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兄弟で空き家を相続するリスクとは?注意点と実際にある事例を解説2024.11.08

空き家の相続で共有名義にしないほうがいいの?
兄弟で空き家を相続するときに注意するべきポイントは?
兄弟間での相続トラブルにはどのようなものがあるの?

ここでは兄弟で空き家を相続する予定の方へ、共有名義で土地や建物の所有権を得ると思わぬトラブルに発展する可能性と対策方法を解説します。

この記事でわかること

兄弟で空き家を相続したときにまずはじめにチェックするべきポイント
兄弟間での空き家相続をするべきではないといわれている理由
実際に起こりうる兄弟間での空き家相続のトラブル事例

空き家を兄弟で相続した場合にまずおこなうべきこと

兄弟で相続した空き家を共有名義で登記すると、トラブルになる可能性があります。
トラブルを避けるためには、相続をした場合にまずおこなうべき内容を確認しておく必要があります。

ここでは、空き家を兄弟で相続した場合にしておく必要がある内容を設営します。
基本的な3つの解決方法を把握したうえで、最適な手法を選択しましょう。

代表者が単独登記してほかの兄弟に換価分割する

兄弟での空き家相続では、多くの人が単独登記をして換価分割する方法を選択します。
複数いる兄弟のなかから代表者が空き家を単独名義で相続したのち、売却活動をして得られた譲渡所得を相続人全員で分配する方法です。
空き家を売却するには所有者全員の合意や印鑑・印鑑証明書など必要書類の提出が求められるので代表者1人で所有すれば手続きが簡易化されます。
売却までスムーズに進むうえ、一定の要件を満たしていれば相続税対策にもなります。

故に、兄弟で空き家を売却するのであれば、単独登記から換価分割する方法が一般的です。

ただし、代表者への負担が集中するので、販売活動でもほかの兄弟たちは積極的にサポートする必要があります。

兄弟間で共有分割する

空き家を兄弟間で共同所有する場合、現物分割と代償分割の2種類に区分されます。
現物分割は、空き家を物理的に分割して相続人がそれぞれ単独所有する方法です。

一方で代償分割は、代表者が単独所有してほかの相続人に金銭などの対価を支払う方法になります。

一般的な一軒家の場合は、物理的な分割がむずかしいうえ、それぞれが単独所有しても売却・運用・建て替えなどは独断でおこなえません。
空き家の場合は修繕が必要な状態になっている可能性がありますが、共有状態であれば全員の合意を得ないと修繕・リフォームもできないため手間が大きいです。
コスト面の削減効果はありますが、一部の相続人に負担が偏る可能性があるので、費用や管理の負担分担について書面で記録しましょう。

売却して現金化してから平等に分配する

兄弟で空き家を相続したときに、誰かが居住用物件として住んだり賃貸物件として第三者に貸し出す予定がなければ、早めに売却する選択を視野に入れましょう。
全員の意見が「売却する」で一致していれば共有名義の状態でも販売活動はスムーズにおこなえるからです。
空き家の売却には、代表者が単独登録して販売活動をする方法もあります。

しかし、リフォーム費用・仲介手数料などの費用面の負担などを平等にするために、共有名義で一度登録する選択もあります。
一定の要件を満たしていれば共有者それぞれが3,000万円の特別控除を受けられるので、単独名義で登録するよりも控除額が高くなる可能性がありお得です。
空き家に関わる税金の負担を少しでも減らしたい場合は、控除が受けられる方法を使用するのも良いでしょう。

空き家を兄弟で相続した場合のリスクと注意点は?

兄弟で空き家を相続するした場合にどのようなリスクが潜んでいるのかを把握しておくと、あらかじめ対処法を見出しやすいです。
空き家を相続した際にトラブルが起きて慌てないためにも、事前にチェックしておく必要があります。

ここからは、注意するべきポイントについて見ていきましょう。

管理や処分で揉める

空き家を兄弟で相続して共有名義の状態になった場合、将来的に空き家を売却・建て替え・修繕・賃貸運用しようとしたときに全員の合意が必要になります。
共有名義にしてすぐに売却できれば現金を平等に分配して解決しますが、しばらく放置すると兄弟同士で意見の食い違いが発生する可能性があります。
管理するにしてもリフォームや修繕には費用がかかるのでどれほどの規模でおこなうのかの話し合いも単独ではできません。

共有名義にするかどうかは、兄弟間で冷静に話し合いができる関係性であるかで判断するべきです。

金銭的に負担が偏る

空き家を兄弟で相続して共有名義になっている場合、固定資産税・都市計画税などの税金のほか定期的に管理費が発生します。
税金や諸費用の請求書は代表者宛に送付されるため、実質的に金銭の支払いをするのは代表者のみです。

民法では、税金や諸費用の支払いに応じない共有者に対するペナルティはありません。
本来であれば兄弟間で税金や諸費用の支払いを平等におこなうべきですが、時間が経つにつれて金銭的な負担が代表者にのしかかる可能性は否めません。

管理分担がむずかしい

空き家を兄弟で相続した場合、共有名義の全員に管理義務が発生します。

しかし遠方に住んでいたりすると、ついついほかの兄弟に管理を任せっきりにする癖がついてしまうケースが多いです。
誰も住んでいない家は経年劣化の進むスピードが早くなるので、資産価値を高く維持するためにも換気や通水のために定期的な訪問が必要です。

兄弟間で継続的な管理分担がむずかしいのであれば、トラブルにならないためにも代表者の単独登記や早期売却を検討したほうがよいでしょう。

空き家相続で発生する兄弟間のトラブル事例

いくつかのリスクや注意点をお伝えしましたが、実際に兄弟で空き家を相続したときに起こりうるトラブルの事例をお伝えします。

同じトラブルに見舞われないように気をつけましょう。

代償金なしでの単独相続を主張する兄弟がいる

単独登記をするのであれば、代表者がほかの兄弟に対して対価を支払うのが一般的です。

しかし、長男家族など被相続人と同居した期間が長い兄弟がいると「家を継ぐから代償金なしで引き継ぐ権利がある」と主張するケースが散見されます。
同居していた期間を問わず、法定相続人である兄弟には平等に遺産を引き継ぐ権利があるため、ほかの兄弟にも代償金なしの単独登記は認められません。

一方で被相続人の介護や事業の手伝いなどを1人の兄弟に任せていたのであれば、ほかの兄弟が献身性を認めて相続割合を調整するケースもあります。

遺産分割協議でそれぞれの主張を聞いたうえで、全員が納得するまで十分に話し合いをするようにしてください。

遺産が実家のみで平等に分配できない

預貯金や金融商品と比べて空き家は、物理的な分配が非常にむずかしい財産です。
単独登記すると相続割合が1人に偏りますが、兄弟全員で共有名義として登記すると将来的に管理や処分方法などで揉めやすくなってしまいます。
兄弟のなかに空き家に移り住みたいと主張する人がいれば、兄弟に代償金を支払って単独登記するべきですが、支払い能力がなければ実現しません。
物理的に分配できる遺産がない状態で空き家のみを兄弟で相続する場合は、通常の相続よりも話し合いが難航しやすい点を理解しておきましょう。

遺産分割協議でしっかりと話し合いをする時間を設けて、共有名義にはせずに空き家を管理するか売却するか検討するのが得策です。

売却したい人と保存したい人で意見が割れる

空き家相続で最も多いトラブル事例として、対処方法で揉めるケースが挙げられます。
幼少期から住んでいた実家が空き家になる場合、誰も住む予定がなくて賃貸物件として貸し出さないのであれば、早急に売却するべきです。
売却で現金化すれば兄弟との分配が簡単になるだけでなく、経年劣化が進む前に資産価値の高い状態を維持できたり、3,000万円の特別控除を受けられたりするからです。

しかし、「使う予定はないけど、思い入れのある実家をすぐに売りたくない」と主張する兄弟がでてくると、いつまで経っても売却活動ができません。
被相続人が生きているうちから、実家をどうするべきか家族で話し合っておくと、亡くなったあとに揉めるリスクを軽減できます。

代償金の金額で揉める

兄弟の一人が単独登記するとなれば、ほかの兄弟に代償金を支払います。
代償金とは、複数の相続人で遺産を分割できないときに一部の相続人が相続財産を現物で取得する代わりにほかの相続人に対価として代償金を支払う仕組みです。

代償金は、原則不動産評価額に基づいて決めるものの、路線価・実勢価格など評価方法はさまざまあり、不動産会社ごとに提示する金額も異なります。
全員が納得する評価額を提示してもらうためには、不動産鑑定士への依頼がおすすめです。

ただし、数十万円程度の鑑定費用がかかるため、結局話し合いをしたほうが相続人にとって利益が大きい可能性が高いです。

誰も管理せずに空き家が放置される

相続した空き家は所有者に管理義務が生じるものの、兄弟で所有権を共有している状態だと、管理責任を互いに押し付け合ってしまいがちです。
誰も住んでいない家は劣化が進みやすいため、定期的に換気や通水などをしなければなりません。

しかし、遠方に住んでいる場合は交通費や宿泊費など、定期管理の費用や手間が負担になります。
最初のうちは順番で管理分担していたとしても、だんだんと疎かになって、気付いたときには大規模修繕が必要なほど劣化が進むリスクが潜んでいます。
倒壊や腐敗で周辺環境に悪影響を及ぼすと、クレームが入ったり自治体に強制撤去されたりする可能性があるので、管理負担を理解したうえで維持するか判断しましょう。

兄弟で話し合いをして維持すると決めたのであれば、管理義務を怠らないようにそれぞれが責任感を持たなければなりません。

誰も相続登記をしない

遺産分割協議をして兄弟で空き家を相続すると決めたら、被相続人から相続人への登記変更をしなければなりません。

登記手続きでは、共有者全員の押印・印鑑・印鑑証明書など必要書類の提出が必要です。
兄弟で協力して被相続人から相続人への名義変更をするべきですが、遠方に住んでいたり仕事が忙しかったりすると、後回しにしてしまうケースも多いです。
現在、相続した不動産は名義変更するように義務付けられているので放置するとペナルティの対象になる可能性もあります。
兄弟での相続が決まったら真っ先に相続登記を済ませるようにしましょう。

まとめ

不動産の共有名義はデメリットが多いので、兄弟であっても1つの不動産を複数人で相続する方法はおすすめしません。

ただし、空き家を相続する場合は最大3,000万円の特別控除が受けられる可能性があるので、特例を受けるために兄弟で引き継ぐケースもあります。
よくあるトラブルを把握して、対策方法を立てたうえで、必要に応じて単独もしくは共有で相続しましょう。



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