空き家を相続する際の注意点とは?対策方法や活用方法を解説2024.11.08
空き家を相続するときに何をどうすべきかさっぱりわからない
相続した空き家をそのまま放置するとデメリットが多いって本当?
空き家をうまく活用したいけれど具体的にはどうすればいいの?
相続財産に空き家が含まれていてその扱いに困っている方へ、空き家を相続する際に知っておくべき注意点や役立つ対策方法、活用方法を解説します。
この記事でわかること
空き家を相続する際に確認するべき内容
空き家を相続する際の注意点と対策方法
相続した空き家を上手に活用する方法
空き家を相続する際の確認事項とは
空き家の相続が決まったときは、まず空き家の現状を把握しましょう。
空き家の資産価値や空き家の権利関係がどうなっているかによって、対処方法が変わってくるためです。
両親が亡くなって空き家となった実家を相続するケースは多く、空き家の対処に困っている方が急増しています。
対処に迫られたとき適切に対応できるように、空き家を相続した際にするべき行動をチェックしておいてください。
資産価値の有無
空き家の相続で考えるべき点は、資産価値があるかどうかです。
資産価値の有無によって対処方法が変わってくるため、どのくらいの価値があるのかを判断基準にします。
おもな選択肢としては、資産価値があり空き家を活用するパターンと、資産価値がなくいかにコストをかけずに処分するかを目的にするパターンの2つです。
資産価値が見込める空き家は買主を見つけやすく、希望価格で売却できる可能性が高いでしょう。
加えて資産価値の高い空き家は立地が良いなど住みやすい条件が揃っているケースが多いので、賃貸物件として活用しやすい傾向があります。
空き家の権利関係
相続人が1人ではなく複数人いるときは、その相続人すべてが空き家を相続する権利を有しています。
相続人が複数いる場合、個人では勝手に空き家の相続を進められません。
相続手続きをする際は、相続人全員の協力がなければ遂行できないため留意しておきましょう。
被相続人が遺言書を作成せずに亡くなった場合は、遺産分割協議をおこない、空き家の相続人を決めて権利関係を明確にしておく必要があります。
また、共有名義の不動産だった場合は、権利関係がややこしくなっているケースが多く、トラブルを生まないためにも不動産会社などへの相談がおすすめです。
空き家の維持・管理費
空き家は、所有しているだけでランニングコストがかかります。
人の手が入らない空き家は劣化のスピードが速く、状態を維持するためには適切に管理する費用と手間が必要になるからです。
空き家の窓を締め切ったままでいると湿気が溜まり、カビが発生して柱や壁を腐らせる原因にもなりかねません。
換気や掃除など定期的なメンテナンスには、修理費や往復の交通費などが必要になり、年間で計算するとそれなりの金額になります。
また、空き家に課せられる固定資産税などの税金も、維持・管理コストに加算されます。
高額の維持・管理費がかかってくる場合は、空き家の活用も視野に入れて今後の対応を検討する必要があるでしょう。
なお、コストがかかるからと空き家をそのまま放置するのは、さまざまなリスクをともなうため避けたほうが賢明です。
空き家を相続する際の注意点と対策方法
空き家を相続する際は、空き家に起因する近隣住民とのトラブルや、劣化による資産価値の低下など、さまざまなリスクが発生する点に注意しなければいけません。
とくに、相続したあとも適切な管理をせずに放置していると、空き家の老朽化が進むばかりか、税金負担が大幅に増える可能性もあります。
ここでは空き家を相続する際の注意点と対策方法を解説します。
空き家の放置リスクを理解し、状況にあわせてすみやかに対策を講じましょう。
近隣住民とのトラブルが起きやすい
放置された空き家に対して、近隣住民から苦情が出るケースは少なくありません。
荒廃した空き家は外壁が崩れ落ちたり、ガラスが割れていたりするなど周囲の景観を損なうだけではなく、不法侵入や放火など犯罪のターゲットにされやすいためです。
庭が荒れ放題になっていると、害虫を大量発生させたり害獣が住み着いて繁殖したりする危険性も高くなります。
ゴミの不法投棄がおこなわれる可能性も高く、治安悪化が深刻になれば、街の評判にも影響を与えるでしょう。
放置空き家が原因で地域の地価が落ちれば、近隣住民の反感を買い、トラブルに発展しやすくなります。
また、老廃した空き家は非常にもろく、小さな地震や台風でも塀が崩れたり屋根が飛んだりする危険性が高いです。
近隣の家を損壊させたり、通行人に怪我をさせたりした場合は、所有者が賠償責任を負う必要があります。
劣化により建物の資産価値が落ちる
空き家を放置した状態が続けば、建物の資産価値はどんどん落ちていきます。
戸建ての資産価値は、築10年で新築時の50%に半減、築20年で0%になるのが通説です。
とくに、人も住まず適切な管理もされない建物の劣化は急激に進むため、築年数が経過するほど資産価値は大きく下落します。
資産価値を落とさないようにするには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
固定資産税が重くなる可能性がある
たとえ住んでいなくても、空き家の所有者になれば固定資産税が課せられます。
敷地面積が200㎡以下の居住用の建物の場合は、小規模住宅用地の特例により固定資産税が軽減されるものの、継続的に税金を支払うのはやはりデメリットです。
また、倒壊のおそれや保安上・衛生上問題があると判断されると、「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家に指定された場合は、住宅用地の減額措置は受けられなくなり、最大6倍の固定資産税を支払わなければいけません。
3年以内に売却すると節税対策になる
相続しても住む予定や活用する気がなく、空き家の扱いに困る方は、空き家の売却も検討しましょう。
空き家は譲渡所得の特例が利用できる3年以内に売却し、節税対策につなげるのも1つの手段です。
相続した空き家を売却すると、売却利益に対して譲渡所得税が課せられます。
相続から3年以内で売却した場合、要件を満たせば最高3,000万円まで控除を受けられる特別控除を利用できるので、譲渡所得税の負担を大幅に減らせます。
居住用にするなら小規模宅地等の特例を検討
売却が難しい場合は、自身の居住用不動産として活用する方法もあります。
自分の手で建物を管理できるので維持・管理コストがかかりません。
特定空き家の指定も回避できるうえに、小規模宅地等の特例も適用し続けられるので、税金対策として有効です。
小規模宅地等の特例のなかでも「家なき子特例」が適用となるケースでは、空き家の評価額を最大80%も減額できるため、相続税負担を大きく抑えられるでしょう。
資産価値がなければ寄付や相続放棄の選択肢もある
活用が難しい空き家の場合、寄付や相続放棄で空き家を手放すのも選択肢の1つです。
寄付できるのは自治体・法人・NPO団体などで、なかには隣人に無償で譲るケースもあります。
ただし、法人や個人への寄付は、譲渡所得税や贈与税がかかる可能性があるので確認が必要です。
相続放棄をする場合は、すべての資産を相続できなくなるものの、空き家の管理や放置リスク、税負担などの煩わしさから開放されます。
あるいは更地にするなどの要件を満たせる場合は、相続した土地を国が引き取る相続土地国庫帰属制度の利用も検討の余地があるでしょう。
資産価値があるなら空き家を資産として活用
資産価値がある空き家なら、賃貸物件にしたり売却したりするなど、資産として活用する方法がおすすめです。
時間が過ぎるほど空き家の資産価値は下落する傾向があるため、今の状況と要望を照らしあわせ、できるだけ早い対応をするのが望ましいです。
資産として空き家を活用する場合は、初期費用だけで済むパターンもあれば、まとまった費用が必要になるパターンもあります。
空き家の入居者や利用者がいなければ収入を得られないリスクや、ローン返済が必要になるケースもあるので、10年後、20年後を見越して活用計画を立てなければいけません。
どの活用方法が最適なのか、素人では判断がつかないケースも多いでしょう。
選択に困ったときは、空き家相続に詳しい不動産会社などにアドバイスを受けながら進めていくのもおすすめです。
空き家の活用方法
資産価値があると判断される場合は、賃貸・建て替え・解体・売却など、さまざまな選択肢から希望や条件に合う活用方法を探してみましょう。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、ポイントを理解しておくと、空き家をどう活用するか判断しやすくなります。
ここでは、空き家の具体的な活用方法を解説します。
賃貸物件や民泊にして人に貸し出す
賃貸物件や民泊にして人に貸し出せば、空き家をそのまま活かせるので解体費などがかかりません。
第三者に住んでもらえれば家の劣化スピードを緩められるうえ、安定的な家賃収入を得られるのも大きなメリットです。
ただし、空き家の築年数や状態によってはリフォームやハウスクリーニングの必要があり、ある程度の初期費用は覚悟しておかなければならないでしょう。
アパートやマンションに立て替える
築年数の古い空き家を、アパートやマンションに立て替えてから活用する方法もあります。
新築物件は人気があり、空き家をそのまま貸し出すよりも入居者の確保がしやすいため、より多く安定した家賃収入が見込めます。
その反面、空き家の解体費と新しく建てる建築費がかかるため、かなり高額な費用を準備しなければいけません。
解体して更地にしてから活用する
居住や貸し出しの予定がない場合は、いったん更地にしてから活用するのもおすすめです。
解体費がかかりますが、更地になれば売却したり、駐車場にしたりするなどさまざまな活用方法があります。
なお、建物が解体されると、小規模宅地等の特例がなくなり固定資産税が高くなる点に注意しましょう。
売却する
資産価値のある空き家なら、売却すると大きな利益を得られる可能性が高いです。
空き家が売却できれば維持・管理費や放置リスク、固定資産税などの懸念事項もなくなります。
居住用や運用などを検討されないなら、3,000万円の特別控除を利用するためにも、早めの売却がおすすめです。
現金化を急ぐ際は、買い取り実績のある不動産会社に相談するとよいでしょう。
まとめ
空き家を相続する際は、まず資産価値の有無や権利関係、ランニングコストなどを確認しましょう。
空き家の維持や管理はコストや手間がかかるため、放置してしまう人も多くいます。
しかし、空き家の放置による近隣住民とのトラブルや、税負担などのリスクを避けるためにも早めの対策が必要です。
売却や貸し出しなどの活用方法があるので、空き家の売買に通じた不動産会社に相談しながら最適な方法を探ってみてください。