実績紹介

借地権の地代相場とは?地代の計算方法やトラブル解決策を解説2025.01.07

借地契約を検討しているが地代の適切な金額がわからない
地代の相場はどのように計算するのだろうか
地代を滞納した場合は立ち退きもありえるって本当?

借地権の地代の設定の仕方がわからないとお困りの方へ、地代の基本や種類を含め、地代の計算方法と相場やよくあるトラブルと解決策まで解説します。

この記事でわかること

借地権の地代の基本
地代の計算方法と相場
借地権の地代に関するトラブルと解決策

借地権の地代とは?

借地権の地代は2種類あり、それぞれ計算式も異なるので、まずは言葉の意味や重要性を知って少しずつ理解を深めていきましょう。
ここでは、借地権の地代の基礎と種類を解説します。

借地権の地代とは

建物を所有する目的で、土地の所有者から一定期間土地を借りる権利を借地権といいます。
借地権を有するためには、借主が土地を借りる対価として地主に金銭を支払わなければいけません。
これを地代といいます。
借主が借地権を行使するために、地代は不可欠な要素です。
借地契約の重要な部分を占めるため、地主と借主のどちらも納得できるよう適正価格に設定されなければ契約は不成立に終わるでしょう。
そのため、貸主・借主の双方が借地権の地代相場や計算方法などの知識を身に着けておく必要があります。

権利金の有無で地代の種類が決まる

借地権の地代を計算するには、「権利金」を理解しないと始まりません。
権利金は礼金のような役割があり、借地契約の際に一時金として借主が地主へ支払う金銭です。

権利金の計算方法:土地の時価(更地価格)×借地権割合

借地権割合は、国税庁が定める路線価図・評価倍率表 にて確認できます。
該当の土地のページを見ると、「数字+A~G」で表記されているので、その割合をチェックしてみましょう。
A~Gの記号は、下記の表に対応する借地権割合を示しています。
たとえば土地の時価2,000万円で借地権割合70%の例では、2,000万円×70%で1,400万円となり、権利金の額は1,400万円と算出できます。

記号 借地権割合
A 90%
B 80%
C 70%
D 60%
E 50%
F 40%
G 30%

借地権の地代は、借地契約を結ぶにあたり、権利金の支払いをしたかどうかで2種類に分かれます。
それが、通常の地代と相当の地代です。

通常の地代

他人に土地を貸す土地は、「借地権」と「底地」に分けられています。
借地権とは、借りた土地に建物を所有する権利です。
一方の底地とは、地主が所有する土地から借地権を除いた土台部分を指します。
この底地部分を借りるための地代が「通常の地代」です。
一般的に借地契約の締結時に権利金を一括で支払いますが、権利金により購入できるのは借地権部分のみです。
借主が建物を建てるなどの土地利用をするためには、底地の使用料にあたる通常の地代を契約後に支払っていきます。

通常の地代:土地価額×(1-借地権割合)×6%

土地価額2,000万円で借地権割合が70%のケースを当てはめると、通常の地代は2,000万円×(1-0.7)×6%で36万円です。
つまり、このケースでは権利金1,400万円と通常の地代年額36万円の支払いが借主に発生します。

相当の地代

相当の地代とは、借地権と底地をあわせた土地全体の地代を指します。
親族間で取引する場合など、借地契約を締結する際に権利金の支払いがおこなわれなかったケースに発生します。
借地契約では権利金を支払うのが一般的ですが、親族や親族経営の会社などと取引する場合、権利金を支払わないケースは多いです。
この場合、権利金の認定課税により税金が課されます。
多額の課税を避けるため、権利金に相当する金銭として相当の地代を支払います。
なお、地主が不利益を被らないよう権利金の未払い分を地代で調整するため、通常の地代よりも高額設定です。

相当の地代:土地の価額×6%

たとえば土地価額を2,000万円と仮定すると、2,000万円×6%で120万円となります。
結果を見てもわかるとおり、権利金を先に支払う通常の地代と比較するとかなり高くなってしまいます。

地代の計算方法と相場

じつは、通常の地代と相当の地代は、借地権の相続時など相続税評価額を調べる目的で使われます。
借主から地主へ実際に支払われる地代は、公租公課や更地価格などを用いて、複数の計算方法を組みあわせて多角的に判断し決定されます。
地主も借主もお互いに損をしないためにも、地代の相場を把握する方法を確認しておきましょう。
ここでは、地代の適切な相場を設定するのに使われる主な計算方法を解説します。

公租公課を使った計算方法

公租公課とは国や地方が課す公的負担を意味する総称で、固定資産税評価額や地価公示価格などをいいます。

固定資産税評価額×(固定資産税と都市計画税の税率)×相場の倍率

固定資産税評価額は、毎年春頃に送られてくる固定資産税通知書の課税明細書に記載があります。
固定資産税・都市計画税に関しては自治体により増減するため、役場へ問い合わせたりインターネット調べたりして確認しましょう。
相場の倍率は以下を参考にしてください。

住宅地 固定資産税・都市計画税の約3~5倍
商業地 固定資産税・都市計画税の約5~8倍

通常、地主と借主で協議し、これらの範囲内で双方納得する金額を設定します。
行政が定めた公正な価値に基づいているので透明性があるのがメリットです。
ただし、公租公課は現在の市場の動きが反映されていない可能性もあるので注意しましょう。

更地価格を使った計算方法

更地価格は、「公示価格」や「基準地価」、および「相続税路線価」から算出できます。

公示価格または基準地価×面積×1.5~3%
相続税路線価÷0.8×面積×1.5~3%

公示価格は国土交通省が毎年決定している全国の標準地に決められた土地の価格で、標準地価は都道府県内が毎年基準値にて調査した土地の価格です。
また路線価は、相続税や贈与税の申告時に使う評価額で、国税庁により毎年7月1日に改定されています。
公示価格や基準地価は国土交通省のホームページから、路線価は国税庁のホームページから調べられるので確認しておきましょう。
ただし、公示価格や基準地価は全国、すべての場所にあるわけではありません。
調べたい土地そのものの相場ではなく、あくまで近隣地点の価格に基づく計算方法となるため、正確な相場ではない点に留意しておきましょう。

積算法を使った計算方法

積算法を用いた計算方法では、投資用に土地を購入する際に得る予想収益をもとに地代を算出します。
具体的には期待利回りを用いた計算方法です。
期待利回りとは、1年間で不動産投資に期待される利益の割合を意味し、土地価格の2%程度で計算されるのが一般的です。
期待利回りを乗じた金額に、税金や土地の維持管理費用、保険料などの経費を加算します。

土地買取価格×期待利回り+経費

なお、積算法を使って地代相場を調べるには、現在の土地買取価格を知らなければいけません。
期待利回りや経費も同様に、インターネットで調べるには限界があり、専門的な知識を要するでしょう。
一般の方が算出するのは容易ではないため、正確さを求める方は、借地権に強い不動産会社などへの相談がおすすめです。

収益分析法を使った計算方法

収益分析法は、個人ではなく事業用として土地を貸す際に使われる計算方法です。
具体的には、借主がその土地を活用してどのくらい収益を上げるかを分析し、地代の相場を求めます。

年間の予想収益+必要経費

収益分析法では、年間の事業収益のほか、立地条件や事業内容など総合的に見て判断をおこないます。
事業の売上高が見込めそうなら地代を高めに設定し、見込めなさそうなら地代を低めに設定します。
とくに、借地で店舗などビジネスを展開する場合、明確に利益がわかるのであれば有効な方法です。
その一方で、地主と借主だけで設定するには難しく、収益分析法を採用するのであれば、不動産会社など専門知識を持つプロを介した方がよいでしょう。

地代に関するトラブルと解決策

借地権のなかでも、とくに多いのが地代に関するトラブルです。
地代収入を得る地主だけではなく、相続税評価額に影響が出る借主にとっても他人事ではありません。
ここでは、地代にまつわるよくあるトラブルとその解決策を紹介します。

地代の滞納トラブル

固定資産税や管理費など、地主の損失を招きかねない地代の滞納は大きなトラブルになりかねません。
たとえば3か月以上と長期間滞納しているケースや、催告期限内に支払いがないケースでは、裁判によって借地契約の債務不履行解除が認められる可能性が高いです。
地代を滞納した場合の流れは以下のとおりです。
1.地代の催促状が届く
2.借地契約の債務不履行による契約解除の通知
3.土地明渡請求訴訟の提起

地代の滞納が長引くと地主・借主どちらにも負担がかかります。
病気や失業中など滞納の理由によっては、交渉次第で待ってもらえるケースもあります。
あるいは、借地権の売却を提案するのも1つの方法です。
まずは専門家などの意見も交えて、早い段階で地主に相談するのが望ましいでしょう。

相続税の増加トラブル

地代の額によっては相続税負担が増えるおそれがあるため、注意が必要です。
たとえば「相当の地代」が本来年額50万円相当の土地で、「通常の地代」として年額30万円で借りる地代設定をしてしまうと借主に利益が発生します。
利益の出る借地権は財産評価が高くなるので、結果的に相続税も高くなります。
そもそも借地権の相続や贈与によって相続税や贈与税が発生するのを知らない方も多いでしょう。
借主にとって大きな痛手ともなりかねないため、地代を設定する際は相場の確認が大切です。

地代の改定トラブル

地代は固定ではなく改定が可能です。
そのため地代の値上げが原因でトラブルになるケースも少なくありません。
地代が改定されるタイミングには、以下のような例があります。

公租公課が増額した場合
土地の価格が上がった場合
経済事情が変化した場合
周囲の類似物件と比べて地代が安過ぎる場合

地代をめぐって訴訟にまで発展すれば、手続きや準備に多大な時間と精神力を消耗します。
借主の同意を得るには、値上げの根拠を具体的に挙げてきちんと説明する姿勢が重要です。
また、段階的な値上げの提案なども、地代の値上げを受け入れやすくする有効な解決策といえます。
地代は環境の変化や土地の需要などさまざまな要因で変動するため、地代は下落も上昇もありえる点を理解しておきましょう。

まとめ

借地権の地代は、権利金を支払いの有無で、通常の地代か相当の地代になります。
地代の設定は地主と借主の双方に影響を与えるので、計算方法や相場を身に着けておくと借地契約をする際におおいに役立つでしょう。
地代の計算方法は1つに定義されておらず、独断で適切な地代を導き出すのが困難な場合も多いです。
契約締結をスムーズにするためにも、借地権の地代で困ったときは不動産会社などの専門家へ相談されるとよいでしょう。



 

CONTACTお問い合わせ

何をすればよいかわからない人も
一度現状をご相談ください。
お客様にあった解決方法をご提案致します。