらえる可能性もあります。
ただし、相続関係が複雑に込み入っているケースや不動産が未登記だったケースなどは、迅速かつ適切に対処してくれる専門家への依頼がおすすめです。
また、どうしても急を要するケースや遠方の不動産である場合、手続きの時間がない場合なども、専門家に任せたほうが安心でしょう。
まとめ
相続登記をする際は、必要書類の取得費用・登録免許税・司法書士などへの報酬が発生するため、手続きを自分でおこなうと大幅な節約につながります。
しかし、相続登記の申請は相当な時間と労力を要する作業になるため、司法書士や不動産会社など専門家に頼ったほうがよいケースもあります。
申請の際に修正や書類の補填が発生すると、より高額な費用がかかってしまう場合もあるため、一度専門家に相談して自分に最適な方法を検討してみてください。